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第2章49 瀬戸際

 ラウンドを勝ち抜いた3人が通話に合流してきた。


「みんなおめでとう」

「ナイスで~す」

「おめでとう! 1位すごい!」

「ありがとうございます。応援してくれた皆のおかげです」

「ぶいっ!」

「まだドキドキしてます」


 まだ興奮が冷めやらない様子の3人を労いながらインタビューじゃないけどいくつか質問していく。


「白樺さん、ナイスオーダーだったね。初戦と4戦目にTriumph取れてたし、序盤でこけることもなくすごく安定してたけど、ゲーム中はどんなこと考えてたの?」

「えっと、とにかくいつも通りって言い聞かせてました。初戦で勝てたからだいぶ気持ちが楽になって、とにかく無理せず立ち回ろうって」

「構成への手応えはどう?」

「そうですね。安地がランドマークの反対側に寄っちゃったときはどうしても難しくなるけど、先入り出来た時はとても安心感があるというか。室内戦闘は全部勝てたし、結構刺さってると思います」

「じゃあ次は柊さんね。今回一番アシスト取ってたし、朝顔さんへのカバーが光ってたなって見てて感じたけどその辺どう?」

「さっすがH4Y4T0さん! うちは朝顔が前衛っぽく動くから、そのフォローをコーチには叩き込まれたんだ~。セイメイだから万一でも結界で守れるしね」

「柊さんがカバーしてくれるから朝顔さんが強気で前を張れるってわけだね」

「そゆこと!」

「じゃあ朝顔さん、モリアーティで前を張るっていう久遠直伝の動きだけどすごく上手かったね」

「あ、ありがとうございます。コーチにスキルの使い方を教わるまではモリアーティって前衛のイメージ全くなかったんですけど、練習してだいぶ染みついたかなって思います。美月先輩のカバーもあるから安心できるし」

「朝顔~、かわいいやつめ~」


 俺たちは見てれば分かるけど、皆がみんなそんなにTBに精通してるわけじゃない。3人が実際にどう考えていたのか、どう練習したのかってことを見に来てくれた人に伝えてあげてほしいって茜さんから頼まれていた。さて、最後にもう1人。


「久遠、最高のスタートを切れたわけだけど、感想は?」

「うん、今は安心してるかな。構成も刺さってたし、みんな自分の力を発揮できてた。まだ先は長いけど、練習の成果が出せて本当に嬉しいよ」

「そうだね。ただ、今日はパンデモが1人もいなかったし、正直ダイヤ帯って言って差し支えない。ここから先はどんどん敵は強くなっていくけどどう思う?」

「百も承知だよ。だからこそ限界まで尖らせたんだ。可能性は少ないかもしれないけどゼロじゃない。みんなならここから先も勝ち抜いてくれるって僕は信じてるよ」


 久遠から返ってきた言葉からは強い気持ちが伝わってくる。本当に心から3人がプロリーグに進むことを信じてるんだな。


「コーチ、私たち絶対に生き残って見せるから」

「そうだよ。どれだけ可能性が低くたって、周りがうちらより全員格上だからって諦めたりしない」

「勝ちます」

「うん、またこの後アーカイブ見て修正していこう」


 それからしばらく3人からゲーム中の話を聞いたりアドバイスしたりして配信を閉じた。3人は久遠と反省会をした後にレートに潜るらしい。


「何はともあれ、無事初戦は突破したな」

「ほんとによかった。すごく嬉しい」

 

 ひよりはずっと我が事のように突破を喜んでいる。ぶいあどのメンバーはみんな仲良しって聞いたけど、今のひよりを見てると実際そうなんだろうな。


「燃えるだろ」

「うん、すっごく。今すぐレート行きたい気分」


 触発されてやる気がすごいことになってるけど、そもそも3人に火をつけたのはひよりなんだよな。そういう意味でも、お互いに刺激し合って高め合える仲間でありライバルって言えるんだろう。


「いこーぜ。大会見ながらうずうずしてたんだ」

「うし、行くか」




 その後、3人は順調にラウンドを勝ち進んでいった。編成とマップが見事に刺さったことで大崩れせず安定的な順位ポイントを積み重ねることが出来た。2ラウンド以降は連日の戦いとなったけど、疲労の色を見せることもなくコンセプト通りの戦い方を貫いている。


 気づけば記念受験層は姿を消し、参加者はほぼ全員がグランデもしくはパンデモ。プロチームも混じってきたことで順位こそ下がってきたけど、3人は必死に食らいついていた。勝ち進むにつれて注目度も上がり、3人の配信も俺たちの配信も同接人数がうなぎ上りだった。


 そして、いつしか残るは80チーム。ここまでくるとグランデが少数派となった。グランデのみで構成されているのはわずか2チームのみ。そのうちの1つが”結月 雫久”だ。Vtuberで残っているのも神田さんと3人だけ。


 今日のラウンドを勝ち抜けば最終予選。プロリーグ参加枠を争う1ヶ月の戦いに進むためには上位10位以内に入らないといけない。勝ち残っているのはほとんどがプロチームだし、これまでのラウンドで数多くのプロチームが姿を消している。そんな中で、ここまで勝ち上がってきたぶいあどの3人への注目は凄まじいものとなっていて、ネットニュースでも取り上げられたほどだ。


 数多の期待を背負ってラウンドに挑んだ3人。今は第3ゲームが終わって久遠とミーティングを行っている。


 第3試合終了時点、順位ポイント:3ポイント キルポイント:3ポイント 合計6ポイント 現在順位18位。3人は崖っぷちに立たされていた。 

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