第四話 町で見たものそれは!?
俺は今町の中を歩いている。
町中では俺はよく知らないおっさんやらおばさんに声をかけられる。
なんでもフローラさんが俺のことを説明してくれたらしい。
ただ赤の他人を住ませていると言えば心配されるだろうから親戚と言うことにしてある、それに異世界から来たとも言えないので同じ大陸内の離れた国から来たともしている。
話はフローラさんから聞いたその国の情報を元に俺が何とかごまかしている。
いつ、ぼろが出るか心配だが今のところ上手くいっている。
この町は比較的狭いため今日一日で町中見て回れるだろう。
けどもあまりこれと言った新たな発見は無い。
そして何も見つけられないまま町の端まで来てしまった。
「仕方ない、帰るか」
今から帰ればちょうど夕食前くらいにつくだろう。
今日の夕食は何だろうかな、なんて考えながらその場で回れ右して家へと一歩を踏み出した時だった。
「あんたね、噂の自称フローラの親戚は」
いきなり目の前に現れたのはずいぶんと背の低い女の子だった。
身長は150センチも無いくらいだろう、おそらく12歳くらいじゃないかと思う。
髪は青色、正確には青と言うには少し薄い水色、それはまるで大空のような美しさがある。
そしてその髪は左右にゴムで止めてありツインテールになっている。
顔立ちもかなり幼く美人というよりはかわいいって感じだ。
着ているワンピースも年相応なかわいさを引き出している。
「どうしたのお嬢ちゃん、迷子? 」
「子ども扱いするな、これでも私は19だ」
おっと、この年の子はどうやら子ども扱いされることに敏感なようだ、かといって18歳は無理があるが。
たしかに俺も悪かったのかもしれない。
けど、いきなり蹴るのはあんまりじゃないのか。
俺はそのまま後ろ向きに倒れた。
「いたたたた、なにもいきなり蹴ることないじゃないか、それで何か用かな」
体を起しながら用件を聞く
「あんた、町でフローラの親戚だってホラ吹いて回っているそうじゃない」
確かに嘘ではあるけど、別に俺が言って回ったわけではない。
それより、どうやらこの子は俺がフローラさんの親戚じゃないという確信を持っているようだ。
おそらくフローラさんと仲がいいのだろうか。
「私はあんたみたいな悪い虫が近づかないようにしてるの覚悟しなさい、虫けら」
そういうとこの女の子はどこから取り出したのか手に持っている刀を鞘から抜きこっちに向けてきた。
女の子がなんて物騒なものを持っているんだ、って、それよりこのままじゃ切られそうだなんとかしないと。
「いや、ちょっとまってくれ今説明するから、これには事情があるんだ」
「……何よ、言ってみなさい」
「えーっと……」
そういやなんて説明すればいいんだろうか、まさかそのまま異世界から来ましたなんて言ったら間違えなく切り捨てられる、かといってとっさに上手い言い訳が思いつくはずも無く。
「言いたいことは無いようね、覚悟」
そういうと女の子は刀を思いっきり振り下ろしてくる。
「うわっ、そ、そんなもの振り回したら危ないだろ」
俺はとっさに右側へと体をずらして避ける。
大振りだったことと、この子には刀は重かったのかふらついてくれたおかげで何とか回避する。
「なんで避けるのよ、おとなしく当たりなさいよ」
「む、無茶いうなよそんなの当たれば大怪我するじゃないか」
「大怪我だけで済ませるわけないじゃない、くらえ」
女の子は再び刀を振り上げるとこれまた物騒なことを言いながら振り下ろそうとする。
ただ女の子の力では限界だったのだろう、そのままふらつき後ろ向きに倒れていく。
「きゃっ……くっ、不覚……」
女の子はそのまま勢いよく地面に後頭部をぶつけると最後に何事かつぶやきそのまま気負を失ってしまった。
「……これは、どうしたらいいんだろうか」
勝手にやって来て、勝手に人のことを殺そうとし、勝手に自爆して気を失った女の子を前に俺は途方に暮れていた。