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万物流転  作者: 小林 広平
禁忌
11/18

バベルの光


皆を等しく包む光は

貴方にとってどの様な光


生を望めば滅びの光

死を望めば救いの光


平等という名の光が

全てを無に帰す事であるなら


生を望めば滅びの光

死を望めば救いの光




 「楽園実験」という物が存在する。それは外敵を排除した上で、十分な餌を用意した環境を「楽園」とし、其処で生物がどの様な行動を取るかを観察する為の実験であった。結果は全て同じ。「楽園」の住人は絶滅を選んだのである。原因は言うまでもなく「自滅」であった。


 「楽園実験」の答えは「0点満点」であろう。


 0点が満点であれば皆0点なのだから、確かに等しくはある。だが、其処に個は無い。何が言いたいかと言うと、個人で無くなった時点で、君はもうこの世には存在しないのだ。存在理由も存在意義も、自らの手で捨て去ってしまったのである。つまり、それは結果の平等を求めた末路とも取れる。貴方が望んだ結末なのであるから、強要した訳ではないので、此方に責任は無い。「自殺」と同様であると言えよう。


 何故、人は「自殺」をするのであろうか。他人を侵略する必要が無くなったとしても、人は誰かを殺したいのかもしれない。よくよく考えてみれば、同種属間で争う「戦争」を行うのは蟻と人間だけであると聞いた。つまり、普通の動物とは異なる高尚な生き物である事の証明こそが「自殺」なのである。だからこそ、人は「自殺」に特別な感情を抱くのだ。「自殺」する理由については様々であると思われ、それは人類が増え過ぎた為かもしれないし、只の気紛れかもしれない。刺激を求めているだけなのかもしれない。だが、スリルを味わう事はリスクでもある。犯罪がその良い例であろう。


 他人の家に入り込んで金品を盗もうとしたとする。いや、「楽園」であれば、女性の下着といった様な下らない目的かもしれない。しかし、罪を犯した時点で殺し合いを挑んだ事と同義であるのだから、慢心など以ての外である。侵入を気取られて、中の人と対峙したとする。「もう殺す」と言っている相手に「殺してやる」といった脅しをかけているとすれば、それは相手を馬鹿にして油断している以外の何物でもない。つまり、簡単に殺されて当然であるのだ。そして、簡単に殺せて当然なのである。


 しかし、此方としても油断は禁物だ。敵は新しい方法で攻めて来る可能性もある。だからこそ、「当然」であるとして、常に警戒を怠ってはならないのだ。「迅速」かつ「柔軟」で「正確」な対応が求められているのである。従来の事例に基づき、応用も駆使して問題解決に当たらねばならない。それが本当の意味での「仕事」という物だとは思わないだろうか。


 大きな問題も小さな問題も、解決しながら正しく生きる。問題を解決しようとする力が人々を正しく導くのだ。普通に仕事をして役に立っていなければ、「社会の一員」は務まらないのである。


 問題を解いて回って点数を競い合った日々は、間違いなどではなかった。不正無しのエリートは、やはりそれなりに賢いと言えよう。


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