目の前の別の声
今回もよろしくです。
帝の意識が戻った時、身体が別物のようだった。外見は髪と瞳の色が変わった程度だが、中は違っていた。身体の底から力が湧き上がるような、芯から熱を帯びたような、なんとも言葉にし難い感覚に襲われる。
少し落ち着いたところで辺りを見回してみる。知らない青年の姿は無く、世界も色を取り戻していた。赤髪の青年や兵士たちはまだ意識を取り戻していないが、命に関わるようなことはなさそうだ。
「…一体何が…?」
「それは単純さ。『龍の咆哮』が君の魔力に反応したんだ」
一人独り言だったのに、その言葉に返事が返ってきた。帝が振り向くとそこには、さっきはいなかったあの青年が、琥珀色の髪をした青年がいた。
「あなた、さっきの…『龍の咆哮』って?」
「魔石のことだ。蒼い魔石を見ただろう?」
「…あなた今どこから?」
「さぁ」
青年はふざけたように言った。その後少しの間沈黙が続いたが、帝が口を開いた。
「彼ら、いつ意識が戻るの?」
帝が指を指していたのは、赤髪の青年や兵士たち。今もまだ意識を失っている。帝の言葉に青年は、悪戯な笑みを浮かべていた。
「自然には戻らないだろうな。お前の魔力にやられたんだから」
「さっきから、何?ボクに魔力なんて…」
「記憶、取り戻せただろう?」
帝が言い終える前に青年は言った。
「記憶?そんなもの取り戻すものじゃないだろう?」
「…お前、ふざけてるのか?」
笑っていた青年の顔が真顔に戻り、帝を強く見つめる。その視線の鋭さに帝は怯みそうになったが、負けないほどの鋭い視線を青年に向けた。青年は視線を離さず、帝に近付いてきた。
「まだ術が完全に解けていない…どういうことだ?」
そう言いながら帝の頭に触れる。その瞬間帝の頭には激痛がはしる。
「っつ…」
帝は青年から離れ、頭を抱える。激痛は、少しの余韻を残して消えた。
「何したの?」
「魔力もある、姿も戻っている。何故記憶だけが戻らない?」
「何を言っている?」
帝にはさっぱり理解できない。さっきからの彼の言動が。帝に、人間の帝に対して魔力だの記憶だの、訳の分からないことばかり言っている。
『死への扉が開かれた』
誰か男の、不気味な声が響いた。
「何!?」
「この声…ロイクか?」
『魔王は扉の鍵となり、その魂は穢れたものに』
『穢れた魂は鍵となれずに命を落とす』
『扉は開き狂気を呼ぶ』
『狂気はやがて災いとなり』
『災いはすべてを滅ぼす』
『滅ぼされたものの灰から』
『鍵は生まれ、そして穢れる』
不気味な声はそこで途切れ、あたりはまた静まりかえる。
「ロイクって?魔王のこと?」
帝は青年に問いかける。彼は驚きながら、逆に問い返す。
「何故知っている?」
鋭い声だった。帝への警戒心が見える。
「…少しだけ、頭の中に映像が…さっき。夕日が沈むのを見ていた。あなたと、そして…」
帝は言葉を止めた。映像の中にいた人物、それは目の前にいる青年と、そして黒い髪黒い瞳をした帝の姿をした青年だったから。
その後はしばらくまた、沈黙が続いた。
作者にも話の意図と内容が分かりづらいです。
ごめんなさい…駄文です…
それでも出来れば次回も読んで頂けると嬉しいです。




