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蛇に転生しました。勇者か魔王になろうと思います。  作者: 松明ノ音
【野性編】■■■は魔性の蛇になった。
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YU-JOH




 南側は夜の魔物も弱く小さいらしいので、明日からはもう少し南に行き、本格的に夜行性になるのも悪くない。


『強めの蛇って、見たことあるか?』


『アンタ以外でか?』


『ゴマすりが聞きたいんじゃねぇって。戦い方の参考にしたいんだよ』


『蛇なぁ。アンタと同種の《魔性の蛇》以外には、見たことないわ。それも、アンタくらいデカいヤツは見たことないで』


 攻撃スキルを渇望していた。《噛みつきLV4》にしても《毒牙LV2》にしても、要は牙で噛む戦闘手段だ。


 後は《突進LV3》。尾を叩きつけてきた蛇もいたが、正直パッとしない。


 蜘蛛とは打ち解けたため、今さら殺そうとは思わないが、戦闘手段があれば口を封じられたこの状況でも、戦えたはずなのだ。


 こいつの経験値もスキルも、間違いなくオイシイ。


 ……いや食う気はないよ? ここまで打ち解けた相手を食わないよ? 本当だよ?


『しかしアンタはホンマ、デカいなぁ。生まれた時からデカかったんか?』


『いや、狩りまくって食いまくったからだろう』


『ほー? 蛇は何日かに一回しか食わん小食やから、そうそう見かけんもんかと思っとったが』


『あー、昨日の夜にこの外の景色を見てな……』


 蜘蛛は『あ、察し』というような表情をしていた。


『なるほどなぁ。それで大きくなれるように食いまくったんか』


『そういうこった』


『生きるんは世知辛ぇなぁ。俺も身体が大きけりゃ、デカくなろうとできたんやが』


『俺には、お前の蜘蛛の糸が羨ましいがな。リスクの少ない狩りができるのは、生きるので最善だろ』


『よしぃや。ゴマすりなんざ聞きたないわ』


『くくく』


『ははは』


 二人、いや二匹で笑いあった。


 蜘蛛との友情を感じる。お互い追い詰められれば、お互いを食おうとするのだろうが、よい心地だった。


 狩りの共闘相手を探してはいたが、それが同属の蛇ではなく、蜘蛛でもいいかもしれない。


 ここを出たら、提案してみようか。そんなことを考えていると――、


 ドン


と音がした。


『『ん?』』


 二人同時に穴の出入り口を見やる。蜘蛛も嫌な予感がしたのだろう。


 そこには猿がいた。


 猿には粘着耐性はなかったのだろう。 


 蜘蛛の糸に背をくっつけられたまま、身を捩っている。木の下の穴で蜘蛛糸に守られて安心していたが、外は相変わらず強者たちのカーニバル。


 動きを捕らわれた猿の末路は決まっていた。


 血飛沫が上がる。というか、零れてくる。


『『ひぇぇえ』』


 弱者たる蛇と蜘蛛は身を寄せ合って震えた。


 猿がガジガジと食われていく。食っていたのは、巨大なムカデだった。


『……逃げるぞ。捕まれ』


『おおきに。あいつが食い終わったら、口に蜘蛛糸を吐く』


 ムカデはじきに完食して、こちら――弱者二匹に目を向けるだろう。


『第三の目』と舌で、可能な限り外の状況を見る。




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