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異世界の有資格者  作者: ごまだんご
1章 ドラッグストアと街の騒動
7/16

7話 闇商人の契約者 2


 「龍斗さんは1番大切なものって何を持ってこられたんですか?」


 意外に会場から遠い別室に行く途中、エリカさんから投げ掛けられた質問にリュックの中をあさりながら思い出す。今日の講義の詳細が相談員(つまりエリカさん)から送られてきた際に最重要と示されていたのが【あなたの1番大切なものをご持参ください】というもの。


 「俺の大切なものはこれです。」


 龍斗が取り出したのはカードゲームのカードを収納するのに使う大きめのサイズのカードケースだ。


 それは?とエリカが聞くので蓋を開けるとクレジットカードのような厚めのカードギッシリはいっていた。


 「これは俺がいままで取得してきました資格の認定証です。」


 その数1682枚。その数にエリカの笑顔が固まる。


 「あれ~、龍斗さんの資格数って56個じゃありませんでしたっけ?」


 「情報局での取得数はそれくらいですかね。でもその前に取ったものや情報局を通さないで取ったものもあるんで。」


 龍斗は事も無げに言っているが、若干25歳で1682個もの資格を取っているのは異常だ。エリカが紹介して獲得した資格も数ヶ月かかるものもざらである。


 (これは予定外ですね。)


 このあとの計画にどう影響があるのか、笑顔が真顔になったエリカの頭の中は高速回転していた。





 急に黙ってしまったエリカの態度を不思議に思いながらもカードケースを大事にしまう。


 そうこうしているうちに二人は目的の部屋に着いた。


 そこは広めの会議室のように長机や椅子が多数ある部屋で先客として二人の人物、さっきからよく見かける金持ち高校生と褐色メイドさんがいた。高校生の方は俺達をちらりと一瞥するとすぐに興味もなかったというように目線を外してしまった。まぁイケメンの顔なんて見たくないんだけどな。


 「初めまして、神高龍斗さんですね?」


 「うおっ!?」


 いきなり目の前に現れたのは麗しの褐色メイドさん。細渕の眼鏡をかけた知的な美貌と淑やかなメイド服とのギャップが堪らない。


 「は、はい、神高です。メイドさんいつの間に目の前に?」


 「メイドに不可能はございません。」


 いやいや、さっきまであの高校生の隣にいたじゃん。瞬間移動かよ。って思っていたら褐色メイドさんは観察するような視線でこちらを見ている。その瞳は美しくも氷のように冷たく感じる。まるで一切の感情が彼女には存在しないようだと。そんな瞳で見つめられると・・・ちょっと気持ちいい(照)


 「アビス=ゲーティアと申します。以後お見知りおきを。」


 ペコっと綺麗なお辞儀を残しアビスさんは高校生の方に戻っていった。おしい、もう少しで新たな趣味に目覚めそうだったのに。


 「はいはーい、みなさんご注目くださーい。」


 パンパンと手を鳴らしたエリカさんの方に室内の全員の視線が向く。


 「はい、それでは特別講義の皆様にはこれから異世界に転移していただきますよ~。」


 ・・・????????は!?


 「じゃあ、転移5秒前でーす。」


 そう言うなりエリカさんの周りには、まるで魔方陣のような光の模様が輝きだした。


 「いや、ちょいと待って!誰か説明を。」


 【4~】


 「アビスさん、これはいったい!?」


 アビスさんは目を瞑って落ち着いているように見えるが答えてくれる気はないようだ。


 【3~】


 「こ、高校生君何か知ってる?」


 椅子に座っている高校生君もアビスさんと同じように自然体で事情を知っているようなのだが・・・。


 【2~】


 「騒ぐな、鬱陶しい。」


 バッサリ切られた。高校生に怒られるとは(泣)


 【1~】


 くっ、こいつらは使えない。なに?俺だけが何も理解していないってズルくねぇ!?


 こうなったら仕方ない、1番怪しくて関わりたくもないが・・・


 「エリカさん!せつめ」


 「ゼロ~」


 その瞬間、魔方陣の光が爆発的に広がり部屋全体を真っ白に染め上げた。


 




 少しの時間が経過して、光の輝きが収まってきた。


 現在、部屋にいるのはエリカ一人。他の3人の姿は影も形も存在しない。


 エリカは窓を開けて快晴の空を見上げる。


 「・・・ごめんね、龍斗さん。」


 その瞳は空よりもはるか先を見ているようであった。




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