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06 追ってくる影


「プリム、旅をしないか。どうも隣国のムーロ王国が戦争に負けそうなんだ、それに巻き込まれないようにもっと遠くの国へ行かないかい?」

「うむ、よきにはからえ。我も遠くへ行くのは賛成じゃ」


ムーロ王国とセメンテリオ魔国が戦い始めて三カ月ほどが経っていた、どうやらムーロ王国側の敗色が濃厚だ。その場合、戦争の原因として俺の弟のパルスが皆に吊し上げられるのは間違いない。両親だってただでは済まないだろう、俺は今のうちに逃げたい。


「これとこれ、それからこれをくれ」

「我はこっちの物が欲しいぞ」


プリムが干した果物の砂糖漬けを欲しがったのでそれも二瓶ほど買った。買ったものはすぐ使うものは肩掛け鞄に、それ以外のものは『無限空(インフィニット)(スペース)収納(ストレージ)』に収納してある。


いやー、この魔法凄く便利。十五歳くらいまでは初級の魔法しか使えなかった俺だけど、今じゃ上級魔法もいくつかは使えるようになった。


「目的地はスティグマタ国だ、ここはスキルついていろんな研究をしている国らしい」

「我はレイの美味しいご飯があって、平和なところならどこでもいいぞ」


プリムはすっかり俺になついていた、なつきすぎてブラッシングをしてやるとそのまま寝落ちするくらいだった。またここ一カ月の総仕上げでレベルが上がって、石化無効のスキルも手に入れていた。


名前 :プリムローズ

レベル:36

年齢 :15

性別 :女

スキル:剣術、水魔法、光魔法、毒無効、石化無効


レベルが低いほうが成長しやすいものだが、このレベルの上がり方は異常だ。そういうところをみると、プリムに付いている耳や尻尾がただの飾りじゃないとわかる。魔物は人間よりも成長が速いそうだ、あと子どものほうが成長が速いのは人間も一緒だね。


「それじゃ、行くぞー!!」

「うむ、そうしよう」


と気合をいれて声を上げたところで移動は駅馬車での移動になる、その方が歩くより楽で速いからね。


馬車に乗っている間にお尻が痛くならないようにローブを敷いて座る、馬車が移動している間は暇だからプリムに復習を兼ねながら新しい魔法を教えたりしていた。


「魔法には六属性があると言われている、火属性、水属性、風属性、土属性、光属性、闇属性。これらは色で分けられることもある、赤、青、緑、茶、白、黒だな。学ぼうと思えばいくらでも学べるけど、人によって得意な属性というものがある」

「得意な属性?」


「例えばプリムの得意な魔法は水属性と光属性だ、まだこの二つしか魔法を覚えていないからきっとこれが得意な属性なんだろう。俺が得意なのは火属性と風属性だ、もちろんそれ以外の属性の魔法も使えるが消費する魔力の量は格段に多くなる」

「なるほど、我もまだまだ未熟だの」


「あとこれは本にも冒険者プレートにも載っていないけど、どうも無属性の魔法っていうものが存在するみたいだ。『無限空(インフィニット)(スペース)収納(ストレージ)』もその一つだよ、これであと『瞬間移動(テレポーテーション)』が出来たらもっと便利になると思うけど、俺でもこれはまだ難しい」

「大丈夫、レイなら出来る。我がきっとそう信じている」


ああ、最初は人間。人間って種族名でしか俺を呼ばなかったプリムが、今ではこんなに信頼をよせてくれるようになって嬉しい。


俺って家と学校それから騎士団でも独りぼっちだったからな。どうも表情筋がお仕事をしないんだよね、面白いと思っても当時は笑うということができなかった。生き延びるだけで必死だった頃だ、死にたくなくてレベル上げを毎日やってた。


プリムに会ってから俺もようやく人並みに笑ったり、怒ったりできるようになった。子どもの無邪気な姿っていうのは凄いね、ついついつられて笑顔になれる。


「そういえば、プリムは親のこととか覚えてないのか?」

「……我は存ぜぬ」


「そうか、まぁ、今は俺が親代わりのようなものだな」

「………………レイは違う」


「そ、それじゃ友達!!俺たちは友達な!!」

「友達……そうじゃな、友達から始まることもあるな」


よく分からないが俺とプリムは友達ということになった、そしてディレク王国の国境近くの休憩になって俺はちょっとおでかけをしてきた。


「プリム。俺ちょっと出かけてくるから、起きて見張っていてくれ」

「うむ、わかった」


それから小一時間くらい俺は気配を消して魔物を狩り続けた、ようやく魔物の気配がなくなって首を傾げた。普通の魔物じゃない。ディレク王国からずっとつけられていたのだが、その相手はただの魔物じゃなくて魔族だった。


これってプリム絡みなのかそれとも俺か、もう全滅させてやったからいいけどさ。俺は剣の血糊をそいつらの服で拭って、プリムが待っている野営地に戻った。


「ただいま、プリム。ほれっ、おみやげのキイチゴだ」

「大義である、レイ!!」


プリムは俺が帰りがけに見つけたキイチゴをうまうまと頬張っていた、そして俺の冒険者プレートはこうなった。


名前 :レイ

レベル:125

年齢 :22

性別 :男

スキル:剣術、怪力、魔法剣、全魔法、毒無効、気絶無効、麻痺無効、石化無効

    睡眠無効、即死無効、魔王の祝福



いきなりレベルが三つも上がっている、あの俺たちをつけてきた魔族たちはそこそこに強い者だったらしい。明日からちょっと遠回りして動こう、また別の魔族につけられないようにしよう。


あっ、即死が無効になっている。知らなかったけど即死攻撃をする敵がいたんだな。

ご指摘により魔法の属性の色についてセリフを追加しました。

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