表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
私の中の消えない世界  作者: はりねずみ
7/20

通り道③

色々と呼んでしまうのでしょうか?


私が? それとも、この家が?

髪の毛と手鏡を見つけた日から数日経ってのことです。


我が家の門は鉄製で、開いて閉じるという動作だけでも結構大きくガチャンと音が鳴ります。

勿論それは家の中にも届いてきて、


あ、帰って来た。


と気付くくらいでした。



――ある日の夜。


父親が帰って来る時間です。

母親も食事の用意をしていました。

門の音がガチャンと鳴ったので、ああ、帰って来たんだなと思っていましたが、続けて玄関を開く音が中々聞こえないのです。


「……?」


母と一緒にリビングに居た私、不思議に思っていると、家を取り巻くように作られたコの字型の庭を歩く音が聞こえてきました。


「庭なんて興味ないくせに何してるんやろ?」


母が言います。

私もそう思いながら、二人で砂利を踏む音を聞いていました。

かなりうろうろしてから、足音が裏庭で止まりました。ちょうどリビングのカーテンを開けると見える場所です。

変な悪戯して、と母がカーテンを開けてみると、


誰もいないのです。


確かに足音はそこで止まったはずなのに。

暫く私たちは身動きが出来ず、段々と気持ち悪くなってきて慌ててカーテンを閉めた、その時。


――ガチャン。


二度目の門の音。

一体何が起こっているのか、次もまた庭をうろつきまわるのか、もしかして空き巣か何か。

でも灯りがついている家に入るわけがない。


すると、玄関がガチャと開いて、


「ただいま。」


父の声でした。

母と二人で顔を見合わせ、玄関へと急ぎます。


「おかえり、さっき何してたん?」

「門でも閉め忘れてたん?」


二人して問い詰めると。


「何わけのわからんこと言ってるんや?今帰って来たとこやんか。」

「いや、だってお父さん帰って来る前に門開いて、庭うろうろしてたやろ…。」


「庭うろついてどうするんや?」

「……。」

「……。」


じゃあ、一体、誰が帰って来たの。

この後も、父の前に誰かが帰って来る音と庭をうろつく音が、何度も。

一ヶ月ほど続いてから、誰かが帰って来る音はぱったりなくなりました。

どこか別の家に行ってしまったのでしょうか。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ