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「おぉ、これは良いお茶だな。やはり緑茶は、玉露に限る。」
「一息付けたかしら?では、現在の状況把握をしましょう。」
「お、そうであった。状況の把握だな?」
居間でお茶を啜りながら朱音は話を進める。
「えぇ。じゃぁ私から・・・。私は紅坂朱音。井波高校に通って女子高生してる。そして、ここは、うちの家の居間。さっき居たのは床の間で、今日は私がちょっとムカついてて、ムシャクシャしてて、つい神棚にクッション投げたらこうなった。」
「ついムシャクシャしててやった。悪気は無かった。殺すつもりは無かった、反省はしている。」
「うっせ!で、アンタは?」
「初対面にうっせとか、これだから低脳ゆとりは困る。常考。我は悪王子。」
「えっ・・・あこうじ?変わった名前ね。」
「悪王子。いや、赤穂寺で構わない。低脳熟女にしては、名付けスキルがあるな。・・・昔は豊作の神様やってたが。千年前封印されて、封印先でネットしてたらなんか、ここにいた。」
「ハァ?」
などと供述しており、いまだ動機は不明 とでも繋げてやろうか?と朱音は思ったが、その手を食うほど朱音は馬鹿ではない。
「何言ってんの?私、そういうオカルトは信じないことにしてるんだけど。で、実際はどうなの?どんなビックリトリックを使ってこの家に忍び込んだの?」
「これだからド低脳ゆとりは困る。我にもどうしてここに居るのかわからん、と言っておるのが文脈から把握できないのか。」
「何かムカついた。何よその言い方。中二病みたいな設定を偉そうに言うほうが頭おかしいんじゃないの?」
「確かに。確かに可笑しいのかも知れんな。しかし、それ以外、説明しようにも、説明できんのでな。」
と男は困った顔をしながらテレながら言う。
「ほほう・・・この期におよんで、しらばっくれるのかい?赤穂寺君?このまま警察に突き出しちゃってもこっちは構わないんだけど?」
「そ、それは困る。それは断じて困る。それだけは何とか、撤回してもらえないか?」
「じゃ、本当の事いっちゃいなさいよ。」
「うむ・・・しかし、これが真実、嘘偽りの無い事実なのだ・・・。うむむ・・・・。」
ここまで、困った顔をされると少し苛めたくなる。
「ほぅ、そこまで言うなら、神様ってこと、証明して欲しいものね~。」
朱音はニヤニヤしながら、飛散した神棚だった残骸を指差してこう言った。」
「もし、アンタが神様だったら、私、さっき、神棚壊しちゃったんだけど、この壊れた神棚、元に戻せる?」
どうせ出来ないだろう、ここで謝ったら、警察に引き出した後、言い訳ぐらいは聞いてやろう。そして、少しくらい弁護もしてやろう。そう思ったが、返ってきた答えは予想だにしないものであった。
「えっ、そんなことでいいのか?では。」
と、赤穂寺は手をかざした。次の瞬間、残骸から閃光が放たれ、なんと、元の神棚に戻ってしまった。理解できなく目を点にするしかない朱音を余所に
「そら、元に戻したぞ・・・ん?」
神と名乗る男は傾げた顔をしながら神棚の方に歩み寄った。
「おろ?この木像だけ直っておらんな。・・・ふむ。衰えたのか?・・・」
神棚が自然に元あった状態に戻るというミラクルを起こした神なのだが、何故か木像だけ真っ二つに割れた状態のままだった。
「ふむ。何故に・・・確かに直した筈なのじゃが・・・。」
「べ、別にいいよ・・・神棚だけでも元に戻せれば。こっちは私が何とかしとくからさ・・・」
落胆する神に対し、朱音は励ます。
「え、えっと、やっぱ君は、何かの超能力者か何かなのかな?」
励まそうとするを余所に赤穂寺は話を続ける。
「ふーむ、確かに復元の運命操作を行った筈なのだが・・・。それにしても、この像・・・どこかで・・・」
「ちょっと、心配してる人そっちのけで、無視してんじゃないわよ!」
「あっ!そうか!」
「な、何よ??どうかしたの?」
赤穂寺は何かを思い出したように声を上げた。
「これ、我が封印されていた像だわ。」




