5話 いざ異世界へ
異世界編スタートは前話から3ヶ月くらいたっています。
Side バレッタ
「いらっしゃいませ。本日はどういったご用でしょうか?」
私はバレッタ・モイスト、10才!。このお店【憩いの家】で住み込みで働いています。元々は孤児院に住んでいたんだけど2ヶ月前にこの店の店主のお兄さんにスカウトされました。
「はい、お腹のお薬と石鹸ですね。すぐご用意致します。」
お仕事は、お客様のご案内と商品を倉庫から持ってくることです。
「あっ、石鹸の在庫が棚の一番上にある。仕方ないなぁ。」
私は下半身を渦巻き状にすると、ピョンっとバネの用量で飛び上がり見事石鹸をゲットしました。
「はい、じゃあ商品はこちらになりますね。レンちゃん、お会計お願いします。」
持ってきた商品をカウンターに置いて、一緒に働いている相方のレンちゃんを呼びます。
「・・・1450ウィルです。」
レンちゃんは片眼で商品を見るとすぐに合計金額を言えます。とっても頭がいいお友達です。
「どうもありがとう。店主にも宜しくお伝え下さい。」
お客様のお婆さんはペコリとお辞儀をしてくれます。
このお店で働くまでは人間族の皆さんで私たちに話しかけてくれるのは孤児院の院長先生だけでした。いえ、無視をされるというよりも興味をもたれなかったというほうが正しいかもしれませ
「バレッタ、レン。そろそろ休憩にしようか?」
「あっ、はい、ご主人様!」
「・・・お腹減りました。」
店の奥から出てきたのは龍斗店長です。この店の店主さんで、私たちを孤児院かえあ引き取ってくれた恩人でもあります。ご主人様は【登録販売者】っていうとても珍しい資格を持っていて、お店のお薬は全部ご主人様が調合してくれたものなの。とってもすごいお方なんです。
「【ミチェ】でいいかな?いつも同じになっちゃうけど。」
「もちろんです。ご主人様と一緒でしたら何処でも高級レストランです。」
「レンもー。」
するとレンはご主人様の腰辺りにぴとっと抱き付きました。そしてその大きな片眼の瞳でご主人様を上目遣いで見ると、頭をナデナデしてもらっています。あーいいなぁ。
しかし、さすがはご主人様。私の気持ちを看破し、おいでと手招きをしてくれます。レンとは反対の腰にダイブして下半身をご主人様の脚に巻き付けます。絶対離れません。
その後、私たちはご主人様にしがみついた格好で近所のご飯処ミチェに向かいました。
え?さっきから所々に変な表現があるだろってことですか?。いえ、なにも変な所はありませんよ?。だって私とレンは人間じゃありませんもん。
私達は魔族。【魔眼族】のレンと、【神蛇族】のバレッタなのですから。・・・うふふ。