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abracatabra
bracatabra
racatabra
acatabra
catabra
atabra
tabra
abra
bara
ara
ra
a
全部こいつが悪い
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背中と目と口から羽根を生やしたターコイズ色の天使はこう言った。
『あなたは手違いで死んだのです。運命はまだその時ではありませんでした。何か能力を与えて、別の世界で生き返らせてあげましょう。お詫びの印として』
そいつはどこかで聞いたことがあるような話だった。
『どんな能力がよいでしょうか。リクエストはありますか』
俺は少しだけ考えると、こういった。
「じゃあ、剣と魔法の世界で、無詠唱で魔法使える魔術師でお願いします」
『それは駄目です』
駄目か。
「じゃあ……ちょっと変わった魔物……スライムとか、蜘蛛とかに転生して、どんどん強くなってくっていうのは」
『それは駄目です』
これも駄目か。
「じゃあ……召喚された勇者的な存在で、魔王を倒しに行くってのは? これだったら大丈夫だろ」
『駄目です』
これはいいだろ。こういうのあるだろ。じゃあ何ならいいんだよふざけやがって。俺は抗議の声をあげた。
『こんなのはどうです』
天使は手のひらに持っている塊を■■に見せた。それは薄汚い土留め色の生臭い肉塊だった。それは未知の生物の胎児の死骸のようにも見えた。それは明らかに何かのゴミのようだった。その肉塊には黒の油性ペンでこう書き殴られていた。
『これはどんな攻撃も効かない無敵の身体です』
天使は屈託なく笑った。
俺は、何とも言えない嫌な気分になった。