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作者: 寝寝 寝寝
掲載日:2025/04/18

⒓23修正

 彼女はいつも優しく、頭がよく、気配りが利く人で、俺はすぐに一目ぼれした。

 それからすぐに私は彼女に求愛し、彼女の婚約者になった。


 そして、彼女を私の城に招待した。


 私はこの国の治めている、いわば皇帝だ。

 そして、皇帝の婚約者という立ち位置は、様々な人に狙われたりすることが多い。


 そんなこと知っていたはずなのに、私は浮かれていた。


 私は彼女を、隣の部屋に泊めていた。ちなみに、本当は一緒に寝たいと思ったのだが、まだ婚約者であるというのに同じ部屋でというのはさすがにまずいだろうと思い隣の部屋にした。


 彼女が隣の部屋で寝ているのだと思うとなぜだがよく眠れなかったことを覚えている。


 だが、そんなのんきなことも考えていられなくなった。

 そわそわしながら寝ていると、隣の部屋から悲鳴が聞こえてきたのだ。


 間違えようもない、彼女の悲鳴だった。


「どうした⁉」


 慌てて私は彼女の部屋に入った。すると、彼女は怯えながら窓を指さしていた。


 そこに人影が見えて、一瞬にして消えたような気がした。


 何があったのか聞くと、彼女は怯えながら言った。寝ているとなんだか変な気配がして、目を開くと誰かに口付けをされていた、と。


 彼女が叫び声をあげると、彼は慌てたように窓から逃げていった、と。


 私の大切な婚約者に口付けをするだなんて絶対に許せない。


 だが、結局犯人は見つからなかった。

 疑わしい者を皆殺しにしようかと思ったのだが、部下たちに全力で止められた。


「くそっ!」

 私は舌打ちをした。

 それを聞いた召し使いが申し訳なさそうな顔をして私を見た。


「申し訳ありません。陛下。私が至らなかったばかりに。」


「いや、構わない。私が注意不足なのが悪かったのだ。」


「ですが、屋敷の警護をしていた私にすべての非があります。申し訳ございません。」


「そういえば、侵入者を見なかったと言っていたな。門番も怪しい人間は見ていないと言っていた。犯人はいったいどのように城に侵入したのだ? ……何か魔術具でも使ったのか?」


「分かりません。本当に、犯人がどのような手を使って城に侵入したのか全くと言っていいほど情報がないのです。本当に途方に暮れています。」


「そうか……」


 犯人はどのように侵入したのか。


 謎は深まっていくばかりだ。





 次の朝、私は結局全く眠れず、くらくらしながら部屋を出た。

 すると、じいやが心配をする顔で私に駆け寄ってきた。


「大丈夫ですか⁉ 坊ちゃま!」


「だ……大丈夫、大丈夫。」


「どう見ても大丈夫には見えませんが⁉ さては昨夜、ちゃんと眠らなかったですね!」


 それからはじいやの怒涛の説教が始まる。くらくらとする頭を落とさないように必死に耐えながら、その説教を聞く。寝不足の頭で睡眠の重要性についての議論を聞かされるのは正直、きつい。


 そして、最後には頭を冷やして来いと言われ、外に出された。


 国の見回りという名の、休息を与えてくれたのだろう。


 じいやは恐らく私に気分転換で散歩させるつもりで外に出したのだろうが、私は前のめりになりながらゾンビのように歩いていく。


 この見回りは国民に皇帝の威厳と品格を見せつけるために行うものだが、恐らく国民の目には私が突然現れた不審者だと思われるだろう。あからさまに国民たちが私を避けるように歩いていく。


 一人の子供が私を指さしながら、「お母さん、変な人がいる。」と指さす。


 母親は慌てて子供を止め、「こら、関わっちゃいけません。」と諫める。


 今の私の姿を見て、私を皇帝だと思うものは誰もいまい。


 しばらく歩き、俺は城に戻るために歩き始めた。


 すると、明らかに貧乏に見える商人が私によって来た。


 きっと、いいカモを見つけたように思われたのかもしれない。

 私は見るからに貴族のような高そうな服装をしているのに、ふらふらと歩いている。

 騙しやすそうだとでも思ったのだろう。


「そこのお兄さん、たった今、いい魔術具を仕入れたのですよ。お一ついかがです?」


 彼の言葉は私の右耳から入り、左耳から抜けていく。

 またふらふらと歩いて行こうしていたが、彼の次の言葉に私の耳は釘付けになった。


「なんとね、これが時を戻す魔術具なのですよ。」


 その言葉を聞いた瞬間、私の足はピタッと止まった。


「これが今なら金貨三枚! 大特価です。」


「買おう。」


「えっ⁉」


「これで足りるか?」私は金貨の詰まった革袋を彼に渡す。


「えっ? こんなに?」


「早くその魔術具をよこせ。」


「あ……はい!こちらでございやす。」


 商人はどこか古ぼけた魔術具を取り出した。


 わたしはそれを受け取って、じっくり眺める。


 黒い箱のような見た目で、埃をかぶっている。魔術具は丁寧に保存するものなのに、このように薄汚れているものは初めて見る。


「扱いには気を付けてくださいね。過去の自分に未来の自分の姿が見られたら、もう帰ってこれなくなりますから。」


「どういう意味だ?」


「どういう意味も、そのまんまの意味です。自分が消えてしまうのです。お気をつけくださいませ。」


 彼は不気味な笑顔でそういった。


 なんだか、彼とどこかで会ったことがある気がする。

 私は魔術具を抱え、歩き出した。いつの間にか、城に戻っていた。


 私は部屋で魔術具を観察する。


 よく見ると、裏に魔法陣があるのが見えた。


「ふむ。」

 いろいろと観察していくうちに、使い方が分かってきた。まず、ねじを外すと中身が見える。


 箱がボロボロだったため心配していたが、中身はまるで新品のようだ。

 恐らく、このあたりの魔法陣に魔力を流せばよいのだと思うが……


 私は試しに少し魔力を流してみる。



 すると、体がどこか別の場所に行くような感じがした。


(……ここは、どこだ?)


 私はどこか暗い場所にいた。


 いつの間にか別の場所にいる。先ほどまで自室にいたはずなのだが。

 よく目を凝らすと、見覚えのある場所であることが分かった。


 ここは……城の渡り廊下か。


 この先を抜けたところに妻の寝室があるはず。


(絶対に犯人を捕まえる。)


 私はそう決意し、妻の寝室に入った。


 妻はまだ無事のようだ。ベッドの中で気持ちよさそうに寝ている。


 それにしても、私の妻は可愛すぎないだろうか。これならば、よその男に狙われる理由もよく分かる。


 私は絶対に守るという意味も込めて、彼女に口付けをした。

 すると彼女は、ぴくぴくと瞼を動かした。


 もしかしたら、起こしてしまっただろうか?


 私は彼女に謝ろうと、口を開いた。


 だが、それよりも先に、彼女の声が城に響いた。



「キャァーーーーーーー!」



 彼女は私を見て、怯えたように悲鳴を上げた。


「す、すまない。」


 もしかして、驚かしてしまっただろうか?

 慌てて謝ろうとすると、過去の私が部屋に入ってくる。


「どうした⁉」


 その声を聞いて、私は焦った。


『過去の自分に未来の自分の姿が見られたら、もう帰ってこれなくなる。』

 という言葉を思い出したのだ。


 帰ってこなくなるとはどういう意味だろう?

 最悪の場合、私の存在自体が消えてしまうかもしれない。私は慌てて逃げ道を探す。

 だが、入口の前には、過去の私がいる。


 ……こうなったら、窓から逃げるしかない。


 私は慌てて窓から飛び降りる。


 そこで気が付いた。ここは、城の三階だ。


 まずい。……落ちる。


「うわああああああ⁉」

 私がそう叫んだのは部屋の自室の中だった。


 いつの間にか、元の場所に戻ってきている。

 恐らく、魔術具の効果が切れたのだろう。

 命拾いをした。私は慌てて胸を撫でおろす。


 しかし、結局犯人を捕まえることができなかった。

 妻の部屋に忍び込んだ犯人を。


 そこで私は気づいた。


 犯人に、心当たりができてしまった。


 勝手に妻の部屋に忍び込んで、口付けをした犯人を。


(ま……まさか、そんなわけない。)


 私は慌てて妻に訊きに言った。

「どうしたのですか? 旦那様?」


 彼女は不思議そうな顔で私を見ていた。


「おい、お前の部屋に忍び込んだ犯人のことを覚えているか? 顔は分からなくても、背の高さとか声の高さとか。」


「そうですねえ。背の高さは旦那様と同じぐらいでした。声は……旦那様にそっくりな声でしたね。」


 ぎくぅ! いや、さすがにそんなわけがない。


「あ、でも旦那様ではないことはすぐに分かりましたよ。……勝手に人の寝室に忍び込むような破廉恥なこと、旦那様がするわけないですもん。」


 私は目を逸らす。それにしても、彼女がどこか楽しそうに見えるのは気のせいだろうか。


「なんだか、顔、赤くなっていません?」


「な、なっていない。」


「さすがにそんなこと、旦那様がするわけないですよね。」




 私は必死に目を逸らした。

 妻がなんだか楽しそうだったのは、恐らく気のせいだろう。

 

 書き終わった後に気づきました。この話にはキャラの名前が一切出てきていないことに。

と、いうのもキャラの名前を考えるのが面倒になり、問題を先送りにしているうちにいつの間にか書き上げてしまっていました。(ズボラな作者の典型例ですね。)


そういう訳ですのでせっかくですので皆様!! 名前、付けてあげてください。(笑)

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