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第1章36 制限

 ”魔王”という異名に違わぬ異次元のキャラコンと吸い付いていると錯覚するかのような精巧なエイム。


 彼が加入したことで、Ragnarokの躍進が始まったといっても過言ではない。


 彼は韓国出身のプレイヤーで、加入当時は通訳を介してやり取りをしていたけど凄まじい速度で日本語を習得してしまい、通訳なしでコミュニケーションが取れるようになっている。


 最近日本に引っ越してきて、大好きなアニメのグッズを求めてよく秋葉原に遊びに行っているらしい。


 試合になると死屍累々を生み出すキルマシーンだけど、配信で見せるお茶目な様子や、謙虚で好青年然とした人柄で人気もどんどん上がっている。日韓のTBプレイヤーの憧れの存在だ。


 彼らのいるチームに加えて、当然俺らのチームも優勝候補と思われているだろう。なにせ競技勢が2人だ。


 実績はまだそこまでないけど、さすがにオーバーパワーという声が挙がっておかしくない。それで変に荒れても嫌なので懸念を弥勒さんに伝えていた。


「出場チームを改めて見ていくとどこも実力者が名を連ねてますね。バランス的には問題ないでしょうか弥勒さん」

「そうですねぇ、概ねちゃんと分かれてるとは思うんですけど、やっぱりH4Y4T0とSetoが組んでるからここはちょっと縛りが必要かなと。自分が呼んどいてって感じで2人には申し訳ないけど」


「あ~たしかに。ここだけ競技勢2人ですからねぇ」

「ただ2人を分けるのも微妙だったからねぇ。H4Y4T0は大丈夫だけどSetoってかなり人見知りする性格だから。コツさえ掴んでれば早いんだけど下手するとお通夜な空気のまま本番迎えかねなくて」


「へぇ~、そうなんですか。それで、今回かける制限はいったいどんなことになるでしょうか」

「はい、今回H4Y4T0とSetoは2試合目までのキルポイントを順位計算から除外させてもらいます」


 俺と弥勒さんで話し合い、制限について出した結論がこれだ。弥勒さんから提示を受け、俺とSetoは二つ返事で了承した。


 もともと序盤にはキルポ制限があるけど、そこにさらに縛りを設けることで俺らが暴れたとしてポイント差がつきすぎないようにできる。


 もちろんそんな簡単に勝てるほど甘くはないけど、調整としては悪くないと思う。


「なるほど。これでこのチームは序盤に突き抜けることはなかなか出来なくなりますね」

「そうだね。あとは、この2人とうちの3人にかける制限として、序盤2試合のキャラピックに制限をかけようかなと。具体的に言うと、世界大会でのキャラピックの上位5体の使用を禁じます」


 世界大会でのキャラピック上位5体というと、セイメイ・ゴクウ・マーリン・ロチシン・アヌビスのことだ。


 世界大会ではこの5体が多く使われた。特にセイメイはほぼどのチームも採用していた。


 これらのキャラを制限することで、他のチームが序盤は有利になるようにという競技勢限定の制限だ。これも俺たちは異論はない。あくまでこの大会はカジュアルなものだしね。


「となると今の環境構成が序盤ではできなくなるというわけですね。レインさんはどう思われますか?」

「そうですね、どのキャラも強力な能力を持っているので、競技勢以外のメンバーに使ってもらうというのもありですよね。ただ練度の違いはどうしてもあると思うので、競技勢の5人がどういう選択をするかに注目だと思います」

「ありがとうございます。さて、当日ですが…」


 公式配信はまだ続いているけど、俺たちの出番は終わったし、あとは当日の配信時間の発表やカスタムマッチの配信についてのお知らせなので既に把握している。


 俺は今弥勒さんから聞いた追加の制限について早速思考を巡らせていた。


 俺たちのキルポ制限については話し合ったことなので当然知ってたけど、キャラピックの制限については初耳だ。


 弥勒さんが他にひょっとしたらあるかもとは言ってたけどこういうことね。まぁ問題はない。エイムやキャラコンが制限されるわけじゃないんだ。


 他のキャラにも強みはあるし、なによりひよりがセイメイの練度をどんどん上げている。すでにセイメイに関してはかなりの高水準で運用できるから、基本的にはひよりはセイメイ固定でいいだろう。


 問題は俺とSetoだ。キャラピックだけでなくキルポにも俺たちには追加で制限がかかる。


 こうした条件でどう立ち回るべきか、どういうキャラ構成にすべきか。こういう縛りがあるなかで勝ちに行くのも面白い。俺はワクワクしながら思索に没頭するのだった。

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