《死食鼠》
生物の動く気配で、目を覚ました。
どれぐらい眠っていたかは分からないが、身体のダルさから良い睡眠は取れていないだろう。
「とりあえず寝起きの《解析》」
『草』『?』『草』『木』『草』『草』『草』『草』『草』『木』『草』『草』
未知の魔物がいるようだった。第三の目と舌で観たところ、形状はネズミだ。
「んー、サイズは小魔鼠より大きくて、黒い? のか?」
LV5の小魔鼠より少し小さい程度だった。色はやっぱりはっきりしない。観察し、動きが小魔鼠と変わらないことを確認して《三角蹴り》で捕食した。
「……まっず」
基本的に丸呑みしているので味は感じないのだが、それでもマズかった。
周りを見渡せば、同じネズミが数匹、死肉や強者たちの食い残しを食らっている。
なるほど。こいつらが夜の祭りの掃除をして、昼の平和な森が戻るのだろう。
パキパキと腹の中で、いつも通りにネズミを砕く。あと三匹くらいは腹に入りそうだ。眠気の中、食って大きくならなければいけない強迫観念だけはある。
起きたら《隠密LV1》が《隠密LV4》に上がっていた。
ビビッていてそれどころじゃなかったが、そういえば夜中に天の声が聞こえていた気がする。あの恐怖の中隠れていたからか、今までに無い上がり幅だ。
《隠密LV4》のお陰なのか、狩りは楽だった。《三角蹴り》しようとすると一回目の《突進》で獲物とぶつかり、逆に逃げられることさえあった。
四匹目を狩る頃には最初に食ったネズミが消化されて、《死食鼠》という名前であると分かった。
……胃の中をモンス〇ーボールにして、ポケ〇ン図鑑を埋めてるみたい。
脱皮でそれどころじゃなかったが、LV5の小魔鼠を消化吸収していた時に、スキル《引っ掻き》を手に入れていた。
四匹を消化すると《引っ掻き》がLV2まで上がった。引っ掻く爪などないが。
寝足りないので、また隠れていた木の根に戻り、眠ることにした。
七夕ですね。蛇への転生モノとかが流行って、棚ぼたでアクセス数とか伸びないかなとか、そんな願い事をする夢を見たり。