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44 バトルルーム


「あの惑星で使える全魔法のリストがある、読んでいて楽しいがレベル上げもしたいな」

「我もじゃ、いろいろと学んだから早く試してみたいのう」


俺たちがそう言っていたら、リープが控えめにそっと口を挟んだ。リープはいつもそうだ、大人しく俺たちの命令をそっと傍に控えて待っている。


「お望みならば特製のバトルルームで疑似的な戦闘訓練が行えます、今すぐにご用意致しましようか。そこで得た経験ももちろんレベルに反映されます」

「是非、頼む!!」

「体を動かしたかったところなのじゃ!!」


リープはすぐに俺たちを広くて一見なにもない白い建物に案内してくれた。かなりの広さがあって王宮が2つ3つ入りそうな気がする。



「ここがバトルルームか、なんか俺たちの世界と変わりがないな」

「太陽もあって、草木も生えておる。まるで外の世界のようじゃ」


グラアアアアアアアアアアアアアアアア!!


「プリム、敵だ。魔法で援護を!!」

「了解じゃ!!」


当然、十数匹のオーガの集団が現れた。俺はとりあえずプリムを抱き抱えてそいつらから距離をとった、そして離れたところからプリムに魔法で援護させて俺自身は一匹ずつオーガを倒していった。


「おらあぁ!!」

「我の魔法を受けるがいい!!」


俺の剣がオーガの体を切り裂く、その感触も剣の重さもいつもの世界と何も変わりはなかった。俺たちの周囲を囲まれないように注意しながら、俺はオーガを屠り続けた。


続いてプリムの雷の魔法が複数のオーガを直撃し、黒焦げとなり彼らはそのまま倒れた。


「凄い、これが仮想空間だなんて忘れてしまいそうだ」

「流れる魔力もその威力も同じなのじゃ、素晴らしいのう」


そうバトルルームの感想を言っていると今度は周囲の景色が山に変わった、襲ってくる魔物はハーピーやワイバーン、それにグリフォンまでいた。


「ええい、燃やし尽くす!!」

「我の雷を受けてみや!!」


空を飛ぶ敵には魔法しか効果が無い、俺たちは一番得意な魔法でそれぞれ魔物たちを打ち落としていった。


こんなふうにしてバトルルームで訓練プログラムは続いた、中には難しいプログラムもあり敗北することもあった。


「……うぅ、負けた。プリム、どこが悪かったと思う」

「……うむぅ、最初の位置取りが運が無かったのう」


「でも、現実ではその言い訳は通じないぞ」

「特訓じゃ、我ももう少し身体的に鍛えるのじゃ」


成人男性である俺と違ってプリムは体が小柄な分、どうしても戦闘では力という面で押し負ける。その弱点を克服するのだといって、プリムは自主練に励んでいた。何百、何千という挑戦の果てについに、人狼族として成長し怪力のスキルを手にいれていた。プリムは凄い。


「これで少しはレイの負担を減らせるのじゃ、レイも鍛えることを怠ってはならぬぞ」

「おう、プリムを守れるように俺も鍛えるぞ」


俺は既に怪力のスキルは持っていたので、速さと立体的な動きを中心にバトルルームで鍛えていくことにした。プリムと同じように様々な敵と戦い何百、何千という戦闘経験から二つのスキルを入手した。


「プリム、縮地と空間跳躍のスキルを獲得したぞ。これで前衛としてもっとよく戦える」

「縮地というのは速さのスキルだとわかるが、空間跳躍とはなにかえ?」


プリムの言ったとおり縮地は速さを一時的に引き上げるスキルだ。もう一つの空間跳躍とは魔法の応用で、一時的に無属性魔法で空間に足場を作って立体的に動けるスキルなのである。二段ジャンプの無限版だと考えればいいだろう、俺の魔力が続く限り使えるスキルである。


「むぅ、どちらも便利そうなスキルよのう。よぉし、我も習得するぞ!!」

「ははははっ、プリムにこれができるかな」


俺の挑発にプリムはまた特訓してスキルの習得に励んだ、その結果として縮地の方だけは習得した。空間跳躍には魔力を使用するので飛翔の魔法の方がプリムには効率がよく結局のところは習得できなかった。


「悔しいのじゃ、我も空を飛び回りたいのじゃ!!」

「飛翔の魔法で充分だから、このスキルは近接の俺向きだよ」


そうやってバトルルームを利用していたら、レベルは恐ろしいほどの勢いで上がっていった。1年も経ったらこうなっていた。


名前 :レイ

レベル:972

年齢 :23

性別 :男

スキル:剣術、怪力、縮地、空間跳躍、魔法剣、全魔法、獣の目、状態異常無効

    魔王の祝福、神々の祝福、龍王の祝福、ゲームマスター


名前 :プリムローズ

レベル:975

年齢 :16

性別 :女

スキル:剣術、怪力、縮地、全魔法、状態異常無効

    神々の祝福、龍王の祝福、ゲームマスター


「ぷ、プリムに負けた」

「ふふふふふ、レベル上げは我を裏切らないのじゃー!!」


とうとうプリムにレベルを追い抜かされたりした。でも日常的に勝ったり負けたり、対人戦の訓練として対戦していたからプリムのことは誇らしく。少し悔しさもあったが長続きはしなかった。


プリムの言う通りレベル上げは自分を裏切らない、そして一緒にできる仲間がいると二倍以上に楽しいと知った。

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