《小魔鼠》
起きた。
目が覚めると《死食鼠》の姿はなく《小魔鼠》が数匹うろちょろとしていた。あいつらは白くてかわいい。つぶらな赤い瞳も魔物っぽくてかわいい。
小魔鼠かわいいよ小魔鼠。
あと死食鼠より美味いし。
「つっても、今日はそこまで相手にしてられないんだよな」
ずるずると木の根から這い出し、一匹を《三角蹴り》で捕食する。
いや食うことは食うよ?
ただ今日の本命は『蛇』ってだけ。
身体は睡眠を取り直して、調子がいい。寝すぎることを心配したが、大丈夫だったようだ。
夜に恐怖体験を味わったためか、恐怖を感じない。とびきりの恐怖の後のせいで、麻痺しているだけかもしれないが。
警戒しつつも、昨日より速い速度で動き回る。《解析LV2》と舌を出すのも忘れない。
チロチロ。
チロチロ。
よし。
速く這い回ることで、思わぬメリットがあった。
察知能力が高い獲物が、俺の察知範囲から去る前に補足できることだ。
おかげで今までよりも、
ばくん。
多くの小魔鼠を補足
ばくん
して捕食することができる。
※ 《三角蹴り》で食っているが、略。
別に暇つぶしに食っているわけではない。ちゃんと目的がある。
ピロン、といつもの天の声の音がする。
スキル《消化吸収能力LV1》が《消化吸収能力LV2》に上がった!
これを待っていた。
どうせなら、効果的に力が欲しいのだ。
そしてタイミングよく、本命を見つけた。
第三の目の温度、舌の湿度、《解析LV2》の《?》が、細長い形状の生物の存在を伝える。
俺と同じ形状の魔物、蛇だ。