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心の汗





 まるで生ゴミに対するように夏希のジャージの襟を掴んで2人から引き離した。


「アベル、これを連れて来たのは恩返しのためだろう。ならば、さっさと満足させるがいい。ジョージ、これはこの国のしきたりを知らない。なれば、そのように強制することはできない。だから、これに選ばせてあげよう。アベルがこれを連れ回す間は」


 おいおい、何回私をこれ(・・)呼ばわりすれば気が済むんだ。私は物ではない、人間だ。人権のために私は戦ってやる。


「待て、フランシス。私は・・」


「早くこの愚鈍を連れてけ」


「・・っつ!?」



 うどん、いや、愚鈍だと。な、なんて野郎だ。


 夏希は高校生、しかも義務教育という、ゆとり世代に生きていた夏希は初めて人に嘲りを受けたため顔が真っ赤になった。

 

 何で、何で知りもしらない赤の他人に言われなきゃならないの。だって今まで先生にも友達にもそんなこと言われたことがない。皆、夏希のことを好きだって言ってくれて、ふざけあって、笑って。


「・・っ、う・・ぇ」


 急に胸が苦しくなって下を向いた。

 どくどくと胸が鳴って身体から突き破りそうなほど痛い。視界もぼやけて床が見えなくなった。


 夏希が細かく震えていることに気付いたのか、フランシスは片眉を上げて下を向いている夏希に声をかける。


「おい」


「・・・」


 それでも反応しない夏希の顔を無理矢理上げさせるとフランシスは目を見開いた。


「あ、その」


「う、う。違うもん、違うもん。こ、心の汗が出て、きた、だけだも、ん」


 そう言うと、しゃくり上げて泣き出した。


「あ、汗が。出てきたんだもん、ふぇ、ふみぃ」


「まだ言うか」


 フランシスは若干の罪悪感を感じ懐から金糸で縫われたハンカチを差し出した。

 しかし夏希はそれを借りることなく、自分のジャージの袖で乱暴に拭くとフランシスを赤い目で睨んだ。



「何だよ、私だって早く帰りたいのに。それなのにあんたの弟が帰してくんないじゃん。自分の弟を甘やかし過ぎなんだよ。過保護なママが。私だって母も弟もいるのに。眠り続けてる私を心配してるのに。それなのに帰してくんないじゃん。動物が苦手って言ってるのに引き合わせて、こっちばっか嫌な思いしてるのに馬鹿にされて、もうふざけんな!!」


 ずっと胸中にあった言葉が支離滅裂になりながらも口から出てくる。本当はそんなふうに思ってなかったのに夏希は顔を真っ赤にして叫んだ。


「フランシスの説教ママっ!!」


 最後に思いっきり叫ぶときびすを返して走っていった。

 夏希の姿が見えなくなるまで4人はぽかんとして動くことが出来なかった。









心配事が心の中にあると人は心をどこかにおいていったような気分になる

まさしく私だ・・・

あう、あう、どうしよう

気になることがあって書けないいい

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