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46 再会


ディレク王国の草原に転移して貰ったら、そこでは懐かしい仲間が俺たちを待っていた。金色の龍の姿ではなく、金髪に碧色の瞳の人間の姿だった。


「やぁ、おかえり。二人とも元気そうでなによりだ」

「シオンじゃないか、ただいま」

「ただいまなのじゃ、シオン」


俺たちはお互いに軽く抱きしめあって再会を喜んだ。この1年の間にも何回か会っていたが、やはり信頼できる仲間に会えるというのは嬉しい。そのまま、ディレク王国の草原で久し振りに俺は料理の腕を振るう。


「甘い物は果物の砂糖漬けくらいしか無くて悪い」

「シオンは甘いものが好きじゃからのう、でも猪肉の串焼きも絶品ぞ」

「僕も龍だから肉も好きだよ、甘い食べ物はなんというか別物なんだ」


無限空(インフィニット)(スペース)収納(ストレージ)』に入れておいた食糧から調理したものを出す。猪肉の串焼き、熊のニンニク焼き、鹿肉のポトフ、ヤマドリご飯。三人で少しも残すことなく作った料理を綺麗に食べきった。


「これから君たちはどうするんだい?」

「今までが欠片探しとレベル上げの日々だったからな」

「今度は観光や普通の冒険者として働くのじゃ」


「そうか、もし僕に用があるようなら念話で呼んでおくれ。どこにいても駆けつけるから」

「外の世界の技術は凄いな、遠慮なく何かあったら通信を送る」

「なにもなくても面白そうなことがあったら、お喋りするのじゃ」


「そのうち他の大陸に行ってみるのも面白そうだしな」

「この大陸は小さいのじゃ、他の大陸には言語も習慣も違う人族がいるらしいのう」

「へぇ、そこには僕みたいな龍もいるのかな。楽しみだね」


シオンとはそこで別れて、俺たちはディレク王国の都に向かった。気のせいだろうか、以前に来た時よりもプリムに視線が集まっている気がする。そんな視線が飛び交う中、俺たちは冒険者ギルドを訪れた。


「薬草採取、討伐依頼、いろいろとあるのう、どれが面白いじゃろうか?」

「面白いかどうかでいえば、討伐依頼だろうな」


「西の草原、コカトリスの群れの討伐依頼!!これじゃ!!」

「それじゃ、ギルドのカウンターで受けてこよう」


俺たちはギルドカードの偽造ができるようになった、本物のデータから上書きして偽のデータを現すようにリープに改造して貰ったのだ。これで、遠慮なく冒険者ギルドの依頼を受けられるというものである。


ちなみに偽造されたギルドカードの情報はこうなっている。


名前 :レイ

レベル:50

年齢 :23

性別 :男

スキル:剣術、怪力、縮地、空間跳躍、魔法剣、全魔法、獣の目、状態異常無効

  


名前 :プリムローズ

レベル:50

年齢 :16

性別 :女

スキル:剣術、怪力、縮地、全魔法、状態異常無効



「コカトリスの討伐依頼ですね、このレベルなら大丈夫だしょう。お気をつけていってらっしゃいませ」


ギルド職員は偽造されたデータと疑うこともなく依頼を受理してくれた。これで俺もプリムも遠慮なく冒険者として動くことができる。


「プリム、縛りプレイだ。剣の攻撃だけで倒してみよう」

「うむ、レイは縮地の使用も禁止だの。その挑戦受けてたつ!!」


普通に俺たちがコカトリスを倒したらあっという間に片付いてしまうので、縛りプレイをとりいれることで競争して獲物を狩っていった。ちなみにどうにか俺が勝った、プリムとは再戦を誓った。


「羽毛をすいこまないように鼻と口に布を巻いてと」

「倒した後の解体の方がなかなか大変だよな」


などと言いながら倒したコカトリスを解体していった、コカトリスの肉は美味いのだ。普通の鳥肉よりも濃厚で美味い出汁が出る、もちろんそのまま焼いても美味しい。


他には冒険者ギルドへの討伐証明として、嘴を十数個切り取って持っていった。受け付けのカウンターにそれを提出したら、受付嬢が唖然としていた。


「ええ!?もう倒してきたんですか、数日はかかると思っていたのに」

「…………そういうものなのか。まぁ、早く倒す分には問題ないだろ」

「あれくらいの魔物、簡単なものなのじゃ」


受付嬢は討伐証明の部位を確かに確認して、俺たちに報酬の金貨5枚を払ってくれた。そして、俺たちに昇格試験をすすめてきた。


「昇格試験か、俺はあんまり受けたくないな」

「うむ、どうしてなのかや?」


「指名依頼が入るようになって面倒になる。それに大勢に名前が知られるからプリムの故郷とか、俺の場合は教会の神官騎士に見つかると更に面倒になる」

「それは嫌だのう、我も昇格試験は遠慮したいぞ」


俺とプリムは相談のうえで昇格試験は受けないことにした、自由にのんびりと旅を楽しみたいのだ。それには目立たないことが一番大切なことだろう。


「えっ、えっ、勿体ないですよ!!せめて銅級まで受けてください、話しを聞いて」

「今日は受付ありがとうございました」

「ありがとうなのじゃ」


受付譲は俺たちの言葉に尚も食い下がってきたが、丁寧にお断りの返事をしておいた。ちなみに俺たちの冒険者ランクは青銅、最下位のランクである。


新人が青銅、一人前が銅、腕が良い方が銀、最高の実力者が金 国家級が白金とランクわけしてあるが、レベルが高くて違約金さえ払えるならランクを無視して依頼を受けることができる。


冒険者ランクよりもレベルの方が討伐なら重視されるのだ、これが護衛依頼とかだと話は別だ。護衛にはある程度の常識をわきまえた人格が必要だから、冒険者ランクが重要視される。


「まぁ、お偉いさんに近づかない。そんな俺たちには関係ないな」

「うむ、地位の高い者と話すのは苦労するしのう」


そう本当は魔王の地位にあるプリムが言う、俺はその皮肉さに少し笑いが漏れた。未だになぜプリムが魔王の地位を持つのかは不明だ、本人が積極的に知りたくないので調べていない。


「おおい、そこの新人。何がおかしいんだ、もっとギルド職員の言うことを真面目に聞いたらどうだ」

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