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赤い果物は林檎です







 賑やかな人通りをアベルは悠々と歩いて行く。国王の弟なのに自分の顔を隠そうともせずに、いつもの格好でいつものようにやる気なさげに歩く。





「おや、アベル様。今日は女の子連れてどこに行くんだい」


「ぶらぶら」


「じゃあ、これ持ってきな」


 身分の高い人なのに堂々と呼ばれていいんだろうか、国王の命を狙う人物に攫われたりしないのだろうか。


 夏希が首を傾げていると恰幅の良いおばさんがアベルの名前を呼びながら夏希を見て、2人に屋台に並べていた物を投げた。投げられた物を反射的に夏希は掴む。見ると赤い林檎のような物だ。服でこすってそのままかぶりついた。





「がふっ」


 

 なんと林檎のように甘い果物だと思っていたのに、すごくすっぱい。余りのすっぱさに顔を顰めて口を押さえて蹲った。

 そんな夏希を見てアベルは爆笑した。


「ちょっと、夏希。これ、知らないの」


「あ、当たり前でしょうが」


「ああ、そうだった。ごめんごめん」


 笑われながら謝れても、懸命さが伝わらない。涙目になりながら睨むとアベルはようやく笑い過ぎによって出た涙を拭いて自分の林檎もどきを手で回す。


「これは、アシェルって言って紅茶の中に搾って入れるとすごく美味しいんだ」





 そんなの、今から歩いて観光しますって人に渡さないで欲しい。人当たりの良いおばさんだったけど、つい恨んでしまう。


「いやぁ、まさか歩き食いするなんて思わなかったよ」




 ええ、ええ、すみませんね、マナーが悪くて。だって部活終わりはすごくお腹が減るんだ、そんな時、近くにコンビニがあって美味しそうな肉まんやアイスがあるなら学校帰りに食べるのが醍醐味ってやつだ。




「うっさいわ」



 腹が立って、アベルを置いて知らない街を歩いて行こうとするがアベルに腕を掴まれて手を握られる。



「離せ、ごら」


「い、や。じゃあ、お姫様、行きますか」


 背中が痒くなる台詞を吐いて、手を差し出す。その手の平に手を置くと手の甲に唇を落とされた。


「ふぎゃっ」


 驚いて手を引っ込めようとするが、がしっと掴まれて所謂恋人つなぎをされた。指の間に入って来る細くて長い指は指の付け根を撫でるように繋ぐので、ぞくっとする。


 そんな夏希にアベルはにやりと笑う。


 くそう、格好いいからって何をしても許されると思うなよ。なんか負けた気がした夏希は部活で鍛えた腕力でアベルの手をぎゅっとする。


「いでっ」






 ふん、からかう奴が悪い。ちなみに夏希な握力は男子顔負けの40キロ代である。


 そんな夏希の手を握ったアベルは後悔して離そうとしたが夏希に手を力いっぱい掴まれているため外すことが出来なかった。

 





 

久しぶりの休み★

外に出たくない\(^皿^)/

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