第五話 その少女、目を覚ます!?
どうするも、こうするもこんな町中で倒れてる女の子をほっとくわけにはいかない。
どうやらこの子はフローラさんの知り合いみたいだし家に連れて行くのが正解だろう。
俺はその子を背負うとそのまま帰路に着く。
「フローラさん、ただいま」
「お帰りなさいシンゲン様、って、あら? 背中に背負ってるのは何ですか」
家に着くと玄関でフローラさんが迎えてくれていた、なんかこのやりとり夫婦みたいだな、と内心ニヤついていたりする。
「町の中であったんですけど、ちょっとしたごたごたがあって気を失っちゃって、ほっとくわけにもいかないし、どうやらフローラさんの知り合いみたいだったから連れてきました」
説明してフローラさんにも顔が見えるよう女の子をすこしずらす。
「あら、ディアナちゃんじゃない。そういえば今日が帰るっていってた日だっけ」
「やっぱり知り合いだったんですね、で、この子……ディアナはどうすればいでしょうか」
「そうね、シンゲン様の隣の部屋に連れて行ってあげて、それとご飯ができてるから部屋に寝かせてあげたらダイニングに来て、ディアナちゃんの分は目が覚めてから別に作るわ」
「わかりました」
そのあと、俺は背中で無邪気な顔して寝息を立てているディアナをベットに寝かせるとダイニングに向かった。
フローラさんは食事中に会話をするのがあまり好きではないらしいので、食事が終るのを見計らい、リビングでディアナについて聞いてみる。
「ディアナちゃんは、ディアナちゃんの両親と私の両親が仲良かったせいか物心つく前から仲良くしていたの、幼馴染ってとこかしら」
「それで彼女は俺が親戚じゃないって分かったわけですね、って、あれ物心付く前からってディアナっていったいいくつなんですか」
「19歳ですよ、見た目のせいでそう見えないかもしれないけど本人も気にしてるみたいだからあまり子ども扱いしないであげてね」
どうやら19歳ってのは本当だったらしい、「ディアナ、ごめん」と心の中で謝っておく。
「あれ? フローラ、ってことはここはフローラの家? 何で私はここにいるんだっけ」
どうやらディアナは眼を覚ましたらしい、寝ぼけながらハッキリしない記憶を必死に思い出そうとしている。
「えっと、たしか町の中でホラ吹きの虫けらを見つけて……それで……あ、虫けら、なんでフローラの家にいるのよ」
「おはよう、ディアナちゃん」
「え、あっ、おはようフローラ……って、そうじゃなくてこの虫けらがなんでここにいるのよ」
「シンゲン様のこと? シンゲン様は家に居候しているんですもの、いてあたりまえだわ」
「なんでこんな虫けらを居候させてるのよ、こんな危険なの近くに置いといたらいつ襲われるかもわからないし危ないわ、即刻追い出すべきよ」
「大丈夫よ、シンゲン様は信頼できるはディアナちゃんだってわたしの特技知ってるでしょ」
「そ、そうだけど……でも……」
ディアナは言い返す言葉を失ってしまったらしい、それより気になることが一つある、フローラさんの特技ってなんだろう、それを聞いたとたんディアナも黙ってしまったし少し気になる、そのことをフローラさんに伝えると。
「私、昔から人が嘘をついてるかどうか見分けることができるんです」
にわかには信じがたいが、おそらく信頼性の高いものなのだろう、フローラさんと付き合いの長いディアナの無言がそれを肯定している。
「へー、ってことはフローラさんの前では嘘がつけないって事ですね気をつけないと」
「気をつけるも何も嘘をつかなければいいのでは」
そのとうりだ、とはいっても俺は元よりフローラさんに嘘をつくつもりはないし深く気にすることも無いか。
「じゃあ、私はご飯の用意をしてくるは、ディアナちゃんもお腹すいてるでしょ」
そういうと、フローラさんはそこから席を立っていってしまった。
リビングには俺とディアナの二人が取り残される。