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「そう、人。まぁその能力に準ずるものだったら何でもいいのだが、基本は人だな。よく、悪魔を沈めるには生贄を捧げなければならないってあるだろ?あれだ。」
「そ、そんなの許されるわけないじゃない!」
「そう。古来より川の氾濫や、貧困を救うための生贄ってのはこのためにあったんだわ。だがな、実は、妖魔が欲しいのは人の一部であって、人の肉全てが欲しいって訳じゃないんだわ。これがな。」
「人の一部?」
「そう。人の一部。これもな、実は妖魔によって違う。髪の毛だったり、爪だったり、血だったり。無論危ないのだったら心臓の血だったり、脳みそだったり。確か、精液、愛液、処女、童貞とかいったのもいたな、勿論本当に人肉だったりと言ったものもいる。後、記憶、知識、絆、大切にしていたもの、そういったものも実は含まれたりするんだわ。まぁ今回の猫ちゃんは人との絆っぽいけどな」
絆・・・か。
「でも、絆とかで昏睡状態になることがあるの」
「それは、後で説明する。次に、1万を貰っても妖魔にベンツを与えるだけのキャパシティがない場合だ。」
「妖魔は人よりもできる範囲が多いんじゃないの?」
「確かに、妖魔の方ができる範囲は多いんだが、妖魔ごとに持っているキャパシティがある。朱音はRPGとかやるかい?」
「いや、あんまりやらないけど、メジャーなのは知ってるかな。」
「ふむ。まぁ解らんかもしれんが、1番最初に出てくる雑魚敵と、ラスボスの魔王が同じキャパシティな訳ない事ぐらいは想像できるよな?まぁそういうことだ。」
あぁ、なるほど。と朱音はうなずく。
「そういう感じで実際の妖魔もキャパシティの大小に大差がある。本当に伝説クラスの妖魔は会った事ないが恐らくギリシャ神話とかででてくる妖魔と、座敷童子、が同等の実力を持ってるなんてことはない訳だ。実際、どちらも人間のキャパシティを超えている事ができたりすることには変わりはないのだが。」
「で、どういうこと?」
「まぁ聞け。仮に、座敷童子が1万でベンツが欲しいと言う願いを叶えられないとベンツを手に入れるというのも不可能だったと考えてくれ。」
「う~ん、普通に考えて、その願いは叶わないんじゃないの?」
「そう。普通に考えると叶わない。そう。それで正解なんだ。それだけが正解と言うわけではないのが妖魔の叶欲というものなんだ。」
「きょう・・・よく?何?それ。」
聞きなれない単語に朱音は首をかしげる。
「叶える欲求と書いて叶欲。これは妖魔特有の欲求であって他の誰かの欲望を叶え開放したいという欲望なんだ。妖魔はこの叶欲がずば抜けて高い。」
「となると、どうなるの?」
「後先考えずに叶えようとする。正確には、その能力があるものと世の中の原理を捻じ曲げてでも叶えようとする。もう、狂気に取り付かれたかのように。別名『暴走』」
「暴走・・・やっぱり、あんまし良くないのよね、その状態って。」




