表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
蛇に転生しました。勇者か魔王になろうと思います。  作者: 松明ノ音
【転生編】■■■は死んだ。
5/126

転生―■■■の適正




 この白い空間で、なお白さを強調する純白の衣装。


 細く、波立った金糸の髪。その頭上には碧の宝石が映える銀色のアクセサリー。


 白くきめ細やかな、整った顔。 


 糸目からわずかに覗く、悲しみを湛えるように濡れた瞳の、垂れ下がった目。


 この世のものとは思えない、恐怖を感じたほどに美しい姿。


 この空間ほどではないが白い病院の、青い入院患者用の服を着た母の病室。父が置いていったライターを持つ僕。窓から飛び降りる母。窓から身を乗り出して叫ぶ僕。落ちそうになる僕の前に現れたのは――。


「……確かに、あんただった」


 ――思い出して、いえ、思い出させてしまいましたね。


 僕は顔を横に振った。


「いいさ。それで、僕は今日まで生きてきた」


 そのお陰で生きてきた人生も、詰んでいた。顔を晒して働けない僕は今の資金が尽きると終わってしまうので、大きく投資はできなかった。ローリスクローリターンで小銭を稼ぎつつ、孤独を埋めれない人生が続き、独りで老いていく未来しか見えなかった。


「さっさと転生やらをさせてくれ。今の記憶や性格を、受け継がせてくれると嬉しい」


 女神は、悲しそうな顔で微笑んだ。


 ――えぇ、ええ。前世は悲しい記憶も多かったでしょうが、役に立つこともあるでしょう。勇者として生きる中で、人と関わる喜びは十二分に得られますよ。


「そう願うよ」


 ――では始めます。勇者として選定されるまで、今の魂に合った家に生まれて子ども時代を過ごすことになるでしょう。今の魂が持つ能力や称号も受け継がれます。


 あなたの生業からすれば、商人の家にでも生まれそうですね。戦い方からすれば農家で授かる《大地母神の加護》も合いそうですがと、女神が言って僕を両腕で包む。内面――魂に直接触れられるような、こそばゆい感じがする。あぁ、何かが流れ込んでくる。



    ■■■は《勇者適正》を獲得した!

    ■■■は《戦闘の天才》を獲得した!

    ■■■は《武器技能適正》を獲得した!

    ■■■は《魔術技能適正》を獲得した!

    ■■■は《輝く英雄性》を獲得した!

    ■■■の《幸運》が最大値になった!



 なるほど、これが勇者になるべく与えられたもののようだ。さて、僕の性格や性質からすれば――、



    ■■■の《分析》がスキルとして発現した!

    ■■■の《計算》がスキルとして発現した!

    これにより、■■■は《分析者》の称号を獲得した!

    ■■■の《精力絶倫》がスキルとして発現した!

    ■■■の《観察力》がスキルとして発現した!

    ■■■の《器用な指先》がスキルとして発現した!

    ■■■の《滑かな舌》がスキルとして発現した!

    これにより、■■■の《淫蕩の血》がスキルとして発現した!

    これにより、■■■の《身体操作》がスキルとして発現した!

    同じく■■■の《感情操作》がスキルとして発現した!



 どういうことか。そういうことだろう。

 女神も苦笑いしている。



    ■■■の《武道の素養》がスキルとして発現した!

    ■■■は《武を愛する者》の称号を獲得した!

    ■■■の《恵体》がスキルとして発現した!

    ■■■は《武神の加護》を獲得した!

    ■■■は《与えられた(ギフテッド)》の称号を獲得した!

    ■■■は《奪われし者》の称号を獲得した!

    これにより、■■■は《翻弄されし者》の称号を獲得した!

    ■■■の《逆境〇》がスキルとして発現した!

    ■■■は《抗う者》の称号を獲得した!

    ■■■は《切ない旅人》の称号を獲得した!

    ■■■は《覆う者》の称号を獲得した!

    これにより、■■■の《隠密》がスキルとして発現した!

    ■■■は《憎む者》の称号を獲得した!

    ■■■の《絶対の復讐》がスキルとして発現した!

    ■■■は《復讐者》の称号を獲得した!

    ■■■の《陽の当らぬ闇》がスキルとして発現した!

    ■■■は《深き闇の者》の称号を獲得した!



 ……まぁ、そうなるだろうな。


 ――え? こ、これは!?


 女神は僕の魂に触れたまま驚いている。騙すつもりも、欺くつもりもなかったのだけれど。



    ■■■は《神を欺く者》の称号を獲得した!



 まぁ、勇者として転生させられる話を聞いてからは、欺くつもりはあったか。ボロが出なくてよかった。


 ――ど、どういうことです!?


「どういうことも何も、僕がそういう人間だったというだけだよ」


 ――あ、あなたは! 逆境にもめげず、修学と鍛錬に励みながら苦難と立ち向かう――、切ない人ではなかったのですか!?


「復讐しようにも出来ず、日々蔑まれることで憎しみを募らせ、それを晴らすことが出来ない切ない人間だったさ」



    ■■■の魂の適性は《魔族》です。


    《魔族》として転生しますか?

      YES   NO



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ