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18 闘技場


「レイ、あれは何かの?」

「俺も初めて見るが、恐らく闘技場ではないだろうか」


ベルヴァ王国の都は大勢の人々でごったがえしていた、その多くは獣人族だ。彼らの話している声を聞いてみるとあの大きく丸い建物は闘技場のようだ。時々、対戦相手の賭けにのらないかと大声をあげて歩いている者がいる。


「レイが出ればきっと優勝だのう」

「いや、世間にはどんな強い奴がいるか分からんぞ」


「レイは謙虚だの」

「慎重だと言って欲しい」


とりあえず、今夜の宿屋を探してみつけた。また一人部屋にベッドが一つだったが、今度は兵士が乱入して来ないだろうな。


ついでにもう二度とくることがなさそうなので、プリムと一緒に闘技場を見学してみた。そこでは獣人同士が激しい戦いをしていた、つい癖でこう動くかとかああ動けばいいのになどと考えながら真剣に観戦してしまった。


「レイも出てみると良い」

「俺がか?」


「ここ数日の扱い、頭にきているであろう」

「まぁ、楽しい国ではなかったが」


「どうせもうこの国には来ないのじゃ、遠慮することもない」

「それも、そうか」


実は駅馬車や宿屋などあちこちで小さいが差別的発言が積み重なっており、俺も結構怒りがたまっていたのだ。どうせもう二度と来ることも無い国だ、少しくらいはめを外してもいいだろう。


「明日の闘技場に選手として参加したい」

「おお、兄ちゃん。人間だな、人間はいつでも参加自由だ。参加料として金貨5枚頂くぜ、それじゃこの参加証を持って帰りな」

「ふふふふふ、明日の試合が楽しみよのう」


翌日、闘技場に行ってみるとプリムも一緒に選手の部屋に通された。プリムは俺の付き添いという形らしい。ちなみにこの闘技場では魔法は使用禁止だ。


「特等席での見物じゃ、楽しみで堪らんわ」

「ああ、もういい加減に頭にきたからな。誰であろうとぶっ飛ばす」


最初は参加する人間が全て集まっての勝ち抜き戦だった。ルールは簡単で相手が負傷し戦えなくなるか、負けを認めるか、リングとされる一段高いところから落とせば勝ちとされていた。


初戦は六十名ほどかいろんな人間がいたが、基本は逃げに徹して最後の一人をリングから軽く蹴り落として勝利した。客席からは面白くなかったのだろう、野次などが飛んでいたが無視した。


「ああ、レイが怒るのは珍しい。本気で戦うのもな、これは楽しみよ」


プリムが応援だろう、手を振って笑っているので俺も少し癒された。さて、獣人族には少々痛いめに遭って貰おうか。


最初のゴリラの獣人は捕まると面倒そうだったので、その両手をかいくぐって素早く下段蹴りで両足を砕いてやった。もう動けないので勝利となった。


次は毒持ちのトカゲの獣人だったが、毒にさえ気をつければ腹を殴り飛ばして意識をとばしてやるのは簡単だった。


ワニの獣人はその顎で噛み付かれたら厄介だろうが、速さは無く背中から持ち上げて地面に叩きつけた。相手が負けを認めて勝利した。


虎の獣人は威勢よくいきなり突っ込んできたが、俺からすればまだまだ遅い。攻撃してくるのを避けて、走ってきた勢いを利用してそのまま場外に蹴り出した。


獅子の獣人は用心深くこちらの出方を伺っていた。こっちから近づいて相手が反応できないうちに、その顔を思いっきり殴り飛ばしてやったらふらついて倒れて起きなかった。


牛の獣人は角の攻撃が厄介だったが、リングのギリギリできた攻撃を避けてやったら自分から場外へ落ちていった。


熊の獣人は速さもあり力も強かった、こちらから疾走して勢いをつけ頭を下から殴り上げた。そして、脳が揺らされふらついているうちに場外へ蹴り飛ばした。


カバの獣人はその顎の力は脅威的だったが、両足を蹴り飛ばして骨折させた後にその体をかかえて場外へ放りなげた。


サイの獣人は角と素早い突進が少し怖かったが、腕を引っ張って引き倒して蹴りをいれてやったら肋骨が折れたようだった。相手がそれで負けを認めたので勝利となった。


そうやって次々と獣人たちを片付けていったら、闘技場はだんだんと静かになっていった。最後のサイを倒したあたりではもう誰も喋ったりしていなかった。


「やったぞ、レイ。賭けに勝ったぞ、今夜はごちそうじゃ」

「……プリム、しっかり俺に賭けてたのか」


結局、選手の付き添いの者は賭けに参加できないということでプリムの賭けは無効になった。もし、無効にならなかったら俺たちは今頃は大金持ちだった。


「まぁ、賭けは残念じゃが、これで獣人どもも少しは人間の怖さがわかったじゃろ」

「そうだな、それにいろんな獣人と戦えていい経験になった」


「レベルも上がったのではないのか?」

「……実は結構上がっている」


俺はギルドカードを取り出してその情報を確認した後に、プリムにも見せておいた。今回のことは良い経験になった、最初は単純なこの国への不満からの出場だったが今では感謝したいくらいだ。


名前 :レイ

レベル:168

年齢 :22

性別 :男

スキル:剣術、怪力、魔法剣、全魔法、獣の目、毒無効、気絶無効、麻痺無効

    石化無効、睡眠無効、即死無効、魔王の祝福、神々の祝福、龍王の祝福


賞金として金貨100枚貰えるらしいし、この闘技場で得たものは大きかった。戦い終えた俺たちに身なりのよい貴族と兵士たちから伝言があった。どうやら闘技場で活躍した俺たちは城に行く必要があり、そこで優勝賞金が貰えるそうだ。


仕方がないので兵士に従って城に行くと、思わぬ人物がそこで俺を待っていた。


「兄さん、優勝おめでとう。さすがは俺の兄さんだ」

ルール説明が抜けていたので追加しました、ご指摘ありがとうございました。

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