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リンゴンリンゴン。
今日も一日がこうやって終わる。憂鬱。
一緒に笑った日々の顔が忘れられなくて。自己嫌悪。
分かってるつもり、当分忘れられそうに無い・・・。
自分の荷物を片付け、買える準備をしながらながら朱音はそう思う
「アッカネちゃーん、一緒にかーえろ」
一瞬にして私が崩してしまったんだ。仕方が無い・・・。
「ねぇ、アカネちゃーん!かえろーよ!」
まだ、受け入れられないなんて、私、馬鹿よね・・・。
「たまちゃん必殺ちょぉぉぉっぷ!」
ビシッ。
「あいた~。どうしたの?珠希?」
彼女は高尾珠希。私の前の席に座っている子である。
今まで特に積極的に絡んでいた訳ではないのだが、私の失恋以降、夏美達とは距離を置いているので、その代わりによく話すようになった子である。
「もーぅ、朱音ちゃん、またボーっとしてたよ?」
「えっ、アハハ・・・そだっけ?アハハ・・・」
「たまが、幾ら呼んでも聞こえてなかったみたいだし」
「そんな事ないって。で、なんだっけ?」
「ほらぁー!聞いてない!一緒に帰ろって言ったんだよぉ!アカネちゃん、たまを無視するぅぅ~オロロ。」
およよと、時代劇で芸子がやるようなシナを作る。彼女なりの気遣いなのだろう。勿論、彼女は朱音が失恋した事を知っている。
朱音はこう見えて美人だ。スタイルも良い。少しキツい性格と、親父クサさがマイナス評価で「井波のガッカリ美人No.1」だの「喋らなかったらミス井波」などという不名誉な称号をいくつも抱えている。
そのせいか、彼女は逆に話題を欠かない。どんなことがあってもすぐ広まるし、すぐネタにされる。良い事も、悪い事も。いつもの朱音ならどういう事があろうがあっけらかんとしているのだが、流石に今回はまだ立ち直れていない。
ギリギリ外行きの顔を維持していられるという感じだ。
「ちょっと、もう。やだなぁ、」
いつもならここから、スパーンと切れのいい言葉が出てくるのだが、言葉一つ躊躇してしまう。
・・・ハハ、駄目だな。あれから2週間経つのに、自分を演じきれない。
こうもよくズタズタになったもんだ。気にしたって仕方ないじゃないか。順平は自分が選ばれなかった。夏美を選んだ。ただ、それだけなんだ。
「アカネ・・・ちゃん?」
「あ、あぁ気にしないで、じゃ、帰ろっか。」
ハハ、また自分の世界に入り込んでしまった。今は学校だ。
「うん!でね、駅前に新しいクレープ屋が出来てたんだよ。こりゃ、帰りし寄って行くしかないよね!」
「へ~、うん、たまにはそういうのも良いモノよね!」
そして、暮れの学校を後にする。・・・大丈夫、私、上手くやれている。




