聖王にえらばれた勇者
前回…
ちょっと長めでしたので
今回は調整してみました。
今回もよろしくお願いします。
「あなたは選ばれた」
帝の背後からも男の声がした。慎重に後ろをチラリと見る。そこにはグレーの髪をした男が立っていた。その男は軍服のようなものを着ていた。透を抑えているオレンジの髪をした男も同じような服を着ている。
「あんたたち、誰?」
帝が一番の要点を短く問う。そうしなければ警戒を解いてしまいそうなほど殺気を感じられないからだ。襲ってきたと認識して良いはずなのに、心を許してしまいそうな安心感がある。それはどこか、透の雰囲気に似ていた。それが、ムカつく。
「私たちはあなたの敵ではない。ただあなたが、どんな選択をするかにも寄りますが」
その答えは、帝の問いに完全には答えられていない。
「誰?って聞いているんだけど」
事態を把握できなくても、帝はそれでも動揺の色を見せようとはしない。しかしそれでも警戒していることは隠せない。帝はそこまで経験豊富ではない。見知らぬ男たちに襲われた時に余裕でいられる程ではない。目の前の男たちとは違って。
帝の警戒している声を聞いた男はフフフ、と笑いながら言う。
「私はテオドール・ヴェルビーアと申します。そっちは私の部下、ラインホルト・エント。我々は〝インメンス〟という組織の者です」
帝には聞いたことのない名前だ。テオドールもラインホルトも〝インメンス〟も。だからと言って帝にどうこうすることも出来ない。帝にはただ話を聞くことしか出来ないのだ。
「あなたは選ばれました。聖王陛下によってあなたは、我々〝インメンス〟のメンバーに選ばれたのです」
にやりと笑いながらテオドールと名乗った男が言った。その不気味な笑顔と怪しい言葉に、帝は背筋が凍る思いだった。その光景に、帝の防衛本能が警鐘を鳴らす。相手にも伝わってしまいそうなほど恐怖を感じていた。しかし、それでも声を絞り出して問う。
「…〝インメンス〟って何?どんな組織?それに選ばれたって?」
帝の口から次々と現れる疑問の言葉に、男は更ににやりと笑った。
「興味を持っていただけましたか?」
「興味を持つも何も、いきなり言われて納得できるほど僕は要領が良くはないんだよ」
相手のおどけた調子に乗せられないよう、帝も皮肉めいた言葉で言う。しかし、それでも相手の余裕な態度に変わりはなかった。
「我々〝インメンス〟とは全てが秘密に包まれた組織。メンバーである者しかその実態は知りません。
無論、口外することはメンバーにとって罪になります。たとえメンバーに選ばれたあなたにも、我々への協力の意思がなければ教えることは出来ません」
全てが秘密に包まれた組織―――そんな怪しい組織などに、一体どこの誰が協力するなどと言うだろうか。少なくとも帝には、そんな組織に協力したいと思う気持ちなど微塵もない。
「そんな怪しい組織のメンバーになりたいとは思わない。悪いけど帰ってく―――」
「あなたに拒否権があるとお思いですか?」
帝が言葉を言い終える前にテオドールが言った。
顔に不気味な笑みを張り付けたまま、テオドールは帝の背後を見やる。
いつの間にかテオドールに向き合っていた帝の後ろには、いまだに身動きの取れない透がいた。
今思うと表現とかワンパターンでしたかね…
間違って使ってるのとかありましたか?
そこらへんも作者はガキだと思って
見逃して頂けると…
と思います
次回も読んで頂けると嬉しいです。