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22話「決算会」


「なぁ姉貴?なんで明日なんだァ?今のうちに錬成しちまえばいいだろァ?」


「いいえ?秘宝の錬成には時間と魔力、それに生贄にも品質と時間があるの。やるべき時に一気にやるの、それに私はもう錬成の支度を始めているわ」


「あん?姉貴は目の前にいんだろォ?どういうことだよ?」


崖の上から学園を見つめる二人ーーーアルビアとグラゼは結界の警備とともに、脱出不可能な結界を解こうと必死な人類をただ見つめる。


退屈そうなグラゼに、アルビアは肩に手を添えれば、笑みを浮かべて。


「私の中の私は動いている。エルデ・アナストラルがワープゲートを出れば、私たちの秘宝錬成は確実なものとなる。出させなければ、時間はかかれど邪魔者はいない。ねっ?簡単でしょう?」


「…………いッみわかんねェッ」


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「わっ!わっ、わぁっ!ど、どうすればいいのっ!」


「逃げてるだけじゃあたしゃ殺せないよ?罪から逃げるんじゃないよ」


ミミもまた、アルビアの一人と対峙していた。エルダに任された一人、そして奥ではーーー


「向日葵の銀華!ドゥード!!」


「真っ直ぐかい!あたしゃ当たらんよぉ!!」


明梨にも同じく一人、アルビアが対峙する状況だ。

明梨を助けたい、しかしそんな余裕はミミには存在していなかった。


相手のナイフを何とか飛びで避け、今度は勢い良くしゃがみ、その一つ一つの斬撃を的確に回避、アルビアは痺れを切らしたのか光弾を放つが、それはもちろんーーー


「無邪気の石!!」


「なっ!ぁぁぁっ!!」


その医師の衝撃波はアルビアを飲み込めば、なんとか距離ができるほどに吹き飛んでいく。


「アカリ!!」


ミミが振り向く先、明梨はガラスの華を一直線にアルビアへと向ければ、アルビアは避けつつそのガラスの花に乗って、スライドして明梨にナイフを向けていた。


「あんたが死ぬ一人目かい?嬢ちゃん」


「いや、私にもやるべきことがあるので。ただの能無しじゃないです!」


明梨は後ろに秘めていたガラスの華を展開すれば、アルビアのナイフの一閃を防御、そして追撃とばかりに先程出した向日葵の華が明梨の手に戻っていき、それはガラスの剣へと変貌する。


「ーーーあなたは、権限者だけど権限者じゃないです」


「……見抜いたかい、嬢ちゃん」


震える手先に力を込めれば、そのまま片手の剣を正面に突き出すように伸ばし、アルビアの体を貫通した。

息を切らしながらも一瞬の思考が周り、その思考の差で撃破した明梨。始めて人を刺す感覚に明梨は後ろにのけぞってしまう。しかしそれよりも後、目の前に広がる光景。


貫通したアルビアの体は、ゆっくりと地面に溶け込むように消えていったのだ。


それを見たミミは明梨の元へと走っていく。

乱暴に走って、明梨を心配するようにかけよれば、ぎゅっと明梨の汚れた制服を掴む。


「アカリ!大丈夫?アカリすごい!アカリってこんなに強いの?」


「ありがとうございます……でも、多分違います。あのアルビアは分身体、つまり本体から別れたもので、その別れたものがさらに別れてと、繰り返したものです。分身しすぎて弱体化が繰り返されてます」


明梨は冷静に分析したものをミミと共有した。

正直、権限者とここまで対等に戦えるほど自分の力を過信していない。権限者の強さはアルを見れば誰でもわかる。

ではなぜ対等に戦えたか、それはアルビアの分身がさらに分身したものだと考えたのだ。

ひとつの母体を元に別れた二つが、ミミと明梨が戦ったものとすれば、


「つまりミミ達でも……」


「ーーー勝てる。エルダさんの所にいるのはさらに弱体化される前の体かもしれません。それに小佑さんもまずい。早く行きましょう!」


ゆっくりとミミの協力もありながら立ち上がった明梨は、ガラスの剣を引き抜いてエルダの元へと歩みを進めるのだった。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「はぁ……はぁ……っ!」


二体からの同時攻撃、それをエルダは捌かなくてはならない。

エルダは四体のうち二体の討伐に成功、しかし挟み撃ちの状況は変わらず、後ろの小佑の命も危うい状況だ。


「諦めるかい?死ねば楽なのにどうしてまた歩もうとするのだ人間?あたしゃ優しいから、そんな苦痛もなく殺してやるってのにねぇ」


「権限者はみんな同じことを言いますね……!人って、ちょっと長生きしたいって思っちゃうんですよ!だから私も、今を大切にします!私を認めてくれる人のために抗う!」


二体が同時に杖をナイフに変え、且つ光弾を纏わせてエルダを挟み撃ちするように突撃してきた。

エルダは正面に構えたまま、剣の先端を輝かせ、炎の龍を展開させていけば、龍はエルダの背後に構えて敵に向け威嚇を開始する。


「炎龍……ちょっと背中、任せますね。はぁぁぁ!」


エルダは正面に向けて剣を振っていけば、先程と同じようにもちろんナイフが必ずワープしてくる。

どれだけこちらが速度を出してもアルのようにはいかない。ならば、自分の力を巧みに使うしかない。


「……嬢ちゃん、あんた、力はよっぽどだね」


「それはどうも!」


エルダは勢いよく内部に向けて剣を振り下ろせば、その剣は炎を纏い、同時に相手を包み込むように燃え上がっていく。


相手の隙を突かなくては刃は届かない。ならば、刃を通す必要などないのだ。


「ーーーーっ!」


包み込んだ炎は一気に火力を増していき、相手のナイフの刃をゆっくり溶かしていく。

だがデメリットもこの作戦にはある。


ーーー汗がエルダの頬を滝のように流れていく。

炎の力があるエルダは多少の耐性はついていた。しかし、刃を溶かすほどとなればまた別。


汗が止まらないほどに、体温上昇も止まることは無い。


「くぅぅぅ!絶対に超える!過去も!この困難も!!」


「そうかい。でもあんたには穴がありすぎるさ。もう後ろの壁は越えられたようだがね?」


「……っ!炎龍!」


炎の龍はアルビアに絡みついていたが、アルビアはそれを軽々超えたようだ。それに、エルダは炎龍の操作に割けるほど余裕は無い。

後ろから刺されれば終わる、自分に少なくともダメージが入って、そのままアルビアに刺し殺される可能性もある。


ーーーどうしたら越えられる、どうしたら……


「ミミさん!あの石を!!」


「エルダー!!!無邪気の石!!」


石を投げつけるようにエルダの後ろにいたアルビアに当てれば、それは光り輝き、アルビアを大きく吹き飛ばした。


飛ばされたアルビアはそれでも体制を立て直してエルダに向けて全速力で刺し殺そうとーーー


「ーーー小佑の分だ。受け取れ。」


アルビアの体の中心ーーー心臓が掴まれ、貫通し外に飛びした。心臓がゆっくりと鼓動をやめるのを掴んだ手が離さないまま、明梨やミミに見せつけられた。その犯行の正体は、


「さっさと小佑に魔力を送れ!『無』の権限!ジェネレートボロウアップ!」


「……エルデ・アナストラル!!あんたがあたしらに忠誠を誓うのを楽しみにしてるよ!」


アルが、教会の入口に立っていた。

アルは詠唱と共に貫いた手を引き抜いて、そのままエルダに加勢するように一瞬にして潜り込めば、下から拳を深くアルビアの腹に当てて直撃、アルビアの体は勢いよく吹き飛んでいく。


「……っ!は、はぃっ!」


エルダはアルや仲間の登場に気持ちが遅れながらもバックステップを踏めば小佑の元へと走っていき、到着と同時に再び剣を地面に突き刺す。

突き刺した剣から優しい炎が小佑を包み込んでいけば、ゆっくりと傷口を修復し始めた。


「ぅ……ぁぁ……」


「……大丈夫です。私の力があればすぐですから……」


うめき声を上げる小佑に、心配の目が向かざるおえないエルダだが、その手はゆっくりと小佑の傷を塞いでいた。


ゆっくりと、眠る小佑の体を包むように飲み込んでーーー


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


体が熱い、胸が痛い。


俺は、今どこにいる。


死んだ?それとも狭間?


わからない。


ただ、


「おーい!またあいつのとこ行こうぜ!俺たちが遊んでやらなくちゃ!」


俺ーーー中村小佑の記憶を巡らされてるってことだけわかる。

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