メル友
ベタな設定シリーズです。
「どう?進展してる?」
休み時間、携帯を眺めていると隣の席の小池がにやにやと聞いてきた
「あぁ、まぁね」
俺は手塚茂高校二年、彼女居ない歴=年齢
俺はこの間隣の席の小池に女の子を紹介してもらった
「恵子は奥手だからあんたから沢山送ってあげなよ」
「わ…わかってるよ」
穂積恵子
紹介してもらったはいいが彼女は学校が遠く恥ずかしがりやらしい、会うどころか声も聞いた事が無い
メールからと言う事でさっき送ったメールの返事待ちをしている訳だ
「写メとか無いのかよ?」
本人にも頼んだが恥ずかしいからと拒否された
「もっと仲良くなってからだって言われてるからダメ」
写メは確かに見たいが実を言うとメールからと言うのは俺も助かっている
口下手だし目付きが悪い為敬遠されてしまい、まともに女の子と仲良くなった事が無い、唯一仲がいいのは小池だけ
女っ気が無い俺はこの出会いを大事にしたいと思っていた
その日の夜
俺はいつも通り恵子とメールで盛り上がっていた
しかし今日は何やら雲行があやしい…
FROM 穂積恵子
[ 茂君は学校に気になる人は居ないの? ]
うわぁ…ずいぶん突っ込んだ事聞いてくるなぁ…
TO 手塚茂
[ 居たけど無理だったんだ ]
一応本当の事だ
FROM 穂積恵子
[ どうして無理だったの? ]
……………
TO 手塚茂
[ 好きな人が居るらしい、諦めたんだ ]
これも本当
FROM 穂積恵子
[ どうして諦めちゃうの? ]
だって振られるのわかってるなら友達のままの方がいいじゃん
TO 手塚茂
[ その好きな奴がいい奴である事を祈る事しかできない ]
…………これは嘘だ
それを送信した後メールは反って来なかった
もう一度送ったが反って来ない…
呆れて寝てしまったのだろうか…
次の日の学校
「ふぁあ…」
「すごい欠伸…眠そうだね?」
結局遅くまでメールを待っていた俺は眠気を堪えるのに必死だった
ちなみに朝にまた送ったがやっぱり反って来ない
「いや…遅くまでメールしててあんまり寝てないんだ…」
「…………そう…なんだ…」
「でも怒らせちゃったみたいで返信が来ないんだ」
「へぇ〜…あらら〜だね」
そうだ…ちょっとずるいけど小池に訳を聞いてもらおう
「何か怒らせたなら謝りたいって言ってたって伝えてよ」
「えっ…うん………いいよ」
そして放課後
俺は眠すぎてHR終了と同時に爆睡していた
……ん……
気が付いたら6時過ぎ…
「やべっ…3時間も寝ちゃった…」
「おはよう…」
「えっ?」
こ…小池…
「手塚寝すぎだよ、待ちくたびれたし」
どうやら待っててくれたらしい…
「ごめん…ありがとう、でもどうして?」
「……はぁ……」
なんかおもいっきりため息された
「どうした?」
「諦めちゃうの?」
「えっ…」
これは…そうか…
「聞いてくれたのか?」
恵子に聞いたんだろう、もっとちゃんと答えろって事か?
「……はぁ…ダメか…しょうがない…」
またため息…小池も呆れてしまったか…
「いや…あの…」
「手塚茂、私はあんたが好きなの」
………………
「えっ?」
「だから私…手塚が好きなの………返事は?」
嘘…だって…
「だって小池…好きなヤツが居るって…」
「あんたの事だ!この鈍感!!」
マジ?小池真っ赤だ…
…嬉しい…
俺が好きだったのは小池だから
「お…俺も好きだよ…諦めようとしたけど…やっぱり好き…だ」
うお…顔が熱い、絶対俺も真っ赤だ
「………よし…立って?」
「お…おう」
立ち上がる、小池も立ち上がる
ぎゅ…
「えっ…こここ小池?」
抱きついてきた!身長差で小池が俺の胸に埋まる形だ
「不安にさせた罰だ…諦めるとか言うなヘタレ…」
「ご…ごめん…」
小池…泣いてるのかな…背中に手をそえる…回した手で軽く擦ってあげる
急展開に頭がついてこなかったが一つだけ気になった
「…恵子に謝らないと…」
いや感謝かな、こうなれたんだし
「あんたまだ気付いてないの?」
「えっ?何が?」
「……はぁ……私のフルネームは?」
本日三度目のため息…
「小池瑞穂だろ?」
「逆から読んで」
「えっ…ほ…ず…み…け…い…こ………あっ!」
「このバカ!ヘタレ!鈍感!」
散々言われる…でも抱きついたままだ
「手塚が私に気があるのバレバレだったから…好きな人居るって言ったのに…あんた『頑張れ』って言ったじゃん?」
バレバレだったのか…
「い…いや…まさか俺だとは…」
「でも頑張れは傷付いたよ、カマかけたつもりだったのに勘違いかもとか思ったもん……だから……恵子を…作ったの」
「……俺の気持ちを確かめたりしたって訳か…」
全然解らなかった…
「でも毎日メールしてて……居ないはずの穂積恵子に…嫉妬しちゃった…」
そう言ってまた抱きついてきた手に力を込めてきた
…………ごめん…
俺が鈍感でヘタレなせいで小池に全部やらせてしまった…
……………
俺も勇気を出してみよう…
沿えてるだけだった手に力を込める
「瑞穂」
「えっ……!」
見上げた小池の唇を塞ぐ
誰も居ない教室はもう真っ暗だ
後で携帯のアドレス…登録し直そう
読んで頂いてありがとうございました、途中で展開が読めてしまった人が多いと思います、ベタな設定シリーズはいずれ書きたい連載小説の練習に書いています、その為短い文章に内容を詰めるのですが自分の構成能力の無さを痛感します、連載に向けて頑張るので機会があればまたよろしくお願いします。