《?ゴブリン?》
「なぁ蛇」
「なんだ蜘蛛」
「これ楽しいわ!」
背に乗せている蜘蛛を寝させないという目的もあって、そこそこのスピードで蛇行していたのだが、蜘蛛は楽しみ始めたらしい。
急げるし結果オーライだからいいけど。
さて、北へ来たのは偶然だが、来たとあっては目的が出来た。
北の強めの魔物の捕食だ。
普段なら安全に行くところだが、今回は特別だ。
背中に乗せた秘密兵器がある。またの名を蜘蛛。
この北の地は、生き汚いこいつを働かせるのにもちょうどいい。
「お?」
そうこうするうちに、目的が早くも一匹見えた。停止する。
「おい、あいつ見たことあるか? 前にいるヤツ」
「んー?」
お楽しみが止まったことに不満だとでも言うように、八つの爪を抜いてちょこちょこと方向転換する。
「げっ。見たことないわ。ていうか絶対強いやん」
《解析》で前方に《?》と表記された魔物は、棍棒を持った緑色のゴブリンだ。弱い魔物とされているが、間違いなく今まで食ってきた魔物より格段に強いだろう。
体感で俺の体長が180センチだとすれば、140センチくらいだ。小学生中学年程度。しかし筋肉はしっかりしているし、両腕両足を自由に使えるのは大きいだろう。俺も使いたいもん。
「アイツを食うぞ。半分ずつだ」
「はぁ!? 無理無理無理無理! 生きるために慎重に、が俺らの共通点やろ!」
「慎重に考えて、勝てるんだよ」
「一人でやれや! 俺は付き合わへんからな!?」
蜘蛛は飛び降りて、俺に背を向ける。
「なぁなぁ。見たこともない強い魔物がいるってことは、こっちって南なのか? 北なのか?」
ピクリと、蜘蛛が動きを止める。
「俺ら、かなりお前の蜘蛛糸で移動したよな? 強い魔物がいる来たことのない地域を、一人で南へ向かうなんて俺だったら嫌だけど?」
蜘蛛は留まったまま動かない。リスクの計算をしているのだろう。
風が吹き、木々の枝が葉を揺らす。それにしばし耳を傾ける。
結果はすぐに出たようで、ため息を吐いてこちらを振り返った。右前脚で頭をかくのは、どうやら癖らしい。
「勝算あるんやろうな?」
「当然」
生き汚いのは、俺も一緒だ。長生きするために、強くなりたいのだ。
書き溜め増えたので、土日は朝と夜の2回投稿にしますー。




