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16 人狼族



人狼の集落まできた俺がどうやって中の様子を探ろうかと考えていると、いきなり集落にあった家の一つで爆発が起きた。


「我はレイのところに帰る!!ええい、そこをどきや!!」


その爆発の中から出てきたのはプリムだ、良かったどこにも怪我などはしてなさそうだ。俺はプリムに向かって声をかける。


「プリム、無事か!!迎えに来たぞ!!」

「レイ!!」


俺の方からプリムの方に走りよって抱きしめた。うん、やっぱりどこにも怪我などない。何の目的の誘拐だったか知らないが、危害は加えられないで済んだようだ。


「ようよう、人間の兄ちゃんよぉ。俺らの女を渡して貰おうか」

「今なら怪我もしないで帰れるぜ」

「どうせ獣人なんて、人間さまからしたら奴隷みたいなもんだろ」

「返してくれよ、貴重な女なんだから」

「そうそう、人間のあんたよりよっぽど大事にするぜ。同族だからな」


爆発に気づいた人狼たちが集まって来て口々に勝手なことを言う、俺はその奴らが話す内容に怒りがたまってきて叫んだ。


「ふっざけんな、人の大事なもんを勝手に持っていくんじゃねえよ。てめえらなんかにプリムを渡すもんか」


俺の本能的な叫びに、プリムはニヤリと笑って頷いた。


「うむ!!さすがじゃ、レイ!!」


そこからは大混戦だった、プリムを攫おうとする人狼の男を遠慮なく俺は蹴り飛ばした。また成長して今の俺のレベルは151だ、蹴り飛ばされた人狼は血を吐いてその場で動かなくなった。


次々と襲い掛かってくる人狼たちを腕の骨を折り、顔面を強打し、両足を潰して、とにかく重傷を負わせて行動不能にしていった。


最後には逃げ出した奴もいたが、プリムを攫われて頭にきていた俺に捕まった。そいつの腕をつかんで振り回し、近くの木に叩きつけた。


全ての襲い掛かってきた人狼を行動不能にした後、パチパチパチパチとどこかから拍手の音が響いてきた。


「なんと強いお客人よ、そやつらの無礼を許されよ。できれば今後このようなことがないように、お客人には説明をしておきたいところです。いかがですか?」


拍手したのは全て女性の人狼たちだった。殺気もないし、言っていることの内容が気になったのでプリムと話をしてみる。


「プリムどうする、俺は彼女たちの話を聞いてみたい」

「うむ、殺気もないようだしのう。話だけなら聞いてみるか」


俺たちは同意し、彼女たちの住んでいる家の一つに案内された。中はごく普通の民家で、出されたお茶も普通の味がした。


「さて、どこから話そうか?まず人狼族は女性優位の種族です、結婚という制度がなく女性は好きな時に好きな相手を選ぶことが出来ます。もっとも、最近は同じ相手を選ぶ傾向が強くて、女性に相手にされない者が多くいるのです」

「さっきの奴らみたいにか?」

「迷惑な奴らよのう」


女性は頷いてお茶を飲むとまた話を続けた。


「それで女性に相手にされなかった者の一人がそちらのお嬢さん、はぐれ人狼を見つけてしまいました。あくまでも保護という名目でこの集落に連れ帰ってきたのですが、本音を言えば交尾をしてくれる女性を一人でも増やしたかったのでしょう」

「おい、あいつらを去勢してきてもいいか?」

「ふむ、去勢とはなにかのう」


女性は苦笑いをしながら、俺の提案には首を横に振った。残念だ、同意してくれたらあの男たち全員地獄に叩き落としてやったのに。


「そちらのプリムというお嬢さんがどうしてはぐれ人狼をしているかは知りません、ですがはぐれ者は狙われやすいもの。特に人狼族では女性が少ないですから、今後余計な誤解をまねきたくなければマーキングをしっかりとしておくとよいでしょう」

「マーキング?」

「うむ、良いことを聞いた」


俺には分からない単語があったので、今度はプリムにその意味を聞いてみた。プリムは淡々と当たり前のように説明してくれた。


「マーキングとは何だ?」

「ほら犬などがする匂いつけのことじゃ、要は強いオスであるレイの匂いを我につけておけばいいのじゃ」


「具体的にはどうすればいいんだ」

「今までのように一緒に寝たり、なるべく離れんようにしておけばよい」


そうか、別に今までと何も変わらないな。俺は納得して夜はしっかりとプリムを抱き枕にしておこうと思った。そうか、やたらとプリムが俺と一緒に寝たがるのにはそういう理由もあったんだな。


「夜道は危ないですから、今日はこの家にお泊りください。仲間が迷惑をかけて本当に申し訳ないです」

「分かった、泊まらせてもらおう」

「早速、マーキングするのじゃ」


その日の夜はプリムと一緒に人狼族の家に泊めて貰った、同じベッドで念の為に剣を手元に置いて寝た。翌日、男の人狼族にあったが、もう何もしてこなかった。人狼族は強い者に従う傾向があるから、もう俺にはむかったりはしないらしい。


人狼族と戦ったことでまたギルドカードが変化していた。


名前 :レイ

レベル:157

年齢 :22

性別 :男

スキル:剣術、怪力、魔法剣、全魔法、獣の目、毒無効、気絶無効、麻痺無効

    石化無効、睡眠無効、即死無効、魔王の祝福、神々の祝福、龍王の祝福


獣の目とは夜目が利くようになるスキルらしい、地味に嬉しいスキルだった。あちこちに傷を負った男とそれを笑いながら見ている女の人狼に見送られて俺たちは人狼族の集落をあとにした。

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