後悔は、ただ後悔として
投稿、遅れてしまいました。
これからは不定期投稿になると考えられます。
それでもどうかよろしくお願いします。
絢爛豪華な部屋。あちこちが金と赤であしらわれている、とても綺麗な部屋だ。そこには5人の青年がいた。容姿も雰囲気もバラバラな5人は、一つのテ-ブルで向かい合って話している。
「では、4人とも同意してくれるのか?」
全身を黒で包んだ青年が言った。その表情は慈愛に満ちた優しいものだった。
「ええ。陛下の仰るとおりに」
「はい。陛下の思うがままに」
「もちろん。陛下の御心のままに」
「お前を信じる」
他の4人の青年たちは頷きながらそう言った。
「では…」
漆黒の青年が躊躇いながらも宣言する。
「明日の晩、魔族と人間は分かたれる」
その後は誰も何も口にせず、静かに夜は更けていった。
あれから一つ夜を越し、そして再び太陽は沈み始めた。漆黒の青年は、静かにその様子を見届ける。
「なぁ、レオ。我等が太陽を見られるのも、これが最後だな」
漆黒の青年が話しかけると、レオと呼ばれた青年が答える。
「後悔、しているのか、ロイク?リュミエール魔国の魔王ともあろう者が?」
ロイクと呼ばれた漆黒の青年は、悲しそうな笑みを浮かべている。そんなロイクに、レオは更に続けた。
「俺も、お前みたいに守らなければならない家族がいたら、後悔しただろうか…」
今度はレオが自虐的な笑みを浮かべた。その笑顔は、完全に沈みきった太陽に照らされることはなかった。
「…きっと、きっとこの国は良い方向へ向かうだろう。息子は、2代目魔王として立派にやってくれるはずだ。心配など、後悔などない。だが、一つだけ言うならば、お前等4人を巻き込んでしまった私の力量不足に腹が立つ」
「そ、そんな…」
「きっとお前たちには、まだまだやり残したことがたくさんあるのだろう?それを、その希望を失わせたのは、私だ。それが残念でならない」
レオが口に出そうとする言葉は、しかし声にはならなかった。自分ではなく、他の4人を死なせてしまうことに一番の後悔が残るなんて、我等は皆、貴方に助けられてきたというのに。そんな言葉が頭の中にぐるぐる回るだけ。ロイクに伝えることが出来ない。それこそがレオの一番の後悔だった。
「さぁ、準備をしなければ。最期の大仕事だ」
ロイクが立ちながら言った。その笑顔は、幸せそうだった。
「そう、だな」
レオも立ち上がって、ロイクについて行く。
後悔など、捨てなければ。彼もきっとそうなのだ。きっとみんなそうなのだ。必ずしも残る後悔は、すべてすべて闇の中へ。二度と戻らないように。
世界は二つに分断され、彼等も力を失った。
最期の最後に頭の中には〝後悔〟という言葉が浮かんでしまったが。
過去の回想になっています。
一応世界を二つに分けた時の記憶です。←誰のかは…適当です。
次回も読んで頂けると嬉しいです。