《グリーンゴブリン》
前回の振り返り。
ゴブリン殺した。以上!
てれれってってってー!
レベルが上がった!
各基礎能力が向上した!
スキル《威嚇LV1》を獲得した!
《威嚇LV1》は《威嚇LV1》に統合される!
スキル《威嚇LV2》を獲得した!
《眼力LV2》が《眼力LV3》に上がった!
てれれってってってー!
レベルが上がった!
各基礎能力が向上した!
《突進LV3》が《突進LV4》に上がった!
《噛みつきLV5》が《噛みつきLV6》に上がった!
スキル《噛み千切る》を獲得した!
《噛み千切る》は《噛み千切るLV2》に統合される!
《噛み千切るLV2》が《噛み千切るLV3》に上がった!
結果は想像以上!
強い魔物を倒せば倒すほど、強い魔物にスキルを使えば使うほどレベルもスキルも上がりやすいようだった。
「お、おぉ……」
相棒の蜘蛛の頭にも、天の声が連発で響いているのだろう。強くなる喜びに震えているようだった。
「どうよ相棒? 効果のほどは」
相棒はうっとりしたような顔で応えた。
「これは、オイシイわ」
ご満足いただけたようである。
長居は無用だったので《噛み千切るLV3》を何度か繰り返し、腰の辺りで二等分した。
上半身を俺が丸呑みし、
《丸呑み》が《丸呑みLV1》に上がった!
腹の中で砕きながらまた南へ進んだ。やはり強いヤツは美味い。
相棒は俺のように丸呑みには出来ないので、相変わらず俺の背で腹に爪を突き立て、
スキル《痛覚軽減》を手に入れた!
スキル《苦痛耐性》を手に入れた!
後ろを警戒しながらゴブの下半身を食っている。
《消化吸収能力LV2》が《消化吸収能力LV3》に上がった!
あ、消化終わったわ。
各基礎能力が向上した!
本当、強い種族の魔物を倒したり食うとあらゆる面で成長が速い。
あと新発見だったのだが、レベルアップするとHPも全快するらしい。あのムカデに負わされた傷も失った鱗も、元通りになった。
「なんや? そんなことも知らんかったんかいな?」
と言われてしまったが。安全第一で狩ってたのだから仕方ない。
スライムはどこにでもいるらしく、どこでも弱いらしい。無駄なく一匹だけ殺して水たまりを作り、脱皮を済ませた。
相棒も脱皮はするが水を必要としないらしく、俺の背中でペリペリと皮を剥いていた。
人の背中で食事するわ皮を剥くわ、遊園地の乗り物の如く楽しむわ、いい気なもんである。
《平衡感覚LV2》も獲得したらしい。さいですか。
蛇行の動きに飽きたから、尺取虫みたいに這ってくれとリクエストまでしてきよる。別にいいけど。
とはいえ、戦闘では本当に頼りになる蜘蛛である。
それからも何度かゴブリンと遭遇したが、同じ手順で着々と殺していった。
あくまで単独でいるヤツだけを狙った。二人以上でいることも多く、そういう時は見つからないようにコソコソと迂回して通り過ぎた。
俺単独では殺せない強さなだけに、経験値高いしスキルが上がるのも本当に早い。何度食っても毎回天の声が鳴るのは楽しかった。
相棒も同じようだった。
「ようやく、相棒の言うてたことがわかった気ぃしたわ」
こんなに狩りまくることも食いまくることもなかったようで、実感を持って俺が昨日一昨日とやっていたことを、理解したようだ。
「そうだろそうだろ? 強くなるのも大きくなるのも楽しいんだって」
「もっと早く言うてくれやぁー」
「会ってないし、そもそも俺生まれてないわ」
「せやな」
「くくく」
「ははは」
そんな下らないやり取りの中、
《瞬発LV4》《突進LV6》《噛みつきLV8》《噛み千切るLV5》
《毒牙LV4》《眼力LV5》《威嚇LV4》《解析LV3》
と素晴らしい成果も出ていた。レベルも9に上がった。
面白いと思ったのは、今までは俺が殺した瞬間にしかレベルアップしなかったのだが、さっきは相棒が殺した瞬間にレベルアップした。
つまりはパーティを組んでいれば、仲間が殺した時の経験値が俺にも入るらしい。
―復讐期限まで、あと42時間です―




