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万物流転  作者: 小林 広平
死神の涙
17/18

常識


I love money.

We love money.

Another must be died.




 「金」が無いと飯が食えずに餓死してしまう事は余りにも有名である。


 しかし、天邪鬼達はこう言うであろう。農耕や酪農であれば問題は無いと。だが、農具の入手や修理、種の入手等を考えれば、「金」が必要である事は明らかである。そもそも、収穫までは如何やって食い繋ぐと言うのか。人は物を食わないと動けなくなるんだぞ。


 元は物々交換であったが、利便性を高める為に人類が「金」を創成したのである。従って、「金」の意義は「汎用的」である事であり、「汎用的」であるからこそ「金」であるのだ。


 「金」は全てに繋がる「便利グッズ」である。だから、「金」を増やす事だけに注力すれば良い。外貨を獲得して「金」が増えれば、自国の通貨の価値が高まる。輸出を有利にして更なる外貨を獲得する為には、自国の通貨の価値を下げる必要が出てくる。問題解決を理由に「金」を刷り、「金」を増やす事で意図的にインフレーションを誘発し、デフレーションを回避する。「現代の錬金術」とは、そういった類いの物であり、そうでなければならない。


 日本が敗戦後から経済大国に成し得たのは、「貯蓄」に依る所が大きい。海外は日本の「貯蓄」文化を馬鹿にするが、流通しない金を作り出すという事は、金を刷り続けてもインフレにならないという事であるので、マクロ経済学としては最高峰の技術と言えよう。「魔法」と言っても過言ではない。正に「錬金術」である。


 しかし、またもや天邪鬼はこう言うであろう。「金」だけ増えていけば「金」だけが純増し、世界規模で考えればインフレーションが起こる。損をする所と得をする所が顕著になり、格差社会が拡大するだけであるのだから、「金」を増やすだけの考えでは物事は解決しない、と。左派の活動家共は全く不粋な連中である。


 例えば、薄汚い犯罪集団がサリンの様な毒ガスを散布したとしよう。その一帯の地価は暴落し、後処理には大量の「金」が掛かるのは確実だ。雇用の創出?いやいや、土地の価格が暴落している時点で、その分の「金」は消失しているのである。「金」は自然消滅する事もあるのだ。


 これは何も犯罪に限った事ではない。河川の氾濫や地震、台風といった自然災害等の事故でも当て嵌まる事であろう。更に、この世には各国の通貨という物が存在している為、国家の統廃合でも「金」は自然消滅する。


 以上の事例から見ても分かる様に、「金」は意外と自然消滅する機会に恵まれている事は明白と言えよう。従って、「金」だけ刷って「金」だけ増えても、大した問題にはならないのである。


 しかも、本来は物々交換で済んでいた訳であるのだから、確かに「金」は最高の発明品ではあるが、無くても問題無いとも言える。だから、余りインフレやデフレと騒ぎ立てる必要は無いのだ。


 「金」ですら存在意義が問われているのに、個人の尊厳等を持ち出すのは実に愚かしい事である。地球上から見れば、君も私も存在してもしなくても変わりは無いのだ。だからこそ、「有用」である事が重要であり、「有用」にならなければならぬのである。


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