6話 闇商人の契約者 1
「やっと、俺の視点に戻ってきたー!」
嬉しさのあまり両手を挙げて\(^-^)/みたいな格好で俺はよろこびを表していた。
「ど、どうしたんですかご主人様!?」
ハンバーグを美味しそう頬張っていたバレッタは、突然の奇声&奇行にビックリして目をまるくしている。
「いや、すまない、驚かしちゃったね。」
ははは、と笑いながらバレッタの頭を撫でてやると、むふーっと気持ち良さそうに目を細める様子が可愛らしい。
すると、クイクイと袖を引っ張られる感触に隣を見ると、野菜ジュースをストローで飲んでいるレンが、その大きな瞳で上目使いで見ていた。
レンもやってほしいのかと思い、バレッタよりも多少強めにグシグシと撫でてやると恥ずかしそうにうつむいてしまう。しかし口元はにやけているので喜んでいるんだと思う。
食事を終えた俺たちは店までの道をのんびりと歩いていた。左右に幼女を侍らせて。
(最初はどうなる事かと心配したけど、こんな日々が送れるのはあの協会に感謝しないとなぁ。)
ちなみに幼女に好かれている事に感謝する訳じゃないぞ!俺はロリ魂じゃないからな!
【回想ターイム】
今から3ヶ月前に秋葉原で行われた【異世界冒険者1級】のガイダンス。参加者は多くて40人くらいの男女が会場に集合していた。
まぁ、資格の名前や会場の場所からもいかにもオタクって格好の小太りの男もいるし、バリバリの営業マンって感じのサラリーマンとかいろんな人達が参加しているみたいだった。
そんな中でも一番目立っていたのは、会場の最前列中央に陣取っている金髪・長身・イケメンのいかにも金持ちって感じの子ども。高校生ぐらいかな?なんで金持ちってわかったかはすぐそばにメイドさん(褐色肌にスレンダーな体とクールビューティーな美貌という俺のドストライクな女性。)が立っているからだ。
その高校生は入室してきた俺を一瞥すると、鼻にかけたような笑みを浮かべて興味ないとばかりに前に向き直った。失礼なやつだな。
あーゆー輩とは関わりあいたくもないので、後ろのほうの席に座っておく。
「神高龍斗さんですよね?」
もうすぐ開始の時間になるころに急に名前を呼ばれた俺はビックリして隣を見た。座っていたのは紺のスーツを着た可愛らしい女性。どっかで見たことがあるような?
「実際にお会いするのは初めてですね。私は【世界資格取得情報局 営業部所属 観音エリカ】。神高さんの専属相談員です。」
エリカと名乗った女性は、パチリとウィンクをすると可愛らしい笑顔を見せてくる。そうか、エリカさんのことをどっかで見たことがあると思ったのは【異世界冒険者2級】の魔法使用のDVDに出ていた人だったんだ。
「エリカさんが相談員だったんですね、いつもお世話になっています。」
「いえいえ、神高さん程優秀な方は当協会でも初めてですから。こちらも名一杯サポートさせていただきますよ~。」
エリカさんに可愛らしい笑顔を向けられるとあまり女性に免疫の少ない俺はドキドキして顔が赤くなる。エリカさんはそれに気付いたふうもなく自然な笑顔を向けてくれるのが救いだ。
「実はですね、神高さん。今回の講義では何人かの特別な受講者には別室で特別講義を受けてもらうことになっていますので、神高さんも移動してもらってもいいですか?」
エリカさんに促されながら俺は荷物をまとめて席をたつと、最前列に座っていた金持ち高校生と褐色メイドさんもスタッフと思われる男性に案内されて退出していった。ざっと見た感じ他に別室に移動するような受講者はいないようだ。ほとんどの受講者は突然会場を出ていったいろんな意味で目立つ最前列の二人に注目されており、後の扉からそっと出ていった俺たちに向けられている視線はないなぁと自分の存在感の薄さを悲しみながら別室に移動した。
龍斗とエリカ、二人が出ていった扉を見ているものがいた。そのものは龍斗が会場に来てから常に龍斗を見ていた。他の受講者には一切の興味を持たず、ただただ龍斗を見つめていた。ではなぜ龍斗はその視線に気づかなかったのか?それは【彼女】が天才的なストーカーの常習[バキッ]グハッ!?
「ナレーションの分際で妾を愚弄するとはいい度胸じゃのう?貴様。」
ゴフッ、も、申し訳ございません。えー、改めまして、なぜ龍斗はその視線に気づかなかったのか?それは【彼女】がこの世界とは違う次元に存在する【女神 イレシェーラ】であり、その千里眼により次元を超えて龍斗を観察していたのである。・・・これでよろしいでしょうか?
「ふん、まったく。しかしあの男は面白い。」
おや?女神様はやはり彼に恋慕を?《ズドンッ》ハキュ!?
「ちゃうわ!!あいつに目をつけたエリカの選眼はさすがだと思っただけだ。」
確かに神高龍斗には神をも興味を持たせる素質が見栄隠れする異質な存在。そんな彼によってあの世界がどうゆう運命をたどるのか。全ては神のみぞ知るということか。
「何を終わらせようとしとるんだお前は。妾に対する無礼わ発言の数々、まだ躾は終わってないぞ(怒)」
え?いや、ちょ、待って、ギャーー!!