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走って吠えろ 41

 ホメタはレイナを守ろうと片手で抱き締めた。


『……お兄ちゃん!手!っ手!!』


「な?!なんだよぅ?」


 咄嗟の事ながらホメタは、妹の片乳を掴んでいた。別に揉んではいない!ギュッと抱き締めていた。その事で、ホメタは「ハッ!ごめん。お前の初めて貰ってしまった。」と言うのを聞かされるレイナ以上に怒り狂っていた奴がいた。


『お前が!お前は触るなぁ!僕の!僕のモノだぞ!』


「え!?お前達、そういう関係だったの??……レイナは大事な妹だ!お前なんかにやるか!バーカ!!」


 その後、ホメタの自慢の話が続く!題して【テメェより俺の方がレイナを知ってんだよバカヤロウ!】

 簡単に言うと①レイナと手を繋いだことがある②レイナの初風呂は男湯③レイナの背中等洗ったことがある④レイナの服を洗濯したことがある⑤レイナの初舞台チケット全財産つぎ込んだことがある……いわゆる投資⑥レイナとおままごとしたことがある⑦おままごとでは竜役!⑧……続いた。


「まだあるぞ!あれは、再びレイナの乳を触ろうとした爺が触ろうとしたとき!爺にツインスラッシュをかましてやったぜ!」

「それとな……」


『お兄ちゃん!そんな昔のこと言って、ド変態になって行かなくていいから!』


 そんな、似ても似つかないレイナを見て勇者アザゼルの魂が揺れる。


『……徳川一華とくのがわいちか……徳川家長女である。徳川家には、二人の子供がいる。長女一華と長男吉宗……吉宗は一華の弟である。』

『そうだろ??』


『!!』


『お姉ちゃん帰ろうよ。俺さ!お姉ちゃんが飛行機で死ぬ前に帰れる事が出来るんだよ!?だから一緒に帰ろうよ。』


 勇者御一行は勿論の事、ホメタも意味が分からなかった。だけど、レイナの様子や焦りかたがホメタにある一筋の光を見出だす。

 そして、ホメタは確認の為に言う。


『あらぁ、もしかしてキレイナ様の魂を持って帰る事を言っているのぉ?それ、普通にダメだから。』


 ホメタが言う前に、エデンが話す。それで終わりではなく、エデンの話は続いた。


『考えてみなさい!キレイナ様の魂を持って帰ったら、元々のアナタの御姉様は生きているのでしょう?だったら、持ち帰る意味が無いでしょ?』


(あー。段々、話が分かって来たぞ!)

「そうだぞ!いくらウチの妹が格好が良いからって、パイロットに復帰させる……パイロットの制服似合いそうだ。」

(キリッ!としてて、足はスッとしてて女性なのに男性役!……出来る!そして売れる!!)


 エデンの言葉を聞いた勇者は黙っていた。そして、それでも!それでも言いたかったのであろう!そういう感じで発言しようとした時


『なっ!?これは、召喚魔法……俺の望みは終わってしまったのか。御主人様……』


 勇者が強制召喚されていた。足下には、召喚陣が浮かび上がり勇者の足はズブズブと陣に沈んでいく。そんな、沈んでいく勇者の手を止めたのはレイナだった。

 レイナは、沈んで行く勇者の手を取り


『吉宗なの?……私はもう死んだの!そして、ここで新しい命として生まれたの!仕事にプライドとか長女だからって皆の為に一歩前進しなくても良い世界に私は生まれたかった。だから、私は日本に……徳川とくのがわ家には戻りたくないの!!』


 レイナは、勇者を引っ張り出そうと懸命に頑張る。ホメタは、どうしたら正解なのか分からなかった。しかし、そんなホメタに救い?なのか分からないが妹の『お兄ちゃん!手伝って!』という言葉に反応する。

 そんなこんなで、レイナ達は召喚妨害に成功する。ぶっちゃけ、ほとんどエデンが召喚魔法の妨害をしでかしたのだが。なので今は、エデンが絶賛の嵐である。


 今ホメタの目の前には、レイナと勇者が抱き合っている。


『お姉ちゃん!今まで黙ってて、ごめんよぉ。』


 そこには、激優しいレイナがいた。ホメタも見たことの無い、優しい笑顔である。その笑顔は、男子が見たらイチコロだと思ったホメタだった。

 ホメタは、そんな姉弟きょうだい愛を見続けることは出来なかった。そしてホメタは、その場所をこっそり出ていった。


……

「エデン!俺!走ってくる!」


『ん?……はい。どうぞ。』


 真っ昼間からホメタは走る。全力疾走で走る。全てレイナの為に!妹の為にやって来たホメタ!と思っているホメタ。

 ホメタはレイナへの関与は、あの小さかった3才までのレイナだけだった。それから、あんなにも大きくなって勇者と旅をしていたのを見つける。あの頃の3歳のレイナと、恐らく今は15歳になっているレイナとは全く違うのに!レイナは、俺の事を[お兄ちゃんと呼ぶ]それって、思えば思うほど[兄ってなんだ!?]って思って来ちゃうんだ!


 ホメタはやりきれない気持ちになってしまった。お兄ちゃんなのに、お兄ちゃんが負けを宣言してしまった様な思いになってしまったことが!ホメタは、情けなくて仕方がなかった。

 今後、ホメタが[お兄ちゃんって奴は常に一歩先を行ってる心情]が発揮出来ないかも知れないと!


 ホメタは、走る!……叫びながら走る!涙を流し情けなく走る。

……

 もう、夕方になっていた。


(あー。……走って走って走りまくったったわ。途中から涙も叫び声も無くなって、ただ単に全力で走る!になってたなぁ。……で、レイナとどうやって顔を会わそうか。)

(レイナは、出来るお姉ちゃんか……うん!レイナは俺より物知りで才能にあふれる子だな。)


 その後、どう考えても【レイナは凄い長女!】ってなって行った。そして、兄でありながらホメタは最低な兄だなと思い込んでいると……再び涙が!悪循環開始です。

 そんな、涙を流していると空から竜が降ってきた。


『ホメタ!……街の冒険者の話だと涙を流して走っていると聞いたけど、もう止まっているの?』


 竜はフワッと舞い降りる。ホメタは、「んじゃゴラァ(何じゃこらぁ)」という感じで竜を見るとそこにはレイナが乗っていた。

 それに気付いたホメタは、地面に顔を付けて両腕の甲でデコを支える。形としては、だーるまさんがこーろんだ!のだーるまさんが……のポーズだ。


「今さっき止まったとこだよ。今日は、顔を地面に付けて寝たい気分なんだよ。」


(……拗ねているわね。まあ、気持ちが分からなくも無いけど。)

(というか、ほんの数百メートル先にエデンさん達が隠れているけど気付かないのかしら。)

『久し振りに、お兄ちゃんと一緒に寝ようかな』


 その言葉に、ビクッ!っと反応してしまうホメタ。ホメタは分かっていた「これは、罠だな!なら食らえ!」と心の中で言うと


「ブ!ビビィ!」


 屁が出る。

 そんな、おならを見てレイナは話出した。


『私が小さかった頃、お兄ちゃんは既にクラウンの仕事が出来ないでいたよね?その頃かな?ガガンボさんの給金が減り出したのは。』

『あれは、ガガンボさんが御風呂に入るお金が無くてガガンボさんが水タオルで体を拭いていた時、仲間から臭い!と言われ咄嗟にお兄ちゃんおならをしたよね。』

『あれ、本当に女子だったらお兄ちゃんは本物の貴公子よ!』

『お兄ちゃん!!お兄ちゃんは、立派な貴公子なの!女子の味方よ。だから、立ち直って!戻って来てよ。私のお兄ちゃんなんでしょ?』


 ホメタは、涙を流しながら「そうだな!お兄ちゃんだもんな!お兄ちゃん頑張る。」といって起き上がった。


「よし!レイナ寝るか。」


『え?』


「寝るんじゃないの??」

「大丈夫だ!30の騎士団を呼んで周りに寝かすから、寒さは凌げるぞ。俺は、寒いのはへっちゃらだしな。エデンの体も近くにいるだけでなぜか温いし!なんとかなるよ。」


 そうして、直ぐに現れた騎士団達を見てレイナは断ることすら出来ず、初の野性味あふれる野宿をするのだった。

 







 



こんばんは。明日も、この時間帯に投稿します。もしかしたらこの時間帯より遅くなるかもしれませんがよろしくです。

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