表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/11

第2話 三時のおやつは教室で

「きゃ、きゃあああっ!」

 教室中に響き渡る叫び声。

 いきなり教室に、プラチナ色の髪の毛で、耳が尖った綺麗なお姉さんが入ってきて。食べられちゃった、先生が、まなちゃんが魔法でペロペロキャンディーにされて食べられちゃった……! どうしてなんて分かんない。分かる訳ない! 

 とにかく、逃げなきゃ、他の先生に知らせなきゃ! 

 みんな慌てて教室の扉に手をかけた。

 だけど、開かない。かぎはかかってないのに、扉も窓も、引っ張っても押してもびくともしない。

 えっ。どうして、どうして?

「無駄だよ~。だって、魔法で閉めちゃったんだもん。先生達もみんな、食べちゃったし」

 そう言いながらめんどくさそうに先生の机の上に足を乗せるお姉さん。

「魔法って、一体……」

 足がすくんでいるのか、自分の席から動いていないしのちゃんが、尋ねる。

「ああ、だから……教える義務なんてないんだけど」

 じろりと、鋭い目つきでわたしたちをめんどくさそうに見回すお姉さん。

 なんて、冷たい目をするんだろう……。震えあがる様な目線だ。

「ま、いっか。最後に教えてあげても」

 ため息をついて三角帽子を取ると、お姉さんはそれを指先でくるくると回して、こう言った。

「私は悪の魔女、ベル。今日は、三時のおやつを食べにここに来たの」

 ベル。もちろん、知らない人だった。

 それよりも、悪の魔女? 魔女も悪も、知ってるけれど……。

 『悪の魔女』なんて、そんなの、聞いたことないよ??

「さ、三時のおやつって」「まさか、わたしたちのこと?」「そんなの、うそだよね?」「でも、先生とまなちゃん、食べられちゃったよ?」「わ、わたしたちも、おかしに……?」

 そんなみんなの声に、ベルは呆れてため息をついた。

「全く、うるさいわね……さっさと食べちゃおっと」

 ! やっぱりだ、やっぱりベルは、わたしたちのことも食べちゃうつもりなんだ……!!

「で、でも、魔法で人をお菓子に変えちゃうなんて……」

 という質問にも、ベルはうんざりした様に答えた。

「だって人間なんて所詮、魔女のおもちゃでしょ?」

 でも、そんなの変だ。

 だって、魔法は良いことに使うんだって、リルハちゃんでも、他の魔法少女アニメでもみんな、言ってるのに。

 ベルみたいに、誰かをお菓子に変えて食べちゃうなんてこと、しちゃいけないはずなのに。

 魔法はそんな悪いことに使ったらだめなのに……。

「ん?」

 ふとベルが教室の隅っこを見る。そこにいたのは――なこちゃん。

「へえ~……」

 ベルが立ち上がって、なこちゃんのところに歩み寄っていく。

「や、やあ……」

 隅っこでがたがたと震えていたなこちゃんは、立ち上がれないで顔を真っ赤にして泣きながらベルのことを見ている。

 なこちゃんが食べられちゃう! 

 助けに行きたいのに、足が震えて立ち上がれない! 声がつっかえて、出てこない!!

「あなただけは、特別に――」

「なこちゃん!!」

 ようやく声が出て、叫んでみても。

 ベルが指を振ると、あっという間になこちゃんが煙に包まれて……。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ