表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
99/153

第2章09 痴話喧嘩

 眉間をショットガンでぶち抜かれたゴースティングプレイヤーがボックスに変わる。プレイヤーネームを見れば言い逃れしようのない名前をしていた。俺らは即座に迷惑行為として通報しておく。


「ひより、大丈夫?」

「うん、大丈夫。言いたいこと言ってスッキリしたし。それに、3人でやればこんな簡単に返せるって分かったから。やっぱりこのゲームは3人でやるもんなんだって改めて実感できた」

「そっか。ならよかった」

「うん、まぁ毎回さっきみたいに簡単にいくとは思わないけど、もう間違わないから」


 晴れやかなひよりの声に、俺の心配が杞憂に終わったことを悟る。メンタルもこの1ヶ月ですごく強くなったんだなぁ。


「そ・れ・よ・り! H4Y4T0、あたしのことゴキブリを平気で叩き潰すような奴だと思ってたんだぁ」

「あっ、いやそれは言葉の綾って言いますか…」


 やっべぇ、このままの流れで忘れてくれないかと思ってたけどこっちは杞憂で済まなかったか…。


「ていうか、そもそも女の子って忘れてるみたいな言い方だったでしょ。思い出したら段々腹立ってきた」

「いや、あれはそういう意味じゃなくて、たしかに女の子がゴキブリ潰すのは無理だよなぁって意味で」

「だったらそう言えばいいじゃん!」

「ッスー…大変申し訳ありませんでした」


 この論戦に勝ち目はないと判断して早々に降参する。どれだけ考えてもこの盤面を覆せるプランを立てることが出来なかった。俺のIGLもまだまだ未熟ということか…。


「もういい! どうせあたしは気が短くて土佐犬みたいだから女の子っぽくないですもんね」


 拗ねたひよりは物資を漁りに行ってしまった。残された俺たちもひとまず物資集めを再開する。すっかりへそを曲げてしまったひよりの機嫌をどう取ったものかと悩んだ俺は一旦ミュートにしてコメントに助けを求める。


「どうしよう。ひよりが拗ねちゃったんだけど」


『謝って』

『大トロ一丁』

『チャンネル登録解除しました』

『痴話喧嘩てぇてぇ』

『拗ねたひーちゃんかわいい』

『てぇてぇ』

『なんか褒めろ』

『告白しろ』

『惚気ですか?』


 ダメだ。ほとんど面白がってるか頭がやられちまってる。ただ、褒めるっていうのはありかもしれない。ただ褒めるって言ってもなぁ。配信上でメタい話をこっちからするわけにもいかないしすげーセンシティブなお題な気がする…。あっ、でもいいのを思いついたかもしれない。これなら当たり障りないしひよりも機嫌を直してくれるかも。


「H4Y4T0~、そろそろ移動しようぜ」

「あたしも揃った」

「あ~はいはい」


 Setoの呼びかけで一旦集合して移動を始める。道中、甘えた動きをする部隊を倒して一息つくことができた。


「ひより、さっきはごめんな?」

「いいよ。別にH4Y4T0も悪気があったわけじゃないのは分かってるし。もう気にしてない」

「そっか…そういえばさ、昨日の配信で歌ってた曲ってなんていうの?」

「ん? 〇〇だけど?」


「そうなんだ。いや、聞いたことはあったけど曲名まで知らなくてさ。昨日ひよりが歌ってるの聞いて気になって」

「え~! 今色んな人が歌ってみたとか踊ってみたで出してるのに!?」

「ボカロとかもそんなに詳しくなくてさ。ひよりって歌ってみたとかも出してんの?」


「そりゃあまぁ何個かは」

「そっか。じゃあ勉強がてら聞いてみるかなぁ。ひより上手かったし」

「ちょ、ちょっとやめてよ。恥ずかしいじゃん」

「え、でも投稿してるんでしょ?」

「そうだけど…そうだけどぉ!」

「お前ら痴話喧嘩終わったと思ったらすぐにじゃれてんじゃねぇよ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ