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宛先不明

電撃リトルリーグのお題“かけがえのない贈り物”を執筆してみました。厳しいダメ出しや評価をして下さい。よろしくお願いします。

 僕は有川雄平、大学1年生である。はじまりはクリスマスイブの朝、僕は部屋の前に設置されているポストから手紙を取り出した。内容は《あなたが好きです……だから結婚してください》という内容、封筒には婚姻届も同封されていた。しかも宛先不明ときている。僕は頭の中で自分の人間関係を模索してみた。もともと小中高と友達が少なかった僕には異性の友達が数えるほどにしかいなく、大学になった今ではほとんどが疎遠になっていた。最近話した異性はサークル“読書研究会”に所属している先輩である神楽坂春香・優菜姉妹、唯一の幼馴染みで疎遠になっていない綾瀬優子がいた。ちなみに春山、綾瀬兄がいるが同性なので除外、こいつらから来てもうれしくもなんともないからだ。とりあえず、目的は最近、会話を交わした異性のみに絞った。今日1日、対象となる3人の人間観察から行こうと僕は私服に着替えて教科書や参考書を詰め込んだショルダーバッグを持って都内の大学へ向かった。


 大学の教室は高校の時と比べてみても面積が遙かに広い。おまけに席は自由と来ている。僕は昨日座った所を見てみたがスイーツ系な女子大生が数人群がっていたので一番後ろの席にいる綾瀬優子の所に向かった。優子は幼稚園からの幼馴染でもあり小中高と同じクラスでもある。僕がこの大学をやめられない理由の1つでもあった。今朝の手紙の送り主が彼女だったらいいなとそう思う。

「よ、隣座っていいか?」

「別にいいわよ」

 優子は黒曜石のような瞳を僕に向け再び読んでいる本に目を落とす。中身をチラ見してみると錬金術とかの本だった。よく難しいのが読めるなと驚いていると優子は、冷たい眼差しで僕を見据えてから

「こっち見ないでよ。読書に集中できないじゃないの!」

「ごめん、君は高校の時から難しいのを読むようになったからな」

 優子もつい1年前まではライトノベルオンリーだったのに……どうしたことやら。僕は鞄から筆記用具と1限目の教科書を出した後鞄から文庫本を取りそれを開いた。今回はG文庫から出版されている「ユーモアの剣」というファンタジー小説で昨年の夏にアニメ化したメジャーな作品である。昨日、169冊目を読み終わったので今日は170冊目である。

 今回の本のあらすじは左目に邪気眼を宿している高校生の主人公が回復魔法使いの少女と首都圏の地下奥深くに眠り続けているドラゴンを倒すという物語だ。最初は痛いだけなんだろうなと思っていたが登場人物全員にかなり凝っているエピソードがあり、思わず星4つを与えるほどの作品だった。挿し絵もそれほど多くはないのだがサクサクと読み進める事ができた。特に最後のシーンはものすごく感動した。主人公が封じていた邪気眼を開放させ岩に突き刺さっている剣を引き抜きドラゴンを倒すシーンが一番ジーンと来た。

「ねぇ、もうすぐ先生が来るわよ」

 隣に座っていた優子に指摘され、僕は泣く泣くラストシーンを後回しに鞄に仕舞い込み、前方にある黒板に向かい合った。

「ねぇ、今何冊目なのよ?」

「170冊目」

「遅いのね。読書嫌いなあなたのために私のコレクションを格安で提供したのにどういうこと?」

「仕方ないだろ……僕だってバイトとかで忙しいんだからさ」

 僕は優子と教師が来るまで短い会話を交わした。やがて教師が入ってきたので話は強制的に中断された。僕はシャーペンとルーズリーフを机に広げた。


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