YU-JOH
南側は夜の魔物も弱く小さいらしいので、明日からはもう少し南に行き、本格的に夜行性になるのも悪くない。
『強めの蛇って、見たことあるか?』
『アンタ以外でか?』
『ゴマすりが聞きたいんじゃねぇって。戦い方の参考にしたいんだよ』
『蛇なぁ。アンタと同種の《魔性の蛇》以外には、見たことないわ。それも、アンタくらいデカいヤツは見たことないで』
攻撃スキルを渇望していた。《噛みつきLV4》にしても《毒牙LV2》にしても、要は牙で噛む戦闘手段だ。
後は《突進LV3》。尾を叩きつけてきた蛇もいたが、正直パッとしない。
蜘蛛とは打ち解けたため、今さら殺そうとは思わないが、戦闘手段があれば口を封じられたこの状況でも、戦えたはずなのだ。
こいつの経験値もスキルも、間違いなくオイシイ。
……いや食う気はないよ? ここまで打ち解けた相手を食わないよ? 本当だよ?
『しかしアンタはホンマ、デカいなぁ。生まれた時からデカかったんか?』
『いや、狩りまくって食いまくったからだろう』
『ほー? 蛇は何日かに一回しか食わん小食やから、そうそう見かけんもんかと思っとったが』
『あー、昨日の夜にこの外の景色を見てな……』
蜘蛛は『あ、察し』というような表情をしていた。
『なるほどなぁ。それで大きくなれるように食いまくったんか』
『そういうこった』
『生きるんは世知辛ぇなぁ。俺も身体が大きけりゃ、デカくなろうとできたんやが』
『俺には、お前の蜘蛛の糸が羨ましいがな。リスクの少ない狩りができるのは、生きるので最善だろ』
『よしぃや。ゴマすりなんざ聞きたないわ』
『くくく』
『ははは』
二人、いや二匹で笑いあった。
蜘蛛との友情を感じる。お互い追い詰められれば、お互いを食おうとするのだろうが、よい心地だった。
狩りの共闘相手を探してはいたが、それが同属の蛇ではなく、蜘蛛でもいいかもしれない。
ここを出たら、提案してみようか。そんなことを考えていると――、
ドン
と音がした。
『『ん?』』
二人同時に穴の出入り口を見やる。蜘蛛も嫌な予感がしたのだろう。
そこには猿がいた。
猿には粘着耐性はなかったのだろう。
蜘蛛の糸に背をくっつけられたまま、身を捩っている。木の下の穴で蜘蛛糸に守られて安心していたが、外は相変わらず強者たちのカーニバル。
動きを捕らわれた猿の末路は決まっていた。
血飛沫が上がる。というか、零れてくる。
『『ひぇぇえ』』
弱者たる蛇と蜘蛛は身を寄せ合って震えた。
猿がガジガジと食われていく。食っていたのは、巨大なムカデだった。
『……逃げるぞ。捕まれ』
『おおきに。あいつが食い終わったら、口に蜘蛛糸を吐く』
ムカデはじきに完食して、こちら――弱者二匹に目を向けるだろう。
『第三の目』と舌で、可能な限り外の状況を見る。




