宝石のように輝く石
前回から二年の時間差がありますが
今回もよろしくお願いします。
あれから二年。
帝の生活は一変した。伸びるたびに染めていた髪の毛は、地毛のままの琥珀色にしていたし、毎日はめていたカラーコンタクトもはずし、今は空色の本当の瞳だった。名前も改め、ナティルダとして怪しげな組織〝インメンス〟で活動している。活動と言っても、少しお金を稼ぎながら、聖王陛下の言葉を聞いて戦いの準備をして待っているだけだ。
―――――魔族との戦いがくるそのときを。
ここに来てから何となく分かったことは、この組織が数百人という規模で成り立っているという事。全てが部外者には秘密である事。聖王陛下を中心として動いている事。目的は魔王を倒すことであるという事。
最初にここに来たときは、ただわけもわからず存在しているだけだったが、少しずつ教えてもらうことができた。
世界は二つあるらしい。人間の世界と、魔族の世界。そして人間と魔族は、昔から争っているという。魔法やファンタジーなどに関しては、全く信じない性質であった帝だが、目の前で見せられたら信じるしかない。
人間には魔族と違って魔力は無いが『法力』というものがあるらしく、『法石』を使えば誰にでも使えるらしい。実際帝にも使える。逆に魔族は、『魔石』を使って自分の魔力を引き出すそうだ。
また人間は魔石に、魔族は法石に触れることができないらしく、それが魔族か人間を見極める証拠にもなるらしい。
帝は星漣寺帝を捨てた訳じゃない。ナティルダというのは、いわゆるコードネームみたいなもので、テオドールやラインホルトも本名ではないらしい。
だから、いつでも〝インメンス〟を抜けることができる。帝が帝として自立して生きることができるならば、だが。
§§§§
帝は支給されている法石を身につけていない。たいていの法石はペンダントやブレスレットといったものについていて、常時身につけることも可能だが、ヤンキーちっくだった割にアクセサリー慣れしていない帝はつけているのが面倒くさかった。
この日は組織の幹部たちの集まりがあるらしく、全員正装と法石着用が義務付けられ、仕方なく帝は自分の淡いブルーの法石がついたブレスレットをしていた。
しかし集まりがあるといっても幹部たちだけで、別に二年前にやってきた下っ端の帝にやらなければならないことなど無い。ただぶらぶらと廊下を歩いていた。時刻は十三時くらい。そろそろ幹部たちの集まりが始まる頃だ。
〝インメンス〟の拠点は高層ビルまるまる一つなので、暇を潰そうと思えば潰せないことも無いが、一体何をしようか。そんな事を考えていると、コツンッ、と靴の先に何か当たった。立ち止まり、見てみるとそこには宝石のように輝いている真っ赤な石ががついているペンダント。
―――――――なんだ?法石か?
そう思い拾おうとして帝が触れた瞬間、その石から光が溢れた。
その光は完全に帝を飲み込み、光が消えた時には、帝もまたその姿を消していた。
星漣寺帝は本当にこの世界から消えた。
高層ビルの一角に、それを目撃した者はいなかった。
ど、どうでしょう?
いろいろと意味不明な感じでしたね…
説明が足りない部分もありますが、それはまた今度で…
次回も読んで頂けたら嬉しいです。