3月の風に思い出をよせて
今日は高校の卒業式だったらしい。
胸に小さな花が添えられている生徒たちが赤信号で止まる私の車の横を通り過ぎていく。
制服がコスプレになっちゃうね、
なんて昔自分たちも言っていた文言をそのまま聞いて、くすりと笑ってしまった。
大学に入ってからもTDLやUSJに行くからと、
実家から取り寄せて着る人もいるから大事にとっておくんだぜと教えてあげたかったが、明らかに変質者になりそうだから、黙っておいた。
卒業式か。
好きな子に告白しなきゃと気が動転して、
みんながいる前で公開告白してフラれたっけな。
馬鹿なことをした気もするし、今となっては良い思い出のような気もする。
ただ、友達たちのまあ頑張ったよ。あの子にフラれたなら仕方ないと言わんばかりのあの態度だけは今思い出しても腹が立つ。
今度見かけたら殴ってやろう。
風の便りで彼女は今、看護師になったらしいと聞いた。
怪我して入院したら看護師が彼女で、、なんて漫画みたいなことは絶対に起こり得ない。
なんせあの時の友達や彼女とももう10年以上会っていない。
狭いけど大きいこの都市でばったり出くわすことの方が珍しい。
スマホが普及するギリギリ前の私たちの世代は親しい友人としか久しぶりに会うことも、近況を知ることもない。
お互いのことを記憶の端に追いやりながら、どこかで元気になっていることを願うことしかできない。
会いたい気持ちもあるものの、このままにしておいた方がいいのかもしれない。
お金とかせびられそうだし。
天気は快晴。
桜が咲くまでもう少し。