2話 異世界冒険者 4級
説明ばっかりですいません。
「なんじゃこりゃ?」
これを見てそう思うのは俺だけじゃないと思う。
【異世界冒険者4級】取得講座。今まで数多くのネタ資格を取得してきた俺でも、ここまで意味の分からない資格は初めてだ。
「しかもこれ公式資格なのかよ!」
公式資格とは、国が認めた資格のことで言うなれば履歴書に書く事ができるメリットがあるが、受講料がかかったり試験を受けるのに前提条件があったりと非公式に比べて取得が難しいものが多い。漢字検定や自動車免許なんかの事だ。
しかし、なんか惹かれるものがこの資格にはあるような気がする。異世界とか冒険者とかどっかのラノベのような話しだけれども、いままでも数多くのネタ資格を取得してきたんだし今さら感が強いんだろうか。
「試験は筆記のみのようだし、受講料もサイトの優良会員は免除になるらしいしとりあえず受けてみますかねぇ。」
カチリと受講希望ボタンをクリックして2時間後。
「神高さーん、郵便です。」
「速っ!?」
まさか2時間でテキストが送られてくるとは!なんて対応の速い良い企業なんだ。(この時点で怪しいのに全く気にしない楽天家な主人公に涙。)
「さてさて、どんな内容なのかねぇ。」
送られてきたテキストはラノベくらいの大きさで、外伝とか入って通常よりちょっとページ数が増えて厚くなったラノベくらいのページ数で、表紙には【異世界冒険者4級】のロゴと騎士のような格好をした女の子がポーズを決めている表紙絵がありって・・・
「これって、まんまラノベじゃん!?」
さすがにいぶかしげに思ったが、一度受講した資格には全力投球を信条とする神高龍斗は表紙を捲り内容へと目を向ける。中は意外とちゃんとした活字のテキストでこれなら大丈夫かなと思い、1章と書かれたページに行くと。
[1章 急に異世界に召喚された際の心構え。]
マジで爆笑!?ツボにハマってしまった俺は5分もの間笑い転げることになってしまった。
確かにいきなり異世界に行かされてテンパって右往左往するのは異世界もののテンプレみたいなものだけど心構えって(笑)
「なになに召喚された場所が城の場合、王女様に抱き付いてはいけません。不敬罪で死罪になります。ってどうゆう状況になったらいきなり抱き付くねん。」
なんかツッコミばっかりしているが、その後も召喚士に詰め寄ってはいけませんとか、平原に召喚された場合は街道を見つけましょうなどと続いていき1章が終わった。
その後、2章王族、貴族との接し方。3章冒険者ギルドのメリットデメリット、4章お金の使い方、商売の基本などと読み進めていくと次第に気分がのってきた。お堅い勉強用テキストとしてみるとふざけた内容だが、ゲームの設定資料集としてみると、とても詳細に書かれている。
「おっ!やっぱりエルフやナーガなんかの他種族もいるんだ、いいねぇ。」
5章種族と関係では異世界ファンタジーのお約束であるエルフ等の人間族以外の種族の解説が載っている。
モンスター娘が三度の飯より大好きな俺のテンションは急上昇!そのまま一気にテキストを読破した。
「さて、やる気の残っているうちに試験受けちゃいますかねぇ。」
俺は、パソコンにスカイプに使うような卵形のカメラを装着し、ヘッドホンとマイクを装着する。カメラはルックアイビーという名前で管理会社が開発したもので自宅で筆記タイプの試験をするさいに不正をしていない証拠として使われる。360度を録画し、受験者の目線を分析してカンニング対策もしてくれるハイテク機械である。
「んじゃ、試験スタート!」
3時間後。
ネット経由で一狩り行っていると「ピロリーン」とパソコンにメールが受信された。「落ちます、あざっした。」と狩り仲間に断りを入れてから確認をすると、管理会社からのメールで【異世界冒険者4級】の合格通知だった。
そんなに早く合格が分かるものなのかと疑問もあるだろうが、管理会社を仲介しての筆記のみの試験なら遅くても半日以内に結果が分かる。技術や製品関係だと現物を郵送して評価を貰わないといけないので少しかかってしまうんだけどね。正式な書類や資格証明カード等は後日送られてくることになっている。
通知のメールにはさらに、【異世界冒険者3級】、【異世界冒険者2級】の案内と申し込みをお待ちしておりますとの文面が。
「こりゃ、一気に受けちゃいましょうかねぇ。」
俺は迷うことなく両方の受講希望ボタンをクリックした。