第六話 気まずい空間二人きり!?
「…………」
「…………」
ディアナはこっちを向こうとせず、また、喋る気配もない。
非常に気まずい、誰か、何とかしてくれ。
別に俺は彼女に遠慮があるわけでもない、むしろ。
「なあ、ディアナってフローラさんと幼馴染ってことはここに住んでたんだろ、けど、なんか久しぶりに帰ってきたみたいなこと言ってたし、なんで今はここに住んでないんだ」
「…………」
「わかった、きっと言い難い事情があるのだろう、なら、あの刀はいったい何なんだいくら刀を帯刀することが認められてるからって、普通一般人はあんなもの持ってないぞ」
「…………」
っと、このようにずっと黙ったっきり、相当信頼されてないなこれ。
確かにフローラさんのように見ず知らずの俺を簡単に信じられるのが変わっているってのは分かるけど、返事くらいしてもいいと思う。
「俺のことを怪しむのはいいがせめて会話くらい成り立たせてくれよ、そうすれば俺のこともわかるだろうし、それからなら俺を信用するか、それでも怪しい奴と判断するかは勝手だからさ」
「……分かったわよ、答えればいいんでしょ」
お、ようやく俺の必死さが伝わったらしい、これでこの気まずい空気とおさらばだ。
「で、ここにいなかった理由でしょ、仕事よ、少し前まで前線に出ていたのよ、今は戦争中だからなかなか休暇が取れなくてね」
「へー、って、前線って戦場のど真ん中だろ、何でそんな危険なとこに」
「まあ、確かに危険ではあるけどさ、艦長なんだし当たり前でしょ」
「……いや、ちょっと待て、それはあれか、友達とのごっこ遊びとかそういう類か」
現代の日本ならテレビゲームって説もあるがここにはそんなものはない。
「残念でした、正真正銘、船の艦長よ、ローリア連合海軍ディアナ大佐って言えば結構名前が通ってるとは思うんだけど」
「大佐って18でかよ、俺も軍隊には詳しくは無いけど大佐って上のほうの階級だろ、さすがにそんな嘘には騙されないぞ」
「だから最年少の大佐として名が通ってるんじゃない、ローリアは人材も不足してるし少し前まで陸戦ばっかだったか海戦の技術が低いのよ、だから昇進しやすいの、といってもそんな簡単じゃないけどね」
それはそうだろう、難易度が下がっているとはいえ簡単に昇進できるなら、そこら中大佐だらけになるだろう
「なら、もしかしてお前って結構すごい奴なの」
「そうよ、ちなみに刀を持っていたのも大佐だし危険があるといけないからって事よ」
「でも、刀を振り上げただけでふらつくんじゃ持ってる意味が無くないか」
「う、うるさいわね、別に振り回せなくても持ってるだけで相手への脅しになるからいいのよ」
そういいながら顔を真っ赤にしている、どうやら刀を振り上げてそのままこけ、気を失ったことをそうとうきにしてるようだ。
まあ、さすがにあれは恥ずかしいよな、ディアナのためにもその話題は触れないでいてあげよう。
それから、しばらくディアナと話していた、どうやらディアナも多少心を許してくれたらしい。
「ディアナちゃん、ご飯が出来ましたよ、ダイニングまでいらっしゃい」
いつのまにか結構時間が経っていたらしい、フローラさんが呼びに来ていた。
「うん、今いくよ」
ディアナもそうとうお腹が空いていたらしい、目を輝かしてすぐにダイニングへと向かっていった。
ああいう姿はまさに子供みたいだとは、思うけど絶対口には出さない、さすがにまた蹴られたくは無い。
食事も終るとリビングで俺はディアナとフローラさんと話しをしていた。
「ディアナちゃんはどれくらいこっちに居れるの」
「今は前線も少し落ち着いてるから1週間はいられるはずよ、戦局が変われば分からないけど」
「で、ディアナちゃんはその1週間家に泊まっていくのよね」
フローラさんは久しぶりに会った幼馴染を相手にうれしそうに話していた。
やっぱり幼馴染は特別なんだろうな。
「うーん、最初はそのつもりだったんだけどこいつが居るからね、どうしようかな」
そういってディアナは俺を指差す。
多少は打ち解けていてもまだ完全には認めてもらってないらしい。
「大丈夫よ、シンゲン様は何もしないわよ」
おお、めっちゃ信頼されてる、これはかなり嬉しいぞ。
「でも、ま、フローラがそういうなら信用してもいいか」
こうして、二人暮らしは1週間だけの三人暮らしへと変わった。