1話 木彫りの熊作成技師2級
初投稿になります。
よろしくお願いいたします。
「神高さーん、郵便です。ハンコをお願いします。」
「はいはいちょっと待ってくださいね。」
郵便配達員さんから荷物を引き取り早速開けてみる。
中に入っていたのは数枚の書類と一枚のカード。
「よし、今回も無事合格したぜ!」
よっしゃとガッツポーズをした俺は書類とカードに目を向ける。
書類には合格を祝う内容と北海道にある認定協会のハンコが押されており、カードの方にはでかでかと【木彫りの熊作成技師 2級】と書かれている。その下には【神高 龍斗】と俺の名前があり今日新しい資格を取得した証拠だ。
俺は書類は専用の棚に収納し、カードの方は専用ケースに大切にしまっておくと、キッチンでコーヒーをー入れ(砂糖とミルク入り。ブラックは飲めん!)リビングに戻るとノートパソコンを起動させて愛読しているサイトに入る。
【世界資格取得情報局】
どこぞの大手企業が管理している資格取得の紹介サイトで、ユー○ャンのようなメジャーの所から協会や地方自治からの非公式なものまで多種多様な資格が記載されている。さらに名称に世界とあるようにアメリカやヨーロッパ等の他国で発行している資格に対しても、内容や日本での取得のやり方について日本語で翻訳された説明が載っているので英語が駄目な俺でも安心な使いやすさを持つサイトだ。
早速、新着の資格情報が更新されていないかと確認しようとしたら
ピロリーン
「ん?あぁ、もう更新月か。」
画面には、前回の更新より3ヶ月が経過したため情報の更新をお願いしますとの文字が並び、その下には前回更新した俺の個人情報が羅列されている。
このサイトでは利用者の情報を詳しく登録することによって、無数にある資格の中からその人にオススメのものをピックアップしてくれたり、取得条件を満たせないものを外してくれるなどのサービスを受けられるのだ。しかも優良会員になれると管理会社から個別の相談員を宛がってもらえる。
個人情報保護だのなんだのと厳しい世の中でこうゆうシステムは珍しいし嫌がられそうだが俺からしたらナンセンス!。自分がなんのリスクも追おうことなく、嘘の情報で利益を貪るなんてのはどうかと思う。なりすましや多重契約の問題の一端はこうゆう所も関係してるんじゃないかねぇ。
まぁ、それは置いておいて。
「ちょちょいと更新しますかね。」
名前・・・神高 龍斗
住所・・・東京都
身長・・・172センチ
体重・・・64キロ
年齢・・・25歳
学歴・・・南洋大学社会学部卒業
性格・・・気まぐれ
座右の銘・・・勇往邁進
勉学・・・そこそこ
運動・・・なかなか
趣味・・・スポーツ観戦、ゲーム、バイト
特技・・・暗記
さらに細かいことをちょちょいと記入していく。一番下の欄には現在俺が取得した資格の一覧が並んでいる。一覧のなかにはNewの文字と共に【木彫りの熊作成技師2級】が新しく加わっている。反映されるのが早いことで。
記入が終わると[神高さんにオススメの資格]というカテゴリーに飛ぶ。ここはさっき記入した会員のみのページでオススメの資格が表示される。
「んー、【京都弁準1級】に【野鳥雌雄判別士2級】。まだランクアップはいいかな。」
ランクアップとは自分が持っている資格の級を上げる事。現在京都弁は2級、野鳥雌雄判別士は準2級を持っているので案内が来たんだろう。
「ふーん、おっ!これは中国の資格か?【三国志検定外伝 厳顔の章】って」
いや、確かに名将だし個別の資格作るのはいいと思うけど、なぜ最初にオススメされるのが劉備でも曹操でもなく厳顔!?。まぁ面白そうだしキープしておくけどさ。
カチリ カチリ
その後幾つか候補を選択してそろそろ切り上げるかと思っていた時に俺は見つけてしまった。
それは他の情報と比べて目立ったレイアウトがされているわけでもないのに何故か目立った。
何かの力に引き付けられるようにカーソルが動いていく。
未来の俺はここで抵抗出来ない俺を嘆くだろうか?誉めるだろうか?
カチリとクリック音が響く。
「・・・異世界冒険者 4級?」
今、1人の青年と1つの世界の運命が変わりだした。