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蛇に転生しました。勇者か魔王になろうと思います。  作者: 松明ノ音
【野性編】■■■は魔性の蛇になった。
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期限と欲




 前回の振り返り。


 ゴブリン数匹狩った。以上!

 

 捕食したので俺のポケ〇ン図鑑もとい胃袋にデータが入り《解析LV3》でゴブリンを見れるようになった。


 どうやら《グリーンゴブリン》という種族らしい。


 まぁそれも興味深いものなんだけど、それ以上に気になることがある。



    ―復讐期限まで、あと41時間です―



 ↑これである。何これ怖い。


 えー。コレ何? ちなみに達成できなかった何かあるの?


 絶対いいことじゃないよね?


 俺の十倍近く生きている相棒なら知っているかもと思ったが、訊くのはやめておいた。


 心当たりも正直ある。それを持っていないなら、知らないだろう。



    《憎む者》

    《復讐者》

    《絶対の復讐》



 どうせここら辺が絡んでるんでしょ?


 成長スキルなんかはただメリットだけがありそうだから放置していたが、放置していた謎スキル等々と向き合う必要があるかもしれない。


 その復讐の対象にも心当たりがある。あのムカデだ。あと41時間以内にあのムカデに復讐を完了しないと、何かが起こるってこと?


 あれからレベルは3上がって、力も伸びて身体も大きくなった。


 ――今なら倒せるか?


 相棒と一緒なら確実に殺れるんだが……。


 そう思って後ろを見やると、


「あぁー。ゴブリン美味しいぃ。美味しくてオイシイぃ。しゅきぃぃ」


ゴブリンの美味しさと経験値的なオイシさでラリった蜘蛛がそこにいた。エセ関西弁はどうした。


 だが、ちょうど食べ終わったようだ。今だと思い、声をかけようとしたが、


「あえぇー、ゴブ肉なくなったぁー。ふぇぇえ」


普段からの甲高い声も相まって、率直に言ってキモい。


「あ、骨だけになったんなら俺にくれよ。丸呑みする」


「やーだ。骨ガジガジするもん! 《噛みつき》と《毒牙》鍛えりゅんだもん!」


 寸暇を惜しまず成長しようという心がけは立派なのだが、話し方がいたくキモい。ぶっちゃけドン引く。


 慎重で危機感高いクールなお前はどうした。


「……あー。じゃあ一本でいいだろ? 残りは食わせてくれよぉ」


 まぁ俺も、人、蜘蛛のことは言えない。ゴブリンは骨まで美味い。味わってはいないのだが。


「たく、あいぼーは意地汚いなぁ」


 そう言いながらも、骨をくれた。丸呑む、美味い。


 その通り。俺たちは生き汚くて、意地汚いのだ。


「「お?」」


 二匹同時に気づいた。



     《グリーンゴブリンLV8》《グリーンゴブリンLV8》



「ゴブリンだな」


「二体おんなぁ」


 相棒がエセ関西弁に戻った。イケるで……!


「なぁ蜘蛛」


「せやな蛇」


 同じ考えことを考えてるようだった。


「今度は、お前もずっと隠れてはいられないぞ?」


「わかっとるわ。ただ、タイミングくらい合わせてええやろ?」


「モチ」


 一人一匹ずつ食う。


 別に食欲に踊らされているわけでも、ゴブリン肉の美味さにラリってるわけでもない。


 二人とも冷静な判断の上だ。


 ……ホントだよ?


 南へ進むにつれ、明らかにゴブリンを見かける頻度は減って来た。時折大きめの《小魔鼠》や《魔性の蛇》も見かけるようになった。さすがに俺ほど大きいものはいない。


 LV8の魔性の蛇もいたが、俺の大きさの半分ほどだった。今俺の体長は、体感で4メートル。太さは70センチないくらいかな? 立派な大蛇(だいじゃ)だ。


 相棒も俺が大きくなる前同様に、そんな大蛇の腹を背から掴めるほどに大きくなっている。


 大収穫。レベルも大いに上がったし、スキルも伸びた。欲しかった頭以外の攻撃手段が手に入らなかったことは残念だけれど、それでも成果は大きい。


 とはいえ確実に、弱い魔物が分布する地域へと入っているのだ。それは目的なのでいい。


 しかし、おそらく今回最後のゴブリンを食える機会になる。


 それを逃すつもりはない。


 ……やっぱ、ちょっとは欲に踊らされてるかも。




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