その光、消灯してあげようか? ――暗闇に塗りつぶされる新生活
「はっ!?」という声を上げた碧が、ゆっくりと、しかし確実に「殺気」を孕んだ笑顔で振り返る。
「……へぇ。唯一、ねぇ。小坂くん、だっけ? 翠が随分と失礼なことを言ってごめんね。このバカ、まだ自分が『誰に飼われてるか』分かってないみたいなんだ。 悪いけど、その『光』、今すぐ消灯してあげようか?」
碧の目が、獲物を定める蛇のように健太を射抜く。
「えっ、ええっ!? いや、如月……目が、目がマジなんだけど! 翠ちゃん、唯一って何!? 照れるけど、このままだと俺、放課後に体育館裏で消される気がするんだけど!?」
健太は笑顔を引きつらせ、椅子ごと翠から距離を取ろうとする。
(碧め…!私の天国を奪われてたまるかぁぁあ!)
私は一旦深呼吸をした後、小坂くんに笑顔を向けながら碧を指差した。
「安心して、小坂君!コイツは放課後に体育館裏に人を呼び出すようなヤンキーじゃないから!やると決めたら、その場で終わらせる。後回しなんてしない…言わば仕事人タイプだから!私が100%保証する!」
「安心できる要素一つもないじゃん!?そんな保証、微塵も嬉しくないんだけど!?挨拶だけで殺害予告されるとかどんだけだよ!?」
「おいおい翠、お前のせいで小坂くん怯えちゃってんじゃん」
「何言ってんの!事実を言ったまでだし」
「いや、お前の中で俺の評価どうなってんだよ…」
「強いて言うなら最底辺?」
「お前なぁ……」
はぁーとため息をつくと、今度は机越しにぐいっと身を乗り出し、私の耳元で、冷たくて甘い「呪い」のような声を這わせた。
「……小坂くんを安心させるのはもういいよ。それより、お前のその『唯一の光』。俺が影になって、一滴も残さず塗りつぶしてやるから。――覚悟しとけよ?」
(……塗りつぶす!? 物理的に私の視界を遮断して、暗闇に閉じ込めるっていう監禁宣告!?)
私の背筋を、今日一番の戦慄が駆け抜ける。
やはりこの男、性根が腐っている。
(絶対に抗ってやる!!)
私は心の中で、そう決意するのだったーー
席替え。それは人生をかけた戦い。
始まったばかりの私の新生活は、早くも「逃げちゃダメだ」どころか「詰んだ」に近い状況で幕を開けたのだった。
そして隣では「……俺、明日から別の席がいい」と遠い目で呟き、そっと教科書で壁を作っている健太が居た。
(((ドンマイ、小坂)))
クラス全員がそう思ったのであったーーー
今回の登場人物を紹介しますね
❮人物紹介❯
小坂 健太
今回、殺害予告された可哀想な人
小坂くんは次のシリーズからも出てくるキャラクターになりますので皆さん、小坂くんをよろしくお願いします笑
ーでは、また次のお話で。




