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12 到達者


「俺は何も依頼を受けてないし、ギルドマスターに呼び出される覚えはないんだけど」

「ギルドカードのことで用があるそうです、この呼び出しに拒否は認められません」


ううぅ、ギルドカード。俺のおかしなスキルや尋常でないレベルがバレてしまう、でもこの呼び出しを拒否して冒険者ギルドを追い出されても少し困る。


「わかった、行こう」

「うむ、我がついておるぞ。レイ」


そういって新品の防具に身を包み、優しく手を握ってくれるプリムが優しい。俺はおもわずその頭をなでなでしておいた、プリムもわかり辛いがにこにこと微笑んでいる


「わしがギルドマスターじゃ、最近他人のカードを不正使用する者がいての。ギルドカードを提示しない者を取り調べることになっておる、まずはおぬしのカードを見せてみい」

「………………これです」


現在の俺のギルドカードはこうなっている。


名前 :レイ

レベル:148

年齢 :22

性別 :男

スキル:剣術、怪力、魔法剣、全魔法、毒無効、気絶無効、麻痺無効、石化無効

    睡眠無効、即死無効、魔王の祝福、神々の祝福


「こ、これは!?え、ええとそれでは本人確認の為に血を一滴カードに垂らしてくれ」

「………………はい、どうぞ」


ギルドカードは過去に失われた技術の塊、アーティファクトの一つである。血を一滴垂らすことでその人物の情報を表示してくれるのだ、もし他人から奪ってもこうして血を一滴垂らしてみればカードはその盗んだ人物の情報しか示さない。


俺は自分のカードに血を一滴垂らしてみたが、もちろんカードの情報が変わることはなかった。


「はー、もう十年ギルドマスターをやっているが、到達者の上を見たのは初めてのこと。お主はその年で一体どういう修行をしたのか。ああ、もちろんカードの情報はわし以外には洩らさんから安心してくれ」

「到達者とは?」


「それはな、到達者とはレベルが99になった者のことだ。国の中に数人そのような者がいると教えておこう。普通はそれ以上の成長は見られない、お主に限ってどうしてその枠が外れているのかは分からんな」

「この二つのスキルを見たことは?」


俺はスキルの中の魔王の祝福と神々の祝福を指さしてみせた、ギルドマスターはその二つを見たが特に驚くこともなかった。


「神の祝福や神々の祝福は時々見かけるの、このスキルがあるとレベルが上がりやすくなるという。まぁ、神様のお気に入りへのえこひいきというわけだ。魔王の祝福というのは初めて見たが、恐らく効果は似たようなものだろう」

「……それじゃ、俺はもう帰っていいですかね」


「うーん、一つ頼みがあるな。実は北のバイトラーク山でドラゴンが棲みついてしまったという情報がある。複数のチームで現場に向かわせたんだが、全員帰っては来なかった。そこを調べてもらえると助かる」

「報酬は?」


「ギルドカードを特別なものに交換しよう、表に名前だけが裏には全情報が表示されるタイプだ。これは数が少ないが間違いなく本物のギルドカードだ、買い取りとかでこれでギルドカードが使えるようになるんじゃないか?」

「調査だけですね、討伐じゃないんですね」


「いくら到達者を越えた者と言っても、一人でドラゴンと戦え何て無茶は言わんわい」

「………………調査だけだったら、お引き受けします。要はドラゴンがそこに生息しているのかどうか、どの程度まで近づいて平気か調べればいいんでしょう?」


「そのとおりだ」

「それじゃ、必要な物としてまず地図を……」


こうして俺はバイトラーク山のドラゴンの生息域を調べることになった、地図などを用意して貰って準備は万端だ。あとは出掛けるだけになったのだが。


「我も、我も、行くぞ~~!!」

「今回はダメ!!プリムは宿屋でお留守番していなさいー!!」


ドラゴンは強敵である、戦うことが目的でないにしろできればプリムを連れて行きたくない。だが、この子は頑固な子だった。


「我を連れて行かなんだら、この国を破壊して探し回ってやるぞ!!」

「なにそれ怖い!?」


結局、プリムも連れて行くことになった。いざとなったら全力でプリムを逃がすつもりでいるが、そうなっても言うことを聞かないような気がしている。


「今回の依頼は根気がいるからな、遅れるようなら置いていくぞ」

「我は頑張るのじゃ!!」


そうして俺たちはバイトラーク山の麓へと辿り着いた、あとは山道を登りながらドラゴンにどこまで近づいていいか調べていくだけである。


少し歩いては地図に印をつけ、また少し歩いては地図に情報を書き込む。本当に地道な作業だ、プリムの足にあわせて気配は消しながら散歩でもするように山道を進んだ。


「このあたりまでが限界だな、ドラゴンの気配が変わった」

「警戒といった雰囲気じゃ、我もここまでで良いと思う」


俺とプリムは頷いて、そろりそろりと山を下り始めた。ドラゴンの気配はどんどん遠ざかっていった、ほとんど山の麓について安心したとたん。


ギャアオオオオオオオオォォォォォォォォン!!


「なんでだよ!?」

「レイ、来るぞ!!」


ドラゴンが物凄い勢いで俺たちめがけて急降下してくるのが見えた、俺は咄嗟に五重の結界を張った!!一足遅くプリムも俺の真似をして結界を張るのが分かった!!

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