お休み
さて、レベル3になっても《解析LV2》になっても『激弱』だったので、ステータスについては触れないし泣かない。
「ぐすん」
泣くもんか。
泣いてる暇なんてないのだ。陽が落ちてきている。
数日や数週間食わなくてもいい蛇が、生まれてからバクバクと喰い過ぎな自覚はあるので、そろそろ夜に備えることにする。
「とはいってもなー、どうすんべ」
夜の寝床を考えなかったわけではない。狩りの時もうっすら考えていたし、さっきも水たまりで皮をふやかしながら、脱皮しながら考えていた。(どうやらレベルアップする度に脱皮するらしい。)
それにも関わらず、結論が出せていないだけである。
木には登れそうなので、木の上というのも考えた。だが、地だけを這ってきた俺にとって、同じ空間でも木の上は別世界だ。
猿は俺を容易に食いそうだし、さすがに俺の身体に猿は入らない。
鳥も近い。バサバサと音がしたと思ったら即爪で捕らえられていたなんてことも、避けたい。
結果、またも木に頼ることにした。探したのは、空洞のようになった木の根だ。背や横から狙われることなく、前方のある程度の角度は逃げ道になり得る。
そんなちょうどいいトコはなかったので、結局頭で掘った。
掘った土は平らにしたりどかしたりして、痕跡を出来るだけ消すようにした。
「まぁこんなもんかな」
慣れてきたとはいえ、四肢がないのは不便だ。
これ以上の細かい作業は無理だ。いずれは色々やりたいし、いつかは四肢が生えてくるといいなぁ。
隠れるのが遅れて居場所がバレて死にました、という終わりは厭なので、早々に木の根に入って意識的に《隠密LV1》を使った。
常に舌をチロチロ出しながら《解析LV2》を周囲に使う。
基本的には《草》《木》の変わらない景色だが、時折《小魔鼠LV2》や《小魔鼠LV3》が通り過ぎる。
それを狙ったり、食ったりする蛇も《?》として表示された。
ほとんどの蛇が俺と同じく《突進》して噛みついていたが、息を潜めるのが得意な蛇は目の前に通り過ぎる鼠をパクと食っていた。
ほー、と感心の声を上げそうになったが耐えた。拍手しようかと思ったが、手が無かった。
陽が傾き始めてからは、暗くなるのは速かった。
視力が悪い俺にも明らかに色彩が薄れ、輪郭は朧げになり、解析結果は《草》《木》だけになった。
《暗視LV1》があるから、かろうじてどこに何があるかは見て取れる。しかし、何がどうなっているかは、わからない。
目を閉じて眠ることにした。