夜への初参加
「「ヒャッハー!」」
蛇が蜘蛛を乗せて飛んでいる。
二匹で楽しく世紀末ごっこだ。
俺がバイクで、相棒がモヒカン役。
それにしても《存在進化》した後は、やることなすこと凄まじくてびっくりする。
《身体操作》《瞬発LV6》
《突貫LV1》《察知LV4》
恒例の相棒との移動方法、宙に向かっての《突貫LV1》は、速度がかなり上がっている。
これまでは、びゅーんだったのが、ばびゅーん! って感じ。それを調整できるのは《思考加速LV1》のおかげだ。
周りの景色がゆっくり見える。その分、俺の動ける速度もゆっくりなので、注意は必要だ。ゾーンに入ってる感じ。
おかげで微調整程度ならば、身を捩って進路を変えられる。
《暗視LV1》が《暗視LV2》に上がった!
《思考加速LV1》が《思考加速LV2》に上がった!
スキル《空中戦LV1》を獲得した!
とはいえ、実際の速度は物凄いことになっているのだろう。
スキルの上がりっぷりが異常だし、何匹か鳥っぽいものを背の鱗で轢いた感触があった。
「ははははは! 速い速ーい!」
相棒も子どものようにはしゃいでいる。というかそもそも、俺たちは生後数日と二十数日だ。
そんな相棒も強くなっている。《思考加速》も持っているのだろう。
この速さで微調整できないところを、しっかりと枝に飛ばした《蜘蛛糸》で調整している。しかも外さない。
《蜘蛛糸》を手繰り寄せることで、さらに速度を上げたりする。たまに魔物が引っかかるが、ひっついたまま千切れることはない。
どんな丈夫で粘着力のある糸だ。
「相棒! 魔物が集まっているのを発見!」
「ラジャ!」
地上では、狼の群れと《突進猪》が戦っていたようだ。ポカンとした顔で俺たちを見ている。
こちらを見るのは好都合。
《邪眼LV2》
魔物たちの動きが止まる。
《蜘蛛巣》
止まったところを、相棒の蜘蛛糸が絡め取る。
「一時合体解除!」
「ラジャ!」
ぴょい、と軽快な音を立てるように相棒が俺から飛び降りる。
相棒の《蜘蛛巣》から外れた魔物を、
《三角蹴り》
《噛み砕くLV5》
《巻きつきLV5》
《丸呑みLV3》
《突貫LV1》
《噛み砕くLV5》
《巻きつきLV5》
《丸呑みLV3》
の繰り返しによって食っていく。
俺の食事(《噛み砕くLV5》《巻きつきLV5》《丸呑みLV3》)中に近づこうとする魔物たちには再び《邪眼LV2》を。
動きを止め、次の俺の食事になってもらう。動きが戻って寄って来る奴らは尻尾で《薙ぎ払うLV1》。
相棒はその間《蜘蛛巣》にかかった魔物たちに《毒爪》と《毒牙》を順番にかましていく。
即死んでもよし。弱って《蜘蛛巣》から逃れられず、徐々に死んでいってもよしだ。
俺だけ食っても不平等。持ち前のSPDで早々と毒を与え終わった相棒は、俺が狩って食うのを、狼一匹をもそもそと食いながら見ていた。
《邪眼LV2》が《邪眼LV3》に上がった!
《空中戦LV1》が《空中戦LV2》に上がった!
てれれってってってー!
レベルが上がった!
各基礎能力が向上した!
《毒牙LV6》が《毒牙LV7》に上がった!
《薙ぎ払うLV1》が《薙ぎ払うLV2》に上がった!
《察知LV4》が《察知LV5》に上がった!
ゴブリンほどではないが、流石は昨日まで歯が立たなかった魔物たち。
味も美味しければ経験値もオイシく、スキルのレベルアップも速い。
しかし、一連の流れを見た魔物は俺たちから逃げていく。一夜で俺たちは、ここらの魔物が裸足で逃げ出す強さを手に入れた。
達成感もあるし、ドヤ顔したくもなるのだが、経験値稼ぎを考えれば都合が悪い。
相棒は小食なので(本来俺もそうなのだが)、食うのに時間がかかる。
俺には《消化吸収能力LV5》があるし、スキル腹筋と背筋で食物を揉み潰すのも慣れたもんだ。
相棒は後でゆっくり食ったらいいが、早食いを覚えたいようで急いで食っている。
巣にかかった獲物はすべて相棒のものなのだから、ゆっくり食っていいのに。
食い終わると、トコトコ寄ってぴょいと俺の背に乗る。
「ほんじゃ! 次いっこかー!」




