3話 異世界冒険者 3級
なかなか異世界いけないです(泣)
翌日、朝一で異世界冒険者3級と2級のテキストが届いた。
テキスト自体は4級と同じでラノベタイプの小冊子になっているが、3級には広辞苑クラスの大きな図鑑が付属されていて、2級にはDVDが4枚入っていた。
相変わらず届くのが速すぎだろとツッコミつつ、とりあえずは3級からだろうとテキストを読んでみると、3級の内容は、武器や防具、アクセサリーの効果やモンスターの情報、ワールドマップといえるような世界地図に薬草や鉱石の分布図などがテキストの解説と、図鑑でのカラーイラストで説明されている。実に分かりやすい。
4級が設定資料集で、3級が攻略チャートを削除した攻略本みたいな内容のテキストに、「これって異世界冒険者っていうなんかのゲームのファン資格なんじゃないのか?」とも考えたのだけれども、ネットで検索をかけても出てくるのはファンタジーもののラノベや投稿小説などで当てはまるものはなく、友人のゲーム雑誌編集者に問い合わせても聞いたこともないとの事だった。
疑問をもちつつも基本的に気分屋な俺は目の前の好奇心を優先して2級のテキストにも手を伸ばす。
その1章を見た瞬間に身体中に電流が走った。
[ファイアーボールの呪文と撃ち方]
マジ爆笑パート2。無理無理、笑うなってほうが無理だって。魔法って表現は分かるよ、異世界ファンタジーなら鉄板だろうし4級、3級に出てこなかったのが不思議なくらいだけどさ。呪文って(笑)。
やっと笑いが治まってくると「そういえば付属にDVDがついてきてたよなぁ」と思い出した。テキストの一文だけで俺の腹筋を崩壊させるんだからこいつの内容もかなりのものだろうと思いデッキに入れて再生してみる。
♪~~ ♪~♪
暫くするとメロディが流れてきて、1人の女性が映る。って、このメロディはセーラー○ーンのムーンライ○伝説かよ、どうゆう選曲だよ。
「はぁーい、テレビの前の受講生のみんな元気かなぁ?講師のエリカお姉さんですよぉ。」
画面に映ったのは20台後半くらいのスタイルの良い女性だった。そこらのグラビアアイドルよりも見栄えする。
「じゃあ、早速だけどテキストの1章を開いてね。赤属性の初級魔法、ファイアーボールの呪文が載ってるよね。まずは実際にどうゆう風に使うのかやって見せてあげるよ♪」
歌のお姉さんのようなふんわかした声でそう言うと、映像の中の部屋が明るくなる。意外と広い部屋で体育館くらいの大きさはありそうだ。すると、お姉さんから10メートルくらい離れたところに人間大の藁人形がいつの間にか立っていた。
「じゃあ、いきますね。よく見ていてくださいね。」
お姉さんは目を瞑り、手のひらを藁人形に向け、集中力を高めるような感じになる。
「赤の理よ、精霊の導きにより顕現せよ!ファイアーボール!!」
中二くさい呪文は置いておいて、驚くべきことに藁人形に向けられているお姉さんの手のひらにバレーボールサイズのまさしく火球と呼べる物体が出現した。次の瞬間にはその火球は一直線に藁人形へと向かい、当たり、爆ぜた。藁人形が・・・
火球に木っ端微塵にされた藁人形は吹っ飛ばされたパーツも全て燃え上がっており、あとには炭になった燃えかすのみが残った。
「・・・・・CG?」