第82話 たったの3年
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グミ
「なんじゃそりゃ!もったいぶりやがって!ふざけるなよ!」
グミが ヴィルシーナに怒鳴る
ヴィルシーナ
「し…仕方ないでしょ!魔力がなくなるなんて 今まで 経験した事なかったんだから!」
ユウキ
「………うーん…じゃあ どうしようか…」
ヴィルシーナ
「……あ…安心してください 少し 歩きますが 付いてきて下さい」
ヴィルシーナは ゆっくりと ぎこちなく歩き出す
その後ろを 不安そうに ユウキ達は付いて行く
ポテポテと歩く姿に グミはイライラを蓄積していく
グミ
「………おい!一体 どこに行こうとしてるんだ!」
ヴィルシーナ
「…右足を出した後に…左足…それを繰り返すだけ…か…簡単な事…え!?……わ!」
ヴィルシーナは グミに突然声をかけられ 豪快にコケる
ヴィルシーナ
「い…いきなり 声をかけては いけません!も…もう……ふぅ…もう少ししたら 世界樹の根が あるのです そこでなら わたしの魔力の回復が 急激に回復するのです!」
サヤカ
「そうなんですか…でも 大丈夫ですか?…歩くの難しそうですけど…」
ヴィルシーナ
「何も 問題ありません 行きますよ」
生まれたての馬のように 何とか立ち上がる
それから ヴィルシーナの足は 非常に遅く 長い時間をかけ ようやく 目的地に着く
ヴィルシーナ
「ありました!あれです 着きましたよ…これで魔力は回復します」
ヴィルシーナは ホッと 胸をなでおろす
グミ
「……それで どのくらいで 回復するんだ?」
ヴィルシーナは グミを睨みながら 答える
ヴィルシーナ
「だから!すぐに 回復するといったでしょ!……聞こえてなかったのですか…ハァ…」
首を何度も振りながら ため息をつく
グミ
「……こいつ…やっぱり いらつくんだが…」
ユウキ
「すぐだって言ってるんだから すぐなんだろ?それに 少しぐらいは 待ってもいいじゃないか」
ヴィルシーナ
「その通りです この根に入り たった3年程 停止すれば 完全に回復します それぐらい すぐでしょ!……全く」
ユウキ
「そうそう たった3ね…ん!?あ…あの ヴィルシーナさん?」
グミ
「…やっぱりな …な?こいつの時間の感覚は 他と違うんだって…」
ユウキ
「ヴィルシーナさん…さすがに そこまで 待てないです…何とか 橋だけでも 架けれるだけの回復で お願いできないですか?」
ヴィルシーナ
「……たった3年も 待てないのですか?そんなに生き急がなくともよいのに…情けない…橋ぐらいの回復なら……そうですね…3日間ほどあれば問題ないですね」
ユウキ
「……それでも 3日か…仕方ないか…ヴィルシーナさん では 3日後に お願いします」
ヴィルシーナ
「わかりました では 3日後に…」
グミ
「おい!!3日たった時点で お前が出て来なかったら この根は燃やすからな!!」
ヴィルシーナ
「!!!…わ…わかって…いますよ…ちゃんと…で…出てきます」
ヴィルシーナは グミに目を合わせる事なく 世界樹の根の中に 消えていった
グミ
「くそ…なんだか あやしいが…まあ いい…出て来なければ 焼き尽くすだけだ…」
サヤカ
「うーん…3日かぁ…どうしましょう?」
ユウキ
「ぼーっとしとくのも もったいないけど…だからといって 何をするって感じだし…」
サヤカ
「とにかく 元の場所に戻りましょうか」
ユウキたちは 元の場所に戻って行った
ユウキ
「………ん?あんなとこに 山なんてあったか?」
サヤカ
「山?そんなの なかったよ?」
ユウキ
「だよな…なかったよな……って…あれ…」
山だと 思われていたのは さきほど ヴィルシーナが出したゴーレムだった
サヤカ
「……あ…忘れてた…」
ユウキ
「……だな…こじんまりと座り込んでるな…近づいても 大丈夫かな?」
グミ
「別に 大丈夫だろ?何かあっても お前…問題ないし…」
ユウキ
「……そうだけど…やっぱり ドキッとするんだよ…」
ユウキは 少しビビりながら そーっと近付く
ユウキが近付くと 座ったままのゴーレムが 顔らしきものを ユウキにゆっくりと向く
ユウキ
「や…やあ ごきげんいかが?」
グミ
「……ふーん…一応 感情はあるみたいだな…」
ユウキ
「マジか!?グミ! お前 ゴーレムとも話しが出来んの!?な…なんか 言ってんのか?」
グミ
「感情を読み取る事だけだからな……えっと…へー…そうか わかった…こいつ 悲しいって言ってるな」
サヤカ
「悲しい?」
グミ
「ああ…ここの場所が ボロボロになって悲しいってさ…」
サヤカ
「……あ…そうだよね…本当に…全部 私のせい…」
ユウキ
「……そうか…なら 時間あるし ここを少しでも マシにしようか…」
グミ
「ええー!!ここをか?…めんどくせーよ…別にいいだろ…」
ユウキは グミの発言を無視し 穴の空いた所に 土を被せていく
それを見たサヤカも せっせと土を被せていく
グミ
「……けっ…お…俺は しないからな…」
グミは プイッと他所を向く
ゴーレムは ユウキとサヤカの行動を 観察した後 ゆっくりと立ち上がり ゴーレムが出てきた穴に向かい 大きな両手で土を持ってきた
ユウキ
「あ!土を持ってきてくれたのか!ありがとう そこに 置いといてくれないか?…通じるかな?」
ゴーレムは ゆっくりと頷き ユウキの近くに そーっと土を置く
ユウキ
「わ!通じた!ありがとう!これなら はかどるよ!!……あ…あれ?」
ゴーレムが持って来た土は 自分が戻した土とは感覚が違い とてもフカフカしていて まるで雲のような土に変わっていた
ユウキ
「うわ…なにこれ?わ…綿飴みたいだな…これなら すぐに終わりそうだ!なあ この土 サヤカのとこにも 持って行ってくれないか?」
ゴーレムは頷き また 自分が出てきた場所に戻り 両手一杯の土を サヤカの元へ運ぶ
サヤカ
「ありがとう!……うわ…ホントだ 柔らかい…それに とっても軽いわ これなら 私の力でも 穴を埋める事が簡単に出来るわ!」
サヤカも せっせと ゴーレムが持って来た土を穴に入れていく
グミ
「…………ちっ!お…おい! 俺のとこにも 土を寄越せ!!」
ゴーレムは頷き そっと グミの元に 少し少なめな土を置く
グミは ムスッとしながらも 器用に短い手で 埋めていく
ユウキは ブツブツ文句をいいながらも 手伝ってくれているグミを見て 少し笑顔がこぼれた
そして…
ユウキ
「……これで よし!とりあえず 穴ぼこは 全部 土で埋まったな!」
サヤカ
「……草花は 全部なくなっちゃったけどね…」
ユウキ
「…こればっかりは 流石に 難しいな…」
ゴーレムは 周りを見渡した後 ゆっくりと 歩を進め 自分が出てきた場所へ戻る
グミ
「………そうか もう時間がなくなるのか……わかったよ…ちゃんと伝えとく…じゃあな…」
ユウキ
「どうしたんだ?」
グミ
「……もう 時間が残されてないんだそうだ ありがとう だってさ………けっ!」
ユウキ
「……そうか」
ゴーレムは ユウキたちを 一度見た後 ゆっくりと頷く そして ゴーレムは白く輝き 直した地面を中心に光が降り注ぐ ユウキ達は その神秘的な光景に目を奪われる
降り注いだ地面も 同じように白く輝いた そして しばらくすると 光が収まっていった
その後 ゴーレムがいた場所を見たが もうそこには ゴーレムの存在は無く すでに土に変わってしまった後だった…
サヤカ
「……なんだか…切ないね…頭では 分かっていた事だけど…」
ユウキ
「………ああ!…あ!…これって…」
サヤカ
「芽が!!…生えてきている!!…あのゴーレムの光で 芽が生えたんだね…」
グミ
「……ふん…土くれのくせに…」
ユウキ
「……あの ゴーレムは 満足してくれたよな…」
サヤカ
「…ええ…きっと…」
ユウキ
「さてと! んじゃ行くか!!」
サヤカ
「え??ど…どこに?」
ユウキ
「決まってるだろ!!エクリクスさんのとこだよ!時間があるんだから 色々 聞きたいんだよ!」
サヤカ
「ええー…どんだけエクリクスさんの事好きなの?…ち…ちょっと待ってよ!」
グミ
「…ったく ほんと…前向きだな……あ!ちょ…ちょっと待て…うぎゃ!」
ユウキに引っ張られる形で グミもバウンドしながら 強制的に マグマの地に戻って行った
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世界樹編は 一旦ここで終わりです
次は 場面が変わり ある王が出てきます
良ければ 引き続きよろしくお願いいたします