第1話 その4
不良品の注文を業者にして、後の計画を考えるジョー山中。
[さてと、カフェにでも入るかな]カフェの列に並び順番を待つ。
[コーヒー1つ。それにこの豆を][後はミルクティーを1つ]後ろから声がする。[ン?なんだよ!あんた!…………アア。お嬢様じゃないか!何やってんだ]振り返ると今回の仕事の依頼者、高田マユコがいた。[ご一緒ですか?彼女さんと][アア。一緒だ。彼女は余計だがな][どうぞ!お嬢様][ありがとうございます。何かわかりました?][アア。極秘だ。話せないな。依頼者には話さない主義なんだ。支障になるからな。あれがいい。こうがいい。うるさいからな][大変なお仕事なんですね。私のお父様もそうよ。出張ばっかであまり日本にいないけど。帰ってきても仕事の話は無し。一度、怒られましたもん][まあな。大人の都合だ。冷めないうちに飲め。飲んだら帰れ。関わるな。後で結果報告位してやる。良いな?][私はね、何かお役に立ちたいの。それがお父様でも貴方でも構わないわ。出来ないの?][無理だ。仕事に依頼者がいると支障になる。そのお父様の気持ちもわかるな。家族には見せたくない。そんなもんだ][そうですか。…………誰も私を女として見てくれないんですね。小さい頃からそう。大金持ちのお嬢様だからって、優遇されて。私はいつも居なかった。そこには][そうだったのか………俺も言い過ぎた。何かあったら連絡しに来い。俺で良ければな][アノ〜…………コレ。お守りのネックレス。この前、お父様に買って貰ったの。あげますわ。頑張ってね。ソレジャー][オイオイ!良いのか?コレ!]マユコは立ち去った。[厄介な物だな。コレ、ブランド品だぞ。まったくもー]
ジョーの電話が鳴る。[ジョー。私だ、ボスだ。今、納品業者のトラックをつけている。どうやら例のネットオークションだけでは無いらしい。他にも盗品を納めている。今、リストを送る。調べてくれ][ネットオークションの関連会社か。こっちもネタを仕込んだぜ。不良品を百個注文した。リベンジの始まりだ。関連会社からボロが出るかネットオークションから出るか見物だな。今から調べておくよ。ついでにクレームも]ジョーは支店に帰る。
[おかえりなさい。無事に買って来ました?コーヒー豆][そっちか?如月][エエ。仕事ですから][手伝ってくれないか?このリスト。全部当たってくれ。俺は夕方には出掛けるから。それまでにある程度済ませたい。後はクレームも][わかりました!やりましょう。ハーッ………苦節、1年。ようやくコピー係とお茶屋さんから解放ですね!][単純に人が居ないだけだ。暇ならやれ!]
ジョーが預かったネックレスが落ちた。[アラ?ジョーさんネックレスなんかするんですね][俺のじゃないよ。依頼者から預かった。それだけだ][見せて下さい。…………アラ?コレ、売ってない商品だわ。偽物ね][なんだと!彼女の父親って……………。まさか!][ここですね。今、調べました。依頼者の父親の会社を][今調べた?…………本当は知ってたんだろ?][エエ。大体にして、おかしいじゃないですか?1万円の被害でわざわざ依頼するなんて。彼女は何か知っている。とんだお嬢様だ。…………だがなー][どうかしました?]頭を掻くジョー。[………さっき喧嘩したばっかなんだ。………行きずらいな][複雑なんですね。人間って][お前は良いよ。メかで。メモリーを消去すれば良いだけだ。だがなー………][皮肉ですね。一応、貴方のバイクの整備もしてるんですけどね。メかの特権で][そうだったのか?それで雇われてたのか?だよな。コピーとお茶じゃボスも置いとかないよな][見つけました。ボスが送ったリストに依頼者の父親の会社が][そうか……………それは良いや。後回しだ。まずはネットオークション。終わったら俺から話す。彼女に]
二人はボスから送られたリストを調べた。
[ヨシ。ネタは上がった。後は食うだけだ。ネットオークションを。行ってくるぜ]
ジョーは製造業者に不良品を取りに行き、変装をしてネットオークションの会社に来た。[ヨシ。いかにも倒産しそうな格好だ。もう少し、目の下のメイク暗くするかな。あと、声のトーンも落とすか。ヨッシャ!決戦だ!悪党]
続く